表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/333

混戦・乱戦・大乱戦

 シールド艦、ステンノー、エウリュアレーの攻撃に対して敵集団からの反撃も始まった。


「敵船がミサイル発射、数18。各艦撃ち漏らすな!」


 ダグの指示で3隻は対空砲火による弾幕を張って飛来するミサイルを迎撃する。

 1発でも逸らせば船団に被害が出てしまう。


 次々とミサイルを迎撃する3隻だが、中でも目を見張るのはエウリュアレーのシンシアだ。

 対空機銃の弾幕だけでなく、艦首にある主砲でミサイルを次々と撃ち落としている。


 双胴艦であるゴルゴーンはステンノーとエウリュアレーの2隻に分離しても同型の艦ではあるが、それぞれの装備が違う。

 アレックスのステンノーは破壊力重視、シンシアのエウリュアレーは速射力に優れており、特にシンシアはマニュアル操作の速射砲による狙撃が特出している。


「敵集団、ミサイルを撃ちながら接近。各艦、食い止めろ!」

『こちらステンノー。食い止めるにも手が足りません』

  

 3隻はじりじりと後退しながら攻撃を続ける。


『タイフーンⅡからシールド艦。こちらも船団後方に下がる!』

「了解。タイフーンⅡのみこちらに加わってくれ」

『了解』


 タイフーンⅡが加わっても戦力差は10対4、不利な状況に変わりはない。


「おい、ダグ。シンノスケとアイラが来たぞ!」


 レーダーに敵集団の側方に向かって急速に接近する反応が2つ。

 ケルベロスとA884だ。



「少し遅れたが間に合ったようだ。敵が態勢を整える前に先ずは一撃加えよう。セラ、アイラに後に続くように伝えてくれ」


 シンノスケは敵集団の左翼に向けて舵を切った。


「了解しました。・・・ケルベロスからA884へ。敵左翼に突入します。本艦の後に続いてください」

『了解したわ!』


 ケルベロスとA884は敵集団に左翼側から突入し、敵を撹乱する。

 至近距離からケルベロスとA884の主砲の連続攻撃を食らい、駆逐艦2隻が航行不能に陥った。

 敢えて撃沈させず、敵を混乱させるための策だ。



 ケルベロスとA884が突っ切ったことで攻撃の勢いが鈍る敵集団。

 その隙をザニーは見逃さない。


「よしっ!今なら出られる。ダグ、補給は終わったか?」


 立ち上がるザニーにダグはため息まじりで答える。


「70パーセント程だが、出ても構わん。好きに暴れてこい」

「そうこなくっちゃ!」


 シールド艦のブリッジから飛び出したザニーは直ぐにパイレーツキラーで飛び出した。


 敵船は未だ8隻が健在。

 対するはケルベロスとA884、シールド艦、パイレーツキラー、ステンノー、エウリュアレーとタイフーンⅡの7隻。

 双方の間合いも縮まり混戦の様相を示してきた。



 その混戦の様子を遠距離から眺めるベルベット。


「いい感じに混乱してきたねぇ。でも、もう一息だね。彼奴らも突っ込ませな」

「アイサー!」


 ベルベットは4隻の海賊船を戦場に突入させた。



 戦闘の最中でもレーダー警戒を怠らなかったセイラが接近する新たな反応を捉えた。


「レーダーに新たな反応。所属不明船が4隻、方位3、水平方向から接近してきます」

「増援か?」

「ちょっと待ってください。・・・新たな4隻はリムリア軍の艦船ではなく、貨物船等の改造船。宇宙海賊です!」

「了解。各艦に警戒するように伝達」

「了解しました。ケルベロスから各艦。宇宙海賊4隻が接近中。新手です、警戒してください」


 新たに参戦してきたのは宇宙海賊が4隻。

 最初の敵船集団とは全く別の集団で、互いに連携している様子はないが、どちらも狙いは同じ難民船団だ。


「これは乱戦だな」


 シンノスケは呟くが、それこそがベルベットの狙いだった。



 攻めるリムリア艦艇と宇宙海賊に守る護衛艦部隊。

 三つ巴の乱戦だが、状況を有利に進めるのはシンノスケ達護衛艦部隊だ。

 乱戦の中でも次々とリムリア艦艇や宇宙海賊を撃沈してゆく。


「いい感じだねぇ。面白くなってきた。そろそろ仕事に取りかかるよ」

「アイサー。目標の護衛艦に照準をつけます」

「バカだね。狙うのはあの船じゃないよ。直接狙ったって奴は勘が良いんだ。躱されるのがオチだよ。奴を確実に仕留めるならば狙うのはこっちさ」


 ベルベットはケルベロスの直近、船団の最後尾を進む中型の旅客船に狙いを定める。


「さあ、しっかりと守ってやりなよ」


 ベルベットはトリガーを引いた。


「方位15に高エネルギー反応を観測!超長距離からの砲撃です。船団の最後尾が狙われています!最後尾、スターマイン、回避してください!」


 セイラは狙われている旅客船に警告するが、機動力の劣る旅客船では避けられない。

 直撃を受ければ撃沈だ。

 シンノスケは反射的に動いた。

 砲撃の射線上にケルベロスを割り込ませる。


「マークス、エネルギーシールド出力最大。砲撃を受け止めるぞ!」

「了解。左右両舷のシールド出力最大」

「あぁっ!直撃、来ます!」


 悲鳴混じりにセイラが叫ぶ。


「全員、衝撃に備えろっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今回の話で感じた感想を書こうと思ったら全く同じ感想がかかれていた。 明らかに「守られる艦数」÷「護衛艦数」が1より大きく、自分が指揮をとり、責任を持つ護衛対象者、指揮下の仲間の船が数多くある…
[一言] 難民船を守るために自分の船で砲撃を受けるとかやりすぎでは? 難民船が1隻犠牲になっても任務達成にはしょうがないし一人も犠牲出したくないとか青臭い正義感すぎて引く。 ここまで面白く読んでこれた…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ