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ひとまず安心?但しシンノスケ以外

「改めて紹介します。マーセルス、ライズ、アン、メイですわ。4人は私と共にリムリアを捨てることを決め、ついてきてくれましたの。私共々アクネリア銀河連邦までよろしくお願いしますわ」


 ミリーナと共にケルベロスに乗り込んだのは4人。

 マーセルスは56歳、ミリーナの教育係、付き人、護衛を務めているそうだ。

 ライズは35歳、同じくミリーナの付き人であり、護衛役でもあるが、更に加えると、ミリーナが住んでいた屋敷の掃除夫でもあったらしい。

 アンとメイはミリーナの専属メイドの21歳の双子だ。


 ミリーナの話を聞いたシンノスケは自分達のことを説明する。


「護衛艦ケルベロス艦長のシンノスケ・カシムラです。連絡橋から皆さんをご案内したのが私の相棒のマークスです。そしてこちらがセイラ・スタア、見習いですが、我がケルベロスの乗組員です。目的地までの間、よろしくお願いします。艦内でセキュリティーの掛かっている場所以外は、ブリッジを含めて自由に行動してもらって結構です。詳しいことはセイラにお尋ねください。セラ、頼んだぞ」

「あっ、はい。お任せください」


 ミリーナ達のことを任されたセイラは咄嗟に背筋を伸ばし、ミリーナ達にお辞儀をした。


「あのっ、セイラ・スタアです。よろしくお願いします」


 そんなセイラの姿を見たミリーナは優しい笑顔を浮かべた。


「よろしくお願いしますの。私のことはミリーナと呼んでください。私も貴女のことを・・セイラ?・・セラ?」

「あの、セラとお呼びください。シンノスケさん達にもそう呼んでもらっています」

「なら、私もセラと呼ばせていただきますわ」


 年の差もあるだろうが、根本的な格の違いを見せつけられ、タジタジするセイラ。

 そんな2人を見てシンノスケは頷くと操縦席に戻る。


「セラ、皆さんを居室に案内してくれ。シャワーやランドリーシステムも自由に使ってもらって構わないから使い方を教えてあげてくれ。それから、皆さんを案内して食事等を済ませたらセラにも休んでもらおう。今から8時間の休息を命じる」

「分かりました」

「リングルンドさん。皆さんお疲れでしょうから、とりあえずはゆっくりお休みください」

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますわ」


 ひとまずの挨拶を済ませたミリーナ達はセイラに案内されてブリッジを出ていった。


 ミリーナ達を見送ったシンノスケは操縦をマニュアルに切り替える。


「6325連合国の領域内は大丈夫だろうが、国際宙域や排他的経済宙域ではどうなるか分からないぞ。追っ手の動きが分からない以上は何が起きても対応できるように行動しよう」

「了解しました」


 6325連合国の管制宙域を脱したケルベロスは進路を変更した。


 ミリーナやセイラ達が休息に入って数時間、銀河標準時刻で深夜1時。

 通常航路を外れているせいもあり、付近を航行する船舶もなく、静かな夜だ。

 操舵ハンドルを握るシンノスケにも疲労が見え、口数も少なく、ブリッジも静寂に包まれている。

 そろそろ仮眠でも取ろうかと考えていた矢先、ブリッジの扉が開いた。

 セイラの休息時間はまだ数時間ある。

 目を覚ましてしまったかと思ったが、ブリッジに入ってきたのはセイラではなかった。


「シンノスケ様は休まれないのですか?」


 声の主はミリーナだ。


「艦長の私は任務中は居室で休むことはありませんが、睡眠を取らないわけにはいきませんからね。もう暫くしたらそこにある仮眠ベッドで仮眠を・・・って!リングルンドさん、その格好はっ!」


 振り向いたシンノスケはミリーナの姿を見るや、仰天して慌てて目を逸らした。

 シンノスケの背後に立つミリーナは薄手のインナー姿だったのだ。

 シンノスケが知る由もないが、ミリーナが着ているのはドレスの下に着るインナードレス。

 生地が極めて薄い、言わばスケスケのネグリジェかベビードールのような代物だ。


「急な襲撃で着替え等を持ち出す暇がありませんでしたの。ランドリーシステムでインナーだけは乾きましたが、ドレスの方はまだ時間が掛かりそうですわ」


 平然と話すミリーナ。

 シンノスケは振り向くことができない。


「ならば部屋で休んでいてください。目のやり場に困ります!」 


 目のやり場に困ったシンノスケはモニターを凝視する。

 モニターを凝視しても表示されている数値は異常なし、周辺宙域も静かなものだ。

 画面をどう切り替えても何の異常も認められない。


「大丈夫。私は気にしませんわ。淑女の嗜みとして隠すべきは隠れていますの。シンノスケ様も気になさらないでください」


 物は言いようだ。

 淑女の嗜みとして『隠すべきは隠れている』とは、専門用語で言い換えると『見えそうで見えない』ということである。

 シンノスケは淑女という言葉の意味すら分からなくなってきた。

 それ程までに今のミリーナの姿の破壊力はメガトン級に危険だ。 

 シンノスケを揶揄うためにわざとやっているのではないかとすら思ってしまう。


「マーセルス達は必死に私を守ってくれました。その疲れと、無事に脱出できて安心したのでしょう。おかげ様でぐっすりと休んでいますわ」

「だったらリングルンドさんもぐっすりと休んでください」


 何度モニターを確認してもエネルギー残量も問題ない。


「私は逆に気持ちが昂ぶってしまって、眠れませんの。少しの間、ここにいてお話してもよろしいです?」


 シンノスケは全くよろしくないが、かといって眠れないと言っているミリーナをブリッジから追い出すわけにもいかない。


 ふと気がつくと、総合オペレーター席のマークスは操作パネルに向かいながら微動だにしない。


(マークスの奴、スリープモードに入っているんじゃないだろうな?)


 シンノスケの眠気は銀河の彼方まで吹っ飛んだ。

ここまで何度か「投稿頻度が落ちる」と言っておきながら、どうにか毎日投稿を維持してきましたが、明日は所用で投稿できないと思います。

次回投稿は明後日になりそうです。

(とか言いながら、間に合えば明日中に投稿するかもしれませんが・・・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] こてこての典型的で、おじさんからするとこういうので良いんだよ!ってなります。有り難う!
[一言] よくこういう展開あるけど普通に襲撃される可能性ある以上仕事の妨害になるから止めて欲しいんだがなぁ…(物語ブレイカー)
[良い点] 『隠すべきは隠れている』とは、専門用語で言い換えると『見えそうで見えない』ということである。 素晴らしい解説、ありがとうございます。 [一言]  敵の襲撃を逃れたシンノスケに新たな危機が…
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