表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
284/333

海兵隊突入

 強襲揚陸艦バイソンは敵の砲撃をものともせずに目標に向かって一直線に進む。


「バッファローが被弾!速度が落ちます」


 僚艦のバッファローがエンジン部に攻撃を受け、その速度が落ちてバイソンから遅れ始めた。


「バッファローの状況と作戦継続の可否は?」


 ボッシュ少佐は極めて冷静に、優雅に紅茶を飲みながら確認する。


「エンジンが臨界ギリギリで撃沈のおそれがある模様。但し、予定より12分遅れですが、目標コロニーへの突入は可能とのことです」

「了解しました。それではバッファローは遅れてもよいので突入作戦を続行。コロニーに海兵隊を送り込んだ後に乗組員はバッファローを放棄して本艦に移乗すること。バッファロー放棄に伴い、作戦を一部変更する。誘爆を避けるためバッファローの突入地点を変更し、乗組員は自力で本艦にまでたどり着くように。バッファロー艦長のハイネン少佐には『無能で野蛮なハイネン少佐へ、これで貸し1つ、累積4です。全ての貸しを返済するまでは戦死することは認めません』と伝達してください」

「了解しました。艦長の言葉をそのまま伝達します。・・・・バッファロー艦長ハイネン少佐から返信『インテリ野郎のボッシュ。直ぐにバイソンのブリッジに行くから一発殴らせろ』とのこと。原文ままです」


 ボッシュは笑いながら頷く。

 間もなくコロニー突入だ。

 突入時にはその衝撃で艦が激しく揺れるのでティーカップの中の紅茶が零れてしまう。  

 ボッシュはカップの中の紅茶を飲み干した。



【交戦宙域・9-12戦隊】

『隊長、本宙域を強引に突破した強襲揚陸艦2隻のうち1隻が敵の攻撃を受けて危険な状態です!』


 部下からの報告にハーディン少佐はヘルメットの中で舌打ちする。

 戦闘艇による空戦を制して制宙権を確保し、戦闘攻撃艇による敵艦への攻撃は始まったが、本命である駆逐艦隊は未だに到着していない。

 しかし、駆逐艦隊の到着に先んじて、未だ安全が確保されていない宙域を2隻の強襲揚陸艦が強引に突破していったのである。


「海兵隊の連中はスマートに事を運べないのか。・・・仕方ない。第1、第2中隊、損害報告!」

『第1中隊、被撃墜2、中破1、小破3。残存14』

『第2中隊、被撃墜1、中破2。残存17です』


 実戦となればある程度の損害は仕方のないことだし、それが大規模戦闘ともなれば損害が出るのは必然だ。

 ハーディンの戦隊だけでも敵戦闘艇を14機撃墜し、戦闘艇部隊の援護のために突出してきた敵駆逐艦1隻を撃沈させた。

 他の戦隊の成果も含めれば戦況は圧倒的有利に進んでいるといっていいだろう。

 すでに2隻の強襲揚陸艦が宙域を突破していったが、ハーディンの戦隊が担当するこの宙域はまだ後続の強襲揚陸艦4隻が通過する予定だ。


「レイズから戦隊各機へ!これより友軍強襲揚陸艦の援護に向かうと共に本宙域の安全を確保する。中破した機と補給が必要な機は母艦に戻れ。戦闘継続が可能な機は私の後に続け!」


 ハーディンの率いる戦闘艇部隊32機が強襲揚陸艦の援護に向かうと、それに呼応した戦闘攻撃艇部隊52機がその後を追った。



【強襲揚陸艦バイソン】

「目標コロニーに接近、突入地点をロックしました。突入までカウント180」

「了解しました。艦長から第3中隊ウェルターズ大尉。コロニーに突入したら貴中隊は予定どおり管制室を制圧して中枢システムを掌握せよ。中枢システム掌握までの所要時間は?」

『管制室までの移動に10分、管制室制圧に5分、システム乗っ取りに15分、合計30分もあれば十分だ。もちろん、敵の抵抗ありきの時間だぜ!』


 ウェルターズの返答を聞いたボッシュは満足げに頷いた。


「よろしい。それでは第3中隊はコロニーに突入したら25分以内に任務を完了させよ!」

『・・・』


 ボッシュからの命令にウェルターズは肩を竦めて笑う。


「野郎共!艦長殿は25分以内に始末をつけろとの無理難題を仰せだ!面白い、やってやろうじゃないか!」

「「応っ!」」

「第3中隊から艦長へ!23分で片付けてやる!」

『・・・了解、頼みますよ』


 スピーカー越しのボッシュの声は笑っているように聞こえた。


 いよいよ突入の時。


『ブリッジから突入部隊、突入の衝撃に備えよ。突入まで8・7・6・5・4・3・2・1・突入!』


 オペレーターの突入の声と同時に船体が激しく揺れる。

 艦の先端にある衝角がコロニーの気密扉を突き破り、船体の前方部分がドック内に食い込んだ。

 即座に速乾性の発泡剤が艦と気密扉の隙間を埋めて空気の流出を止める。


 真っ先に飛び出すのはパワードスーツ2機とS-21型ドール3体を擁する第2中隊だ。

 気密服にブラスターアサルトライフルで武装した隊員が飛び出し、バイソンが突入したドック内の制圧に取り掛かる。


 ほんの数分にも満たない銃撃戦の後、第2中隊によりドック内、バイソン周辺の敵が排除された。


『こちら第2中隊、ドック内のクリアランス完了!ドック内の気密を確認した』


 いよいよ第3中隊の出番だ。


「いくぞ野郎共!第3中隊の海兵魂を見せつけてやれっ!」


 ウェルターズを先頭に第3中隊、4個小隊83名が飛び出していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
第М19艦隊なんか好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ