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超空間と宇宙クジラ

 現れたのは20頭程の宇宙クジラの群れ。

 フブキに気付いたのか群れの中の1頭がフブキに向かってくる。


「こっちに来る?・・・・って、勢い凄くないか?体当たりする気かっ!回避運動!」

「了解。お2人も衝撃に備えてください」

「「はいっ!」」


 突然の急接近にシンノスケは操舵ハンドルを切って回避運動に入るが、超重力帯のせいで艦のレスポンスが悪い。


「回避間に合いません!」

「クソっ!」


 衝突するかと思ったその時、別の宇宙クジラが急速に接近すると先の宇宙クジラの進路を塞ぐように割り込んだ。

 突進してきた宇宙クジラは体長100メートル程で、衝突を阻止した宇宙クジラは遥かに大きい。


「・・・っぶなかったな。っていうか、あの2頭、あれだよな?」

「はい。小型の宇宙クジラの外皮に修復の痕跡がありますので、あの時の親子ですね」

「「???」」


 シンノスケとマークスの会話に首を傾げるアリーサとメリーサ。


「しかし、あの時助けた宇宙クジラに再び出会うって、少し出来すぎの展開じゃないか?テンプレというか、お約束というか・・・」

「マスターの仰っている意味が理解不能ですが、以前に遭遇した宙域とそう離れておりませんし、そう不自然なことでもないと思いますが?」

「以前の宙域に近いっても、ここは超空間の中だぞ。そもそも、何処だよここは?」

「さあ?何処なんでしょうね・・・」

「「?????」」


 シンノスケ達の会話に更に首を傾げるアリーサとメリーサ。


・・・ココッ・・ココッ・・・カカッ・・ココッ・・カカッ・・・


 そうこうしている間に何やらクリック音のような信号を捉えた。


「シンノスケさん。何か信号を受信しました」


 通信オペレーター席に座るメリーサ(だと思う)が報告する。


「マークス、以前のデータと照合してパターンを解析してみてくれ」

「了解。・・・救い、追従・・・助けてやるからついて来い、という意味では?」

「適当だなあ・・・。まあいいか、ついて行ってみるか」

「「?????????」」


 マークスに『適当だ』と言っておきながら『まあいいか』で判断するシンノスケ。

 アリーサとメリーサはこれ以上ないという程に首を傾げた。



 シンノスケ達が超空間を彷徨っているその頃、先に帰還したグレン達からフブキとシーカーアイが超空間に引きずり込まれた旨が自由商船組合に報告され、リナを通してセイラとミリーナにもその事実が伝えられた。

 

 知らせを聞いて組合に駆けつけたミリーナ達にグレンが事の顛末を説明する。


「・・・というわけで、シーカーアイが重力波に捕まったのをシンノスケが助けようとして、フブキもろとも超空間に落ちちまった」

「超空間に落ちたということは、シンノスケ様達の消息は不明だということですの?」


 ミリーナの問いにグレンが頷く。


「ああ、本当に申し訳ない。シンノスケ達を巻き込んじまった」


 頭を下げるグレン達だが、ミリーナもセイラもリナもシンノスケ達が行方不明になった事実については慌てた様子は無い。


「はあ・・・シンノスケ様のことですから、アリーサさん達を助けようと無茶を承知で決断したんでしょうね」


 ため息混じりのミリーナ。


「でも、シンノスケさんのことですから、脱出できると判断しての選択だと思います」

「そうですね。シンノスケさんのことですから、きっと帰って来ますよ。どうせ捜しようがないのですから私達は信じて待つことしかありませんよ」


 セイラとリナも頷く。


「そうですわね。アンディ達のツキカゲは仕事に出ていますし、ヤタガラスは点検中。尤もヤタガラスはシンノスケ様の承諾なしで勝手に使えませんし、仕方ないですわね」


 当然ながらミリーナもセイラもリナもシンノスケ達のことを心配しているが、それ以上にシンノスケ達を信頼している。

 だからシンノスケ達を信じて待つことにしたのだった。

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