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護衛戦隊

 宇宙海賊の斥候と思われる船に付きまとわれながらも順調に航行すること2日。

 船団はシンノスケが警戒する宙域に到達した。

 この宙域には小惑星帯が点在し、航行可能宙域に大きな制限があり、小惑星帯の中に宇宙海賊が潜んで、獲物を待ち伏せするにはうってつけの宙域だ。

 現にこの宙域での宇宙海賊による襲撃事件は後を絶たない。


 船団の前方には小惑星帯が広がっており、6325恒星連合国に行くにはこの小惑星帯を通過する必要がある。

 この宙域最大の難所だ。

 ここまで付いてきていた斥候の船も姿をくらましているが、これは襲撃の前兆であることに疑いない。


「斥候も離れたようだし、何時襲撃があってもおかしくありません。護衛戦隊各艦は即座に戦闘移行出来るように備えてください」

『『『了解!』』』


 各艦が警戒する中、フブキのレーダーが付近の小惑星帯に潜む不審船を捉えた。


「レーダーに反応、アンノウン4!方位2+5から−2の範囲。小惑星帯の中です」


 セイラは報告すると同時に各艦にデータを送信する。


『A884了解。こちらでも10時から11時の方向にいる3隻を捕捉。・・・って、撃ってきたわ!船団に対する攻撃を確認。正当防衛、緊急避難が成立』


 先頭を進むアイラのA884が攻撃を受けたが、シールドで弾いたのでA884に損害はない。

 そして、この攻撃により該船が宇宙海賊か、その他の不審船であることが特定された。

 A884に先制攻撃を加えた船に呼応して他の不審船も動き出し、船団の足を止めるべく攻撃を仕掛けてくる。


 これでもう遠慮は無用。

 シンノスケ達は警告なしに反撃することができる。


「フブキから各艦、各自の判断で反撃を許可。但し、船団の陣形を崩さず、各艦の位置を保ちながら反撃すること!」


 シンノスケの指揮のもと、護衛戦隊4隻が反撃を開始した。


 真っ先に戦果を挙げたのはアイラのA884だ。

 船団の前方を防ごうとする海賊船2隻に対して容赦なく砲撃を加えて、2隻を撃沈して進路をこじ開けた。


 続けてレグのジャベリンが左右に展開する3隻に向かって小型ミサイル9発を浴びせ掛け、その全てを撃沈する。


『うわわっ!後ろからも来た!180°回頭、ツキカゲ、背後からの敵を食い止めます!』


 殿を守るアンディはツキカゲを回頭させた。

 背後から追い上げる2隻を正面に捉え、後退しながら牽制に当たる。


「へえ、アンディのやつやるじゃないか。流石、精密操艦に自信があるって言っていただけあるな」

「マスター、アンディの操艦はマスターの戦歴のデータを参考に自ら習得したものです」

「努力家のアンディらしいな」


 戦局を見渡せる位置を確保しながら進むフブキのブリッジで感心するシンノスケ。

 操艦をミリーナに、航行管制、レーダー管制、通信をセイラ、火器管制をマークスに任せ、シンノスケは護衛戦隊の指揮に専念しているが、皆が優秀な護衛艦乗りであるため、宇宙海賊相手ではあまり出る幕がない。

 現にアイラ達が戦果を挙げる中で今のところフブキは戦闘に参加せず、小惑星帯の中に潜む敵船の探知と戦闘統制に当たっているだけだ。

 フブキのクルーは皆優秀で、シンノスケも安心して見ていられる。

 

 特にセイラの活躍は目覚ましいものだ。

 航行管制、レーダー管制、通信をこなしながらシンノスケが指示する目標の対処を各艦に的確に伝え、シンノスケが選択したコースをナビゲートする。


「フブキから各艦、方位1.5の小惑星の隙間を通過します。・・・アンノウン、方位10±0、距離95の小惑星の影。ジャベリン、対処願います」

『ジャベリン了解』

「続いて反応2、方位2+1、距離105。A884、お願いします」

『了解、任せて』

「続けて進路をナビゲートしま・・・新たなアンノウン。A884とジャベリンの死角です。マークスさん」

「了解、目標をロック。宇宙魚雷1番発射」

「前方脅威のクリアを確認。小惑星帯を抜けます。最後尾ツキカゲ、遅れずに付いてきてください」

『ツキカゲ了解。問題ありません』


 シンノスケの船で経験を積み、極めて優秀なオペレーターに成長を遂げたものだ。


「小惑星帯を抜けました。進路上に脅威なし。ただし、後方から4隻が追撃してきており、ツキカゲが対応中です」


 セイラの報告を受けたシンノスケは操舵ハンドルに手を掛けた。


「これだけやられながら諦めが悪いな・・・よし、フブキを後退させる。ミリーナ、アイ・ハブ・コントロール」

「了解ですわ。ユー・ハブ・コントロール」


 シンノスケはフブキの速度を落とすと最後尾を守るツキカゲの位置まで後退する。


「アンディ、ご苦労さん。後は任せて先に行・・・そのまま進め」


 危うく非公式軍規に抵触しそうになりながらもギリギリで躱したシンノスケは後方に向けて宇宙爆雷を散布した。

  

 火器管制レーダーの照射やロックオンの必要が無い宇宙爆雷の存在に気づかないままの宇宙海賊が爆雷の効果範囲に接近する。


「3、2、1、今!」


 時限式で爆発するように設定した宇宙爆雷がシンノスケの狙い通りのタイミングで一斉に爆発し、追撃してきた4隻を撃沈させた。


「引き際を弁えないからこうなるんだ」


 呆れるシンノスケだが、最大の難所を抜けたとはいえ、6325恒星連合国までは危険な航路がまだまだ続く。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アンディもセイラもすっかり頼もしくなって、成長したなあ。 非公式軍規をギリギリ達成で回避したシンノスケもチョットだけ成長したな(笑)。
[一言] 宇宙海賊多すぎやな。
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