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シーグル神聖国に到着

『シーグル神聖国聖監察兵団だ!本宙域は我が国の排他的経済宙域である。戦闘中の艦艇は速やかに戦闘を中止し、我々の誘導に従え!航行識別信号を発していない艦艇は直ちに識別信号を発信せよ!航行識別信号を発信しない、我が方の誘導に従わない、逃走を企てる、何れの行動も犯罪船であると判断して攻撃対象とする!』


 聖監察兵団の艦隊からの警告を受けたシンノスケはフブキの速度を落とし、火器管制システムを停止させた。


「アリーサさん、ツキカゲとビック・ベアにも警告に従うように伝達」

「了解しました」


 シンノスケ達が警告に従う意思を示すと聖監察兵団の艦隊のうち10隻が逃げ出した海賊船の追撃に入る。

 何れも最新型の高速駆逐艦で、海賊船ではとてもではないが逃げ切ることは不可能だ。

 それでも逃走を企てたり、抵抗しようものなら容赦なく撃沈されるだろう。

 これでシンノスケ達はようやく海賊航路での危機を脱したというわけだ。


「監察兵団の艦隊に通信を繋いでくれ」

「了解しました。・・・前方の艦隊との通信を繋ぎました。どうぞ」

「こちらアクネリア銀河連邦サリウス恒星州自由商船組合所属、護衛艦フブキの艦長シンノスケ・カシムラです。本艦及び僚艦は護衛任務の途中で宇宙海賊からの襲撃を受けました」

『こちらはシーグル神聖国聖監察兵団所属第3艦隊司令のイフルード中佐だ。貴艦からの救難、戦闘信号を受信して救援に来たのだが・・・しかし、いくら海賊航路なんて不名誉な呼ばれ方をしている宙域といえど、4回も宇宙海賊の襲撃を受けたなんてのは聞いたことがないぞ。そこまで海賊に狙われる心当たりはあるか?例えば、申請している物資以外の積荷があるとか?』


 イフルード中佐の問いはシンノスケ達を疑っているというよりは、シンノスケ達が連続で宇宙海賊の襲撃を受けたことについて純粋に疑問を感じているようだ。

 

「心当たりだなんてとんでもない。申請している鉱物以外の積荷なんかありません」


 シンノスケの傍らでセイラとミリーナが呆れ顔で頭を抱えている。


((心当たりは大ありです・・・))


『まあ、護衛業務B級、旅客・貨物運送業務と交易業務C級を持つような上位商人がそんな誤魔化しをするとは思えないが、こちらも役目だ、積荷については臨検させてもらうがよろしいか?臨検の後は目的地である聖都までエスコートしよう』

「了解しました。よろしくお願いします。存分にご確認ください」

 

 臨検を受けた後、シンノスケ達は聖監察兵団の駆逐艦にエスコートされてシーグル神聖国の聖都に向かった。



 いよいよシーグル神聖国の聖都の目前まで到達したシンノスケ達。


「これがシーグル神聖国の聖都ですか・・・」

「荘厳の一言ですわね・・・」


 シーグル神聖国の総本山がある聖都は惑星でなく巨大な宇宙コロニーであるが、単に宇宙コロニーという名称では言い表すことが憚れるような情景が目の前に広がっており、セイラとミリーナが目を奪われている。


 シーグル神聖国の聖都を一言で言い表すとするならば、宇宙に浮かぶ神殿、いや城塞都市だ。

 巨大なモジュールを組み合わせたり、幾つもの階層が重なった一般的な宇宙コロニーではなく、地上にあるような城や都市がそのまま宇宙空間に浮かんでいるようで、その規模もサリウス恒星州の中央コロニーの数倍はあろうかという程で、都市全体が白銀に輝いている。


 フブキのクルーではセイラとミリーナがシーグル教徒ではあるが、2人ともシーグル神聖国を訪れるのは初めてということだ。


「これがシーグル神聖国の聖都だ。百万の住民が住み、それに匹敵する巡礼者や自由商人達を受け入れる大都市だ」


 シーグル教徒ではないが、宇宙軍時代に親善航行でシーグル神聖国に来たことがあるシンノスケが説明する。


「せっかく来たんだから記念に総本山に行ってみたいです」

「私も、見物してみたいですわね」


 敬虔なる信徒による巡礼というよりは物見遊山ような感覚の2人。


「時間はあるから見物してくるといい」

「「はい、是非行きたいです」わ」


 シーグル教は慈愛の神であるシーグル神を崇めているが、シーグルの神は全てを受け入れる女神である。

 そのような女神の教えにより、厳しい戒律を強いることもないため、聖都を訪れる巡礼者の多くが半ば観光目的であり、それどころか、他の宗教の信徒が見物目的で総本山を訪れても何ら問題はないらしい。

 そのようにおおらかな教えだからこそ、シーグル教は遙かな昔から繁栄し、全宇宙に教えを広げてきたのだろう。


「総本山見物もいいが、それもこれも聖都に入港してからだ。セラ、入港要請を頼む」

「了解しました。シーグル聖都港湾管理局にデータ送信。・・・・入港許可下りました。商船区画、第82ドックです。ビーコンに従って入港してください」


 指定されたポイントでは巨大なドックのゲートが開き、入港用のガイドビーコンを発している。

 シンノスケはビーコンをキャッチするとフブキを指定されたドックに向けた。

 ビック・ベアとツキカゲも後に続く。


 ようやくだが、シーグル神聖国へと到着した。

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― 新着の感想 ―
[一言] ネット老人会クソジジイな人ですが イヤ面白かったです。 TRPG、GDW社のトラベラーを彷彿とさせる筋立て演出と大企業縁者という船を持たせるのに無理のない設定 若くして元宇宙海軍士官という設…
[気になる点] アクネリアの軍人さんならフラグ立てちゃったからの説明で納得しちゃったりするんだろうか‥
[一言] エメラルドⅢの話は出てくるかな?(サルベージとか)
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