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メタル№548を掘りまくれ

 予定の宙域でグレン達と合流したシンノスケ達はレアメタル№548が眠る小惑星帯に向かった。

 この小惑星帯は以前にもグレン達の護衛で来たことはあるが、非常に入り組んだ小惑星帯の奥深くにあり、ナビゲートを務めるアリーサとメリーサの探索船シーカーアイ無しにはたどり着けない場所だ。


 シーカーアイを先頭にツキカゲ、ビック・ベアが続き、シンノスケのフブキが殿を守る。


「へぇ、危なげない操艦じゃないか」


 最後尾からアンディの操艦を確認するシンノスケ。

 小惑星が入り組んで航行するだけでも困難な程の小惑星帯をツキカゲはスムーズに進んでいる。

 アンディはシンノスケが思っていた以上の操艦技術を持っているようだ。

 頷くシンノスケだが、今、シンノスケ自身は操舵ハンドルを握っていない。


「ちょっ・・シンノスケ様、アンディの心配ばかりしていないで、私の心配もしてくださいな!」


 現在フブキを操艦しているのはミリーナだ。

 自家用ライセンスから事業用ライセンスに切り替える試験の受験資格を得るために必要な乗務時間を達成したミリーナの最後の総仕上げとしてシンノスケから操艦を任されているのである。

 流石のミリーナも狭隘な小惑星帯の中をくぐり抜けるのは緊張するようで、表情に余裕がない。


「大丈夫だ、ミリーナの操艦もしっかりと見ているよ。何も問題ないからもう少し肩の力を抜いたらどうだ?」

「まったく・・・私だけを見ていて欲しいですわ」


 何やらかみ合わない会話だが、シンノスケの言うとおり、ミリーナの操艦にも問題はなく、結局、採掘現場まで何のトラブルもなく到達することができた。


 採掘現場に到着するとグレン達は早速作業を開始する。


「よっしゃ、ガンガン掘りまくれ!」


 グレンの号令一下、アリーサとメリーサの探索船が小惑星の中に眠る目的のレアメタル№548を探し出して次々とマーキングしていき、採掘母船から発進した採掘艇2隻がマーキングされた小惑星に取り付いて採掘作業を始めた。

 これからランディ、アレン、マイキー、トッドの4人の採掘艇オペレーターに加え、ビック・ベアの副長であるカレンを加えた5人が24時間体制で採掘作業を行う予定だ。


 2隻の採掘艇がせっせと鉱石を掘り集め、ビック・ベアとツキカゲに次々と積み込んでいく。

 小型の採掘艇なので、1回に掘り出す量に限りはあるが、そこはそれ、シーカーアイが予め採掘地点を特定しているので非常に効率よく採掘を進めている。


 海賊の襲撃を受けること無く、休みなく作業を続けた結果、1週間と掛からずに3隻の貨物庫は満載になった。


「よし!合計1380トン!純度も上々、これはいい稼ぎになるぜ!」


 貨物運送業務としてレアメタルを運ぶアンディのツキカゲとシンノスケのフブキには規定の積載量しか積んでいないが、ビック・ベアにはやや過積載気味?に積み込んだ結果、目標を上回る量のレアメタル№548を採掘することができた。

 予想以上の成果にグレンはホクホク顔だ。


「よし、それじゃあ引き上げるぞ!シーカーアイ、しっかりとナビゲートを頼むぜ!」

『了解』

「フブキとツキカゲも、宜しく頼むぜ!特にツキカゲ、護衛もさることながら、あんたが沈められたら大損だ。しっかりたのむぜ!」

『りょっ、了解しました』


 採掘を終えた4隻はシーカーアイのナビゲートで小惑星帯を脱出した。


 小惑星帯を脱出したらこのままシーグル神聖国に向けて出発する予定だが、その前に体制を整える必要がある。

 というのも、フブキ、ツキカゲ、ビック・ベアは問題ないが、アリーサとメリーサのシーカーアイは船体の殆どを探索機器が占めており、航続距離が短い上に空間跳躍も出来ない。

 さらに最低限の居住施設しか装備していないので、採掘母船であるビック・ベアにドッキング(格納ではなく、ビック・ベアの船底にドッキング)する必要がある。

 その上で、アリーサとメリーサはそれぞれフブキとツキカゲに移乗することが決まっているのだ。


 シーグル神聖国までは片道約1ヶ月の行程だが、実はアリーサとメリーサは1ヶ月もの間ビック・ベアで生活することが出来ない。

 その理由はビック・ベアの居住環境だ。

 ビック・ベアの乗組員はグレンを始めとしたマッチョの集団であり、船内が非常にむさ苦しいのである。

 決して不潔なわけではないが、グレン達はシャワーを浴びるとパンツ一丁で船内を歩き回り、デリカシーの欠片もない。

 うら若きアリーサとメリーサの精神安定の観点からも2ヶ月もの航行期間をビック・ベアで過ごさせるわけにはいかないということで、充実した居住環境が整っているフブキとツキカゲでお世話になることになった。

 当然ながら2人はお客様でなはく、それぞれの船でオペレーターとして働くことになる。


 因みに、グレンのチームのもう1人の女性であるカレンについては全く問題がないということだ。

 男勝りの体躯と性格の持ち主のカレンはグレン、ランディ、アレン、マイキー、トッドの5人と共同生活の中でも何も気にする様子もなく、グレン達の前を平気で下着姿で歩き回るらしく、普段は豪快ながら女性らしい言動のカレンだが、ある意味でチームの中で1番男らしい。


 そのような経緯でフブキとツキカゲに移乗したアリーサとメリーサ。


「これから暫くの間宜しくお願いします。航行管制でも雑用でも何でも言ってください」


 フブキに乗り込んできてシンノスケ達に挨拶をするのだが、目の前に立っているのがアリーサなのかメリーサなのか分からない。

 一時は2人の見分けがつくようになったシンノスケだが、暫く会わないうちに2人の区別がつかなくなっていたのだ。


 結局、フブキに乗り込んだのがアリーサで、ツキカゲに乗り込んだのがメリーサであり、長期間航行の体制を整えたシンノスケ達はシーグル神聖国に向けて出発した。

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