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04:幼女目覚める


 ブワッ!!!


「はっ!!!」



 いきなり視界が広がる。


 ここはいったい・・・・?


 周囲には森が広がり、所々に(わら)ぶき屋根の民家と畑が見える。

 あの(わら)ぶき屋根の家には見覚えがある。確かあの建築様式はエルフの家のはずだ。

 ということはここはエルフの村か・・・?

 


「嬢ちゃん!! やっと・・・やっと目が覚めたのか・・・・」



 目の前には今にも泣きだしそうな表情のクマさんが・・・。



「ウオオオオオオン!!! ウオオオオオオン!!!」



 クマさんが遠吠えを上げる。

 

 ここはいったい? 私はなぜこんなところに?





「聖獣様があんまり吠えるから、何かあると思って飛んで来たよ!」


「すまねえ。オイラあまりに嬉しくてよ・・・」



 ふと見ると、エルフの成人女性が、私の目の前まで走り寄って来ていた。 

 私は先ほどまで、ルドラの呪いとよばれる小惑星を何とかするために、宇宙へ行っていたはずなのだ。


 そしてルドラ本人と遭遇し、戦闘になった。

 その戦いの果てに、最後はルドラとともに、禁呪の爆発に飲み込まれて、ばらばらになって命を落としたはずだった・・・。


 それなのになぜこんな場所に?



「えっとエルフの護りの森の、村長さんの奥さんでしたよね・・・」



 私は目の前のエルフの成人女性にそう尋ねた。



「何言ってんのリンネちゃん? わたしエフィーだよ?」


「ふぁ!?」



 それを聞いた私は変な声が出てしまう。


 何だって!? 彼女がエフィーちゃん!? エフィーちゃんはもう少し小さくて、髪も短くて子供っぽかった気がするのだが・・・・


 目の前の女性はどこからどう見ても、あの奥さんだ。



「貴女がここへ来てから、何年経ったと思っているの? あれから8年だよ?」


「エルフの村に来るまでに、2年治療に費やしたから、今はあれから十年後だな・・・」


「ふぁ!?」



 それを聞いた私は再び変な声が出てしまう。


 十年!? 私は重傷を負って意識が戻るまで、そこまでの時間が経っていたのか!?



「まあ良かったじゃねえか。キリンの奴が嬢ちゃんはへたしたら100年以上はこのままだって言ってたからな」


「ふぁああ!?」



 それを聞いてまたさらに変な声が出てしまった。


 私はへたしたら、100年は意識が戻らなかったらしい。

 もし意識が戻るのが100年後だったら、私が目覚めるころには、親しくなった皆は、寿命を迎えていなくなっていただろう。

 それを考えると、本当に恐ろしく思える。

 


「まあ回復が早くてよかったじゃあねえか!」



 クマさんはそう言って喜んでいるが、あれから10年も経っているとという事実を聞かされると、やはりショックを受けざるを得ない。


 だが邪神から世界を守るための代償が、これほどですんで良かったのか・・・?

 


「でも驚いたよ? 8年前に聖獣様が赤ちゃんを連れてきて、それをリンネちゃんって言った時は・・・」



 え? 赤ちゃん?



「嬢ちゃんの肉体はもう原型を留めていなかったからな。岩の中に残されていた魂と膨大な魔力を、例の卵から生み出した幼成体に入れて、体を再構成したんだぜ?」



 どうやら私は肉体を赤ちゃんの状態からまた再構成されて、そこから育てられて、今の状態になったようだ。



「ちょっと確認するね・・・・」



 私は収納魔法で手鏡を取り出した。


 だが鏡で見ても、まったく以前と顔も体も変わらない様子だ。

 もちろん身長も、残念ながら6歳児のままだ。

 ただ違いがあるとすれば、今の服装が、エルフの民族衣装になっていることくらいか。


 

「あら良かったわね。意識が戻ったのね? 今まで人形みたいに何もしゃべらないから、心配していたのよ」



 するとエフィーちゃんの後ろから、もう1人のエフィーちゃんが現れた。

 きっとあの人が本物の村長の奥さんなのだろう。



「おう! 復活したのかリンネちゃん!」


「よかったじゃないか!」



 するとわらわらとエルフの人達が出てきて、祝福の言葉をかけてくれる。


 どうやら私は、長いことこのエルフの村でお世話になっていたようだ。


 私はそれからさらに数ヶ月、エルフの村でお世話になった。


 その数ヶ月はリハビリの日々で、クマさんと剣術の稽古をしたり、魔法で料理やお菓子を作ったり、魔物狩りをしたりして過ごした。


 魔法の感じについては、以前と同じように使えるようだ。

 龍の魔力も、神気も、私の中にまだ以前のままで残っている。

 これなら再び冒険に出ても、なんら問題はないだろう。


 ゴーレム達も魔力をエーアイに込めれば、また以前のように使えるようだ。


 ただ収納魔法の中で、干し物になってしまった食材については、食べ方を考えなければならないだろう。


 収納魔法の中には細菌が入らないため食物は腐らないが、長い年月入れておくと徐々に水分は失うので、干からびてしまうのだ。





「リンネちゃん・・・また行っちゃうんだ?」



 悲し気な表情で、エフィーちゃんがそう尋ねてくる。


 クマさんと私が、エルフの村を発つ日がついにやって来たのだ。

 私は再び青いエプロンドレスに着替え、エルフの皆に見送りを受けている。

 クマさんは私達が乗るジャイロさんの点検をしている。



「ええ。他にお世話になった人達にも、挨拶しにいかなければなりませんから」



 私はアリスちゃんや赤薔薇騎士団の皆、それに応援してくれた人達が、今どうしているか気になっている。


 なのでエルフの村を出て、まずは王都に向かうことにしたのだ。



「嬢ちゃん、ジャイロサンは問題ないぞ!」



 クマさんによるジャイロさんの点検が終わり、私はクマさんとともに、ジャイロさんに乗り込んだ。





「またねぇ~!! リンネちゃん!! クマちゃん!!」



 離陸すると、下から多くの見送りのエルフ達が、手を振ってこちらに声をかけてくる。


 あのクマちゃんと叫んでいるのはエフィーちゃんだろう。

 エフィーちゃんは時々クマさんのことを聖獣様でなく、クマちゃんとよんでいたからね。



「クマちゃんはよせ・・・」



 いつものクマさんの呟きが横から聞こえるが、その顔はどこか寂し気だ。


 そして私達は、長らくお世話になった、エルフの護りの森を後にしたのだった。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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