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47:龍王トラソルテオトル


『やってくれたわね! 貴方達!?』



 上空から全長20メートルはあろう黒く巨大なドラゴンが飛来する。


 現在私達は、交流試合のために龍王学園に来ていた。

 そして全ての試合が終わったのはいいが、最後のアリスちゃん対サイ生徒会長の試合が、予想以上の超バトルとなり、武闘場のあちこちを、破壊してしまったのだ。


 すると怒り心頭の、黒く巨大なドラゴンが、空からやって来た。



「龍王様!!」


「龍王トラソルテオトル様だ!!」


 

 どうやらあれがこの龍王学園で、崇められている龍王トラソルテオトルのようだ。



 ドド~ン!!



 そして龍王トラソルテオトルが、瓦礫と化した武闘場に降り立った。



『おいシュチピリ!』


『はい。母上・・・』



 どうやらサイ生徒会長が、そのシュチピリという名前で返事しているところを見ると、そのシュチピリというのは、サイ生徒会長のドラゴンとしての名前なのかもしれない。



『私はドラゴンになるくらいなら降参せよと言っておったはずだぞ!?』


『はい・・・面目次第もありません・・・』


『そしてそこの娘!!』


「はい。つい戦闘に没頭してしまい、申し訳ありませんでした・・・」



 そう言うとアリスちゃんは、魔王化らしき状態が解けて、もとの大きさに縮んでいく。



『この惨状!! どう始末をつけるきかえ!?』



 龍王トラソルテオトルは女性特有の、ヒステリックな感じの声で怒り散らす。

 なにか可愛く見えて来たぞ?



「それなら私がこの状態をなんとかしましょう」



 私は怒り心頭の龍王トラソルテオトルの前に出ていくとそう答えた。


 私は土魔法が得意だし、なんなら前よりもすごい建物に、建て替えることも可能だ。


 

『お前はドラゴンスレイヤーだな? なぜここにお前がしゃしゃり出てくる!?』


「そこにいるアリスちゃんは、私の妹みたいなものですし、妹の責任は、姉の責任でもあります。それにアリスちゃんに強化アイテムを渡したのは私ですし・・・」


『ほう・・・。それなら責任をとってもらうとしようか・・・・』





 そして数分後、私は全長8メートルはあろう銀のドラゴン、龍化したパテカトル学園長と、瓦礫の中、武闘場で向かい合っていた。



「えっと・・・。どうして私は龍化したパテカトル学園長と向かい合っているのでしょうか?」



 その状況を疑問に感じた私は、龍王トラソルテオトルに尋ねる。



『責任をとってなんでもするというのなら、そこのパテカトルを倒してみよ!』


『ちょっと待て! なぜ某が戦わねばならぬのだ!?』



 その龍王トラソルテオトルの発言に、パテカトル学園長が異を唱える。

 私も責任をとるとは言ったが、なんでもするとは言っていないはずだ。



『其方は監督責任じゃ!! そのドラゴンスレイヤーと戦い、私を満足させよ!!』



 なんというバトルジャンキーな発言だろうか?



「あの・・・私、戦闘とか、ちょっと苦手というかなんというか・・・・」



 とりあえず私は本心を打ち明けてみる。

 どちらかと言えば戦闘は避けたいし、私は料理の方が好きなのだ。



『どの口が言う!! センテオトルやシュロトルに打ち勝つような者が、戦闘が苦手なわけはあるまい!!』


「えっと・・・そんなに戦うのが好きでしたら、貴方が私とパテカトル学園長相手に戦えばいいと思うんですが?」


『馬鹿なことを申すな!! 私は痛いのは苦手なのじゃ!! 戦うのも嫌いじゃ!!』



 なんてわがままなドラゴンだろうか?


 こうして私は、予定になかった銀龍パテカトルとの戦闘を、することになってしまったのだ。





「リンネお姉さま。申し訳ありません・・・」



 アリスちゃんが、私に向けて謝罪する。



「アリスちゃんのせいじゃないよ。これはあのわがままな龍王のせいだから・・・」


『だまれ!』



 するとヒステリックな、龍王トラソルテオトルの声がしてくる。

 きっと地獄耳にちがいない。



「おおすげえぞ!」


「ドラゴンスレイヤーの戦いが見られるぞ!」



 私の戦いを見られるとあって、はしゃぐ生徒達だったが、それとは裏腹にクマさんは壊れた会場の椅子に座り、鼻提灯を出して寝ているではないか。


 いったいなんだというのだろうかあの態度は!?


 だがその鼻提灯の意味を、私はすぐに思い知る。





「土剣!」



 戦闘開始直後に私は土剣を発動させた。

 そして蜂蜜フルーツ飴を口に放り込む。



「うん、甘い!」



 それによって土剣が、黄金色の魔力を放ち始めるのだ。

 これは過去に聖獣山亀より伝授された、感情によって土剣を強化する技法だ。


 

 ドカ! バキ! ボカ!



 そして私は数度に渡り、銀龍パテカトルを滅多打ちにした。

 しかもその全ての攻撃に、武術の内功のような、内部破壊を目的とした魔法技を使ったのだ。

 魔拳流ではこの技を、内魔衝と言うらしいが、この技は魔力に波紋のような衝撃を伝え、内部にダメージを与える技なのだ。

 外部に絶対的な装甲を持つドラゴンには、この技が有効だ。



 ドドド~ン!



 すると銀龍パテカトルは前のめりに倒れ、あっという間に白目をむいてしまったのだ。

 きっとクマさんはこの結果をすでに予想していて、見るまでもないと判断していたのだろう。



「嘘だろ! ドラゴンが瞬殺だぞ!」


「さすがリンネお姉さまです!」


「zzzzzzz・・・・」


『馬鹿な!! あのパテカトルが瞬殺とは!?』



 その様子に会場中が唖然とする。



「えっと・・・終わりでいいですかね?」


『ぐぬぬぬぬぬぬ!』



 その様子に、龍王トラソルテオトルは悔しそうにぐぬぬ顔で私を睨む。



「もうそのへんにしておけ」



 そう言いながら現れたのは、センテオトルさんだった。



『センテオトル!』


「貴様が見たいのは、そのリンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤーの、真の姿であろう?」



 するとセンテオトルさんはそうのたまったのだ。


 私の真の姿? 今の幼女が真の姿ですが何か?



「黄金の角で、例の黒き巨大な鎧を切り伏せたであろう。あの時の姿を見たいのだろう」


「く、黒き・・・?? 巨大な・・・鎧??」



 いろいろと要領を得ない私に、センテオトルさんが助言するが、私はさらに困惑するばかりだ。

 普通に話していただけないだろうか?



「ようするに嬢ちゃんの神気を開放した姿が見たいんだろうな」



 そしてその状況に業を煮やしたクマさんが、狸寝入りをやめて、私に助言をしにきた。

 ああ。ようするに私の天使モードが見たいのだろう。



「ここではちょっと・・・恥ずかしいかな・・・・?」


『ちっ! これでどうぢゃ?』



 私が顔を赤らめてそう発言すると、龍王トラソルテオトルが舌打ちしながら、黒いドームを私達の周りだけに出現させる。


 その黒いドームは天井部分をすっぽりと開けて、真っ暗にならないように、そこから光を入れているようだ。

 この黒いドームからは闇魔法の気配がするので、きっと龍王トラソルテオトルは、闇のドラゴンなのだろう。


 その黒いドームの中には、クマさんと私と、龍王トラソルテオトルとセンテオトルさんと、無様にころがるパテカトル学園長がいるくらいだ。



「では始めます・・・・」



 そう言うと私は、神気を開放した。


 すると背中から翼が生えてきて、頭には光り輝く輪っかが出現したのだ。


 そして気づくと、人化した龍王トラソルテオトルとみられる黒髪の女性と、同じく人化したパテカトル学園長が、私の前にかしずいているのが見えた。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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