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40:龍王学園のお菓子

 お互いの紹介が終わると、華やかな漢服に身を包んだ女生徒達が入室してきて、それぞれにお茶と菓子を配り始めた。


 現在私達は、剣術の交流試合をするために、エラシア共和国にある龍王学園に来ている。

 そして久しぶりに会ったジャメルくんに案内され、生徒会室にやってきていたのだ。


 配られたお菓子は、長丸く、側面がぎざぎざしたクッキーのような食べ物だ。


 お茶からは上品な、ジャスミンの香りが漂ってくる。



「そちらは龍王国時代から伝わる、伝統の菓子でキンスコウという。そのお茶と一緒に召し上がられるとよい」



 お茶とお菓子を配り終えると、サイ生徒会長が勧めてくる。


 王族であるアリスちゃんが、お菓子に手を伸ばすと、私も続けてお菓子に手を伸ばす。



「さくり・・・」



 キンスコウは口の中でほろほろと崩れ、柔らかめのクッキーといった感じだ。

 気になるのは食べたときに崩れて、カスがちらばるくらいだろうか?

 味そのものは悪くはない。


 

「つつ~・・・」



 お茶は緑茶に近い味だが、シャスミンの上品な香りがして、落ち着いた気持になる。

 きっと上等なお茶なのだろう。



「最近イーテルニル王国では、多くの菓子が出回っていると聞く。中でも我らが崇める龍王様が、チョックォなる菓子に興味を抱いているようなのだ。持ち合わせがあれば、分けていただきたいのだが?」



 チョックォは聞き覚えのある単語だ。

 あの竜の谷のドラゴンが、チョコレートをチョックォと呼んでいたのを思い出す。

 チョックォとはおそらくチョコレートのことであろう。



「リンネ男爵。チョコレートの在庫はまだ残っているかしら?」


「いいえ姫様。現在チョコレートの材料であるカカオを切らせております。チョコレートを再び作るには、再びジュラ大陸南部までおもむかなければなりません」



 チョコレートの材料である、カカオの在庫はすでにつきている。

 あれを手に入れるためには、もう一度ジュラ大陸南にある竜の谷に行く必要があるのだ。



「それは残念だ。まさかそれほどまでに貴重な菓子であったとは・・・。では他に美味い菓子などあるかな?」


「さくさく。美味い菓子なら、あの白いのがあるだろう?」



 そう言って来たのは、現在キンスコウに夢中なクマさんだ。



「では申し訳ないがその菓子。チョックォの代わりに譲ってはいただけないだろうか?」


「リンネ男爵。お願いできるかしら」


「承知いたしました姫様」



 そう言うと私は、収納魔法でクリームと蜂蜜を取り出し浮遊させる。



「な、なにを!?」


「心配ありません。彼女の魔法の料理ですわ」


「まさか今からその白いのとやらを作られるのか!?」



 そしてクリームと蜂蜜を合わせて、金と白の合わさる竜巻を起こすのだ。



「おお! 素晴らしい!」


「なんという幻想的な光景だ!」


「こ、これがイーテルニル王国の、魔法!?」



 2つが合わさって、ほどよい硬さのホイップクリームになると、丸いスポンジケーキを人数分収納魔法で取り出して周囲に浮遊させる。


 次に丸いスポンジケーキを、ホイップクリームでコーティングしていく。

 その頂上にホイップクリームの花を咲かせると、最後にエラシア共和国特産のチェリーをその花に添えるのだ。


 するとそこには、チェリーのショートケーキが顕現していた。


 私は周囲が静まり、唖然とした様子の中、浮遊させたショートケーキを次々と生徒達の、空いたお皿に乗せて行く。



「チェリーのショートケーキです。このスプーンでお召し上がりください」



 そのお皿にはカトラリーがないので、土魔法で人数分の小さなスプーンを作り、浮遊させてショートケーキの横に次々と添えていく。



「おお・・・匙までも魔法で生み出すのか・・・?」



 ショートケーキとスプーンが全員に行き渡ると、まず最初にサイ生徒会長がスプーンを手に取り、ショートケーキを口に運んだ。

 


「なるほど・・・。聖獣殿が絶賛するだけはある。これはまるで神の菓子だな・・・」



 サイ生徒会長がショートケーキを称賛すると、他の生徒達も次々と、ショートケーキを口にしていく。



「これは確かに美味いな!」

 

「確かにこのとろけるような食感は初めてだ!」



 どうやらショートケーキは、龍王学園の生徒達にも気に入っていただけたようだ。

 

 

「すまんがあと5つほど作ってはくれまいか? 我らが崇める龍王様に、こちらを召し上がっていただきたいのだ」



 ショートケーキを食べ終わると、サイ生徒会長がそう頼みごとをしてきた。


 私は先ほどと同じように、ショートケーキを5つ作る。

 そして土魔法で作った皿の上に、スプーンと一緒に乗せた。



「時間が経つと溶けてしまいますので、なるべく早めにお召し上がりください。念のために氷を入れた箱を用意しましょう」


「何? 其方は氷魔法まで使えるのか?」



 私は土魔法で箱を作り出すと、その中に水魔法で氷を作り出して入れた。

 ショートケーキはその箱の中に5つ入れておいた。



「感謝する。この報酬については、後ほど相談させてもらおう」



 そしてショートケーキの入った箱を手渡すと、生徒の代表同士の挨拶は終了した。

 


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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