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60:学園生活と不穏な影

 月日は流れ、私の学園生活は2年生の後半に差し掛かっていた。

 最近はクラブ活動に、生徒会の活動にと忙しい毎日を送っている。


 なぜ生徒会の活動をしているかというと、アリスちゃんが2年生の初めに、生徒会長選挙でランダル王子に圧勝し、生徒会長になったからだ。

 まああのランダル王子の日ごろからの素行を見ていると、アリスちゃんの勝利も当然と言える。


 現在は授業も終わり、皆とおしゃべりをしながら教材の片づけをしている最中だった。



「ん? 女生徒が男子生徒数人に脅されているね?」



 そんな折に、女生徒の助けを求める声を、私の魔力感知が感じ取ったのだ。



「行かれるのですか? ディートリンネお姉さま?」


「嬢ちゃん1人で十分だろ?」



 一緒に片づけを進めていたアリスちゃんとエマちゃん、クマさんを置いて、すぐさま現場に急行する。





「だから、俺達のクラブに入れって言っているだろ!?」


「ごめんなさい・・・無理です・・」


「はあ? 聞こえねえぞ!?」



 見ると数人の男子生徒が、1年の女生徒を取り囲み、恫喝して無理にクラブに引き入れようとしているではないか。



「はいは~い! そういったクラブの勧誘行為は学園規則で禁止されていま~す! すぐにその女生徒から離れてく~ださ~い!」



 私は女生徒を脅している男子生徒数人に、トテトテと歩みよりながら注意を呼びかける。



「げ! 風紀委員だ!!」


「地獄の幼女風紀委員だ!!」


 

 どうやらこの国では風紀委員を二つ名として使っているようで、風紀委員の役割そのものは、生徒会全体の役割となっているようなのだ。

 生徒会でも一番怖い生徒を、代々この学園では風紀委員とよんでいるのだ。


 私はいつの間にか、その風紀委員と呼ばれるようになっていた。


 そして女生徒に絡んでいたのは、例のランダル王子の取り巻きであった。

 ランダル王子の取り巻きはあちこちで問題を起こし、取り締まりの対象となることが多いのだ。

 もう不良グループとよんじゃってもいいだろう。



「生徒手帳の開示をお願いしま~す。この出来事は成績にも影響しますので覚悟してく~ださ~い」



 私は差し出せと言わんばかりに、右手を前に出しながら、さらに男子生徒に詰め寄る。



「ちくしょう! これ以上成績を下げられてたまるか!? アクセス・・・フレイアバレッ!!」



 すると逆上した男子生徒の1人が、私に向けて炎の弾を放ってきたではないか。


 

 パスン・・・



 だが炎の弾は私にあたる直前で霧散した。

 それは私がその炎の弾の魔力に干渉して、レジストしたせいである。



「ひぃ! 俺の炎をかき消しやがった!」


「はいは~い! 風紀を取り締まる係に対する魔法攻撃は厳罰で~す! よって3日間の魔術の使用を禁止しま~す!」


「がっ!」



 私は魔法攻撃をしてきた、生徒の手足を氷の枷で拘束すると、地面に転がした。

 


「や、やめ・・・」


「はいは~い! 集中できないので動かないでくださ~い!」



 私はクマさんに最近習った、覚えたての魔封印を男子生徒に施す。


 魔封印とは、相手の魔力回路に魔力的な細工をして、魔術を封じる技能である。

 この魔封印は難易度が高く、動かない相手に集中しないと成功しない技能だが、一度かかると1週間くらいは解けない。



「勘弁してくれ~! 明日は魔術の実技があるんだ! 封印されたままじゃあ受けられねえ! このままだと単位を落としちまう!」



 魔封印をかけた生徒は、泣き落としでその罰から逃れようとする。



「知りませんよ。単位を落とすくらいに追い詰められているのに、なぜ魔術の特訓をしないでこんな場所で風紀を乱す行為に(いそ)しんでいるのですか?」



 毎日実技を普通にこなしていれば、そもそも1回の授業で単位を落とすような成績にはならないのだ。

 もはや自業自得としか言いようがない。



「魔術の使用禁止は3日と言いましたが、封印を解いてほしければ反省文を提出すること。それがなければ封印は解きません」


「くそおおお!!」


「さて。貴方達は素直に生徒手帳を提示してく~ださ~い」


 

 そして残りの生徒もしぶしぶ生徒手帳を差し出す。

 

 そんな感じで今日も学園の風紀を守った私は、午後からのクラブ活動へと向かう。





 クラブ活動では1年生の新入部員が3人入った。

 

 あの魔拳流のオーバン男爵家の三女ミレーユ嬢と、その護衛として入学してきたショウヘイ坊やが入部をしてくれたのだ。

 そして3人目はマローン男爵家の末娘のイリス嬢だ。


 ちなみにお菓子の名家であるイリス嬢は料理担当だ。

 意外なことにミレーユ嬢も魔拳流の娘でありながら虚弱体質で、料理担当希望だった。


 まあショウヘイ坊やは言うまでもなく、模擬戦に加わっていったがね。


 そんな感じでパトリシア嬢も含めた料理担当四人で、わきあいあいとお菓子作りに勤しんでいると、私の魔力感知に突如危機的な感覚が伝わった。


 これはお城の方か?



「嬢ちゃんやばいぞ! このままじゃあチャールズが処刑されちまう!」



 そして駆け込んできたクマさんが、唐突にそう告げたのだ。

 

 チャールズのおじさんが!? なんで!?


 こうして平和に過ごしていた私達に、再び不穏な影が忍び寄るのだった。



 第九章 魔術学園編 完。

【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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