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10:交流会

 現在私達はマルスリーヌ公爵令嬢との、護衛としての実力を見るという約束を果たすために、魔術学園の訓練場に来ている。


 すると二人の屈強な男の上級生が待ち受けており、私達に挑戦してきたのだ。

 二人の上級生は、どうやらマルスリーヌ嬢のお姉さんの護衛のようだ。

 当然私とエマちゃんで、二人の護衛は返り討ちにしたがね。 



「二人が大変ご迷惑をおかけしました」



 マルスリーヌ嬢がアリスちゃんに、二人の護衛の行為を謝罪する。



「こちらも護衛の力の一端を見られたから、悪いことばかりではないわ。でも護衛くらい抑えられないようでは、上に立つ者としてはどうかと思うわよ」



 そう言ってアリスちゃんは、マルスリーヌ嬢をたしなめる。



「確かにそうですわね。精進いたします」


「ところであちらに隠れてこちらの様子を窺ってる、貴女のお姉様はいつご挨拶していただけるのかしら?」



 アリスちゃんが見る先にある、建物の端を見ると、炎のような魔力の気配が、そこから出ていたのだ。

 この魔力の気配は感じたことがある。

 魔法学園の生徒会長にして、マルスリーヌ嬢のお姉さん、アルスレット・イーテ・オルレアン嬢の魔力の気配だ。

 


「申し訳ありません姫様。謝罪に出るタイミングを、様子を見ながら窺っておりました」



 すると真っ赤な髪のアルスレット嬢が、建物の裏から姿を現した。



「妹と配下の者がご迷惑をおかけしました」



 そして私達の前にやってくると謝罪した。


 

「しかしながら、アリスフィア王女殿下・・・ぶしつけながら申し上げますが・・・毎年王族に同学年がいる時は、我がオルレアン家から代々護衛を務めさせていただいて参りました。しかし見も知らぬ二人に護衛を任せたと聞き、そのことで妹は、少し(いきどお)っておりました。そのことは少し、くんでやっていただきたいのです・・・」



 アルスレット嬢は、真剣な眼差しでそう口にした。


 オルレアン公爵家とは、代々武を重んじる家なのだ。

 戦いにおいては他家に引けを取らない自信があるのだろう。


 そしてそれだけの努力と訓練も、当然してきているのだろう。

 それが今回家格が下のぽっと出の私達に、おかぶを奪われた形になり、色々と納得いかなかったのだろう。



「そのことについては各方面から聞いてはいました。ただ彼女達はわたくしと同様に、聖獣様より教えを受けた、いわば同門のようなものです。護衛でもあり、使用人でもある彼女らですが、同時に気のおけない友人でもあるのです」



 私はともかく、どうやらエマちゃんも、クマさんの教えを受けたことがあるようなのだ。


 エテール領にいたころの出来事なのだろうが、そんな素振りはまったくクマさんからは感じられなかったというのに・・・。



「先ほどの戦闘を見て、お二人とわたくしの間には、大きな実力差があることを痛感いたしました。わたくしは剣は得意ですが、魔法はおろか身体強化も最近覚えたばかりで、お二人には到底およびません」



 マルスリーヌ嬢は、落ち込むようにそう言った。


 まあ普通は魔法や身体強化は10歳から特訓するそうだからね。

 マルスリーヌ嬢のように、上手く使えないのが普通なのだ。

 10歳であそこまで使えるエマちゃんやアリスちゃんが異常なのだ。


 もしかしたらエマちゃんは、アリスちゃんのように、身体強化をずいぶん前から使えたのかもしれないね。

 そうでないとあそこまで上手く使いこなすことは出来ないだろう。

 まあエマちゃんの才能もあるのだろうが・・・。


 アルフォンスくんも9歳くらいから魔力が発現しているし、エマちゃんもそれくらいから使えた可能性は高い。

 いや・・・もしかしたらそれ以前からか?



「しかし姫の護衛の地位を諦めたわけではありません!! 努力して訓練を重ね、必ずその地位をものにして見せますわ!!」



 そういうとマルスリーヌ嬢は軽くカーテシーをして、四人の護衛と共に、その場を去って行った。



「妹ともども大変失礼をいたしました姫様・・・・」



 マルスリーヌ嬢の去り際に、その姉であるアルスレット嬢が謝罪する。



「だが私も貴方達に興味がわきました・・・。とくにディートリンネ・イーテ・マローン! 貴女はやはり面白い!」



 アルスレット嬢は、笑顔を浮かべつつそう言い放った。


 アルスレット嬢の目には、私はどう映っていたのだろうか?


 まあ見る人が見れば、私の正体なんて簡単に見破れることだろう。

 目の前のアルスレット嬢がそれを明かしたところで、損をすることはあっても得をすることはまずないだろうがね。


 ただバトルジャンキーの彼女の望みは、私と全力で戦いたいということのみなのだろうが・・・。


 そう一言言うとアルスレット嬢も、軽くカーテシーをした後に、動けなくなった痩せ剣士スティーブを軽く肩にひょいと担ぎ、筋肉ボーマンを引き連れて、訓練場から去っていった。





 その後は夕方から、同学年同士の交流会が行われるのだ。


 交流会は立食パーティー形式で、会場の中央では演奏が行われ、パートナーと踊りを踊ったりするようだ。


 

「やあアリスフィア。相変わらず取り巻きが少ないな?」



 同学年同士の交流会なので、当然いけ好かないランダル王子も現れる。



「其方さっそくオルレアン公爵家の者ともめたそうではないか?」


「あらやだお義兄(にい)様! オルレアン公爵家は武を重んじる家ですのよ? あの程度じゃれ合いですわ!」



 負けじとアリスちゃんも言い返す。



「よろしければお義兄(にい)様ともじゃれ合って差し上げましょうか・・・?」



 アリスちゃんは笑顔で、威圧するように魔力を放出しながら、ランダル王子にそう言った。



「ひっ! けっこうだ! 私はじゃれ合いなどする歳ではない!」


「あらあら! お義兄(にい)様とてまだ子供ですのに! 仲の良い取り巻きの方々と、じゃれ合いもなさいませんの!?」


「ふ、不愉快だ! お前達行くぞ!」



 そのアリスちゃんの魔力の圧に怯えたのか、ランダル王子が青い顔で、逃げるようにこの場から去っていく。


 アリスちゃんも強くなったものだ・・・・。


 だが同時にアリスちゃんに踊りの申し込みをしようとしていた紳士諸君も、怯えた様子で踵を返して去っていった。


 お姉ちゃんそんなアリスちゃんの将来が心配だよ。



「お嬢さん。踊っていただけませんか?」



 そんな中差し出す紳士の手が一つ。


 なんとその手はアリスちゃんではなく、私に向けられていたのだ。


 このロリコンがぁぁぁ!!


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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