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43:イーテルニル王国への帰還


「それでは君達が、はるばる僕に会いに来た理由を、聞かせてくれるかい?」



 現在私達は、聖獣キリンに会うために、猫人国の地下水路まで来ている。



「実はよお。ホウライの転移装置が、ホウライへの転移と同時に故障しちまって、直してもらおうと思ったんだぜ」



 クマさんは、私達がホウライ王国に転移した際に、イズモ藩にあった転移装置が故障したことを、聖獣キリンに話した。



「それは悪いことをしたね? でもあの転移装置はもう回収するつもりでいるんだ」


「ふぁ?」



 聖獣キリンから唐突に出たその言葉に、私は変な声が出てしまう。



「なぜ今になってあの転移装置を回収する必要があるんでしょうか?」



 あの転移装置がなくなったら、気軽にチョコやカレーの原料をとりに行けなくなってしまう。



「あの転移装置の構造を利用して、誰かが不正に転移を使っているようなんだ。最近ホウライでも数回、その兆候があってねえ」



 もしかしてその転移を使っているのって・・・天竜ディノサウスか?

 もしそうなら迷惑な話だ。そのおかげで私達は転移装置を使えなくなるのだから。



「でもこのままだと悪い気がするから、イーテルニル王国まで転移で送るけど、君達はどうする?」


「私達は一度ホウライに帰らなければならないのです。その後イーテルニル王国に帰還する予定にしています」



 聖獣キリンの申し出は有難いが、私達は一度ホウライに戻ると、別れ際に言ってあるのだ。

 ショウヘイ坊やのことも、門下生や身内に伝える必要があるし、このままイーテルニル王国に、帰るわけにはいかない。



「あの・・・そのことちゃがリンネ様・・・」



 そこでショウヘイ坊やが会話に割り込んできた。



「ワチはホウライには帰りとうないのです・・・」


「ああ・・・」



 そのショウヘイ坊やの言葉に納得するように、クマさんが声を上げる。

 そして私もなんとなくだが、ショウヘイ坊やの心の内を察した。


 ショウヘイ坊やは弟子達に、合わせる顔がないのだ。


 強くなると言って出て行って、たくましく成長しているのならまだしも、見た目弱っちそうなお子ちゃまに、クラスチェンジしてしまったのだ。

 きっと今の姿を弟子達に、見せたくはないのだろう。



「では君達をこのままイーテルニルに送るとして、ホウライへは、僕の眷属に伝言を託すとしよう」


「わりい。そうしてくれると助かる」



 クマさんがそう返事すると、私達は以前聖獣キリンにあったときと同じような現象に見舞われた。


 地下水路がものすごい速度で遠ざかり、空中に出て、雲が流れたかと思うと、いつのまにやら見覚えのある転移装置の中にいたのだ。



「ここは・・・?」


「おそらくイーテルニル王国の、王都の森にある転移装置の中だろう」


「いやはや・・・狐にでも化かちゃれた気分でつ・・・」



 転移初体験のショウヘイ坊やは、かなり驚いているようだ。

 ていうか狐に化かされるって言葉あるんだね?


 転移装置から出て、建物の外に出ると、そこは例の自然に埋もれた学校の校舎だった。



「帰って来ましたね・・・イーテルニル王国へ・・・」


「ああ・・・」



 そこは私達がホウライ王国へ行く際に、出発した場所でもあるために、なんとも不思議な気分になってくる。


 まるで今まで転移装置の中で夢でも見ていて、今目覚めたような気分である。

 だがそれが夢でないのは、私のすぐ横にいる、ショウヘイ坊やの存在が示している。



「あ! それじゃあアリス、来年から魔術学園じゃん!!」



 思い出したように叫ぶアリスちゃんだが、君の魔術学園行の未来はどのみち変わらなかったと思うよ。

 それともそのまま、ホウライ王国にでも、いつくつもりでいたのだろうか?


 どちらにしろ私達は、これから毎日魔法に関する知識だけでなく、貴族のマナーやらの、お勉強をしなくてはならないだろう。

 魔術学園には社交科なるものもあるらしいからね。


 魔術学園は平民もいるが、貴族が通う学校でもあるのだ。

 おそらく貴族である私達には、社交科は必須科目となるだろう。



「私達はこれから学園に通うので、当分旅には出ませんけど、ショウヘイ坊やはどうします?」


「え!! リンネちゃまは旅をしないのでちゅか!?」



 ショウヘイ坊やは私のその言葉に驚くが、私は年がら年中旅をしているわけではない。


 すると何もすることのなくなったショウヘイ坊やは、この先どうするのか、考えなくてはならないだろう。



「なら僕と旅に出るかい?」



 そう答えたのはリオノーラさんだった。



「僕もリンネ殿としばらく一緒に旅をして、力不足を痛感しているのさ。君さえよければ、旅をしながら剣術を指南してくれないかい?」


「ワチはかまわんでしゅが・・・リンネちゃまは・・・」


「私は別にかまいませんよ。あ、そうだ。それなら頼みがあるんですが・・・」



 私は二人に再びあのジュラ大陸南部に赴き、チョコの原料であるカカオをとって来ることをお願いした。



「今度は徒歩でってことになりそうだね。それは願ってもない依頼だよ」



 リオノーラさんは、キラキラした笑顔でそう口にした。

 そのリオノーラさんを、羨ましそうに見るアリスちゃんだった。



「ワチもその旅先であれば、問題ないでしゅちゃ」



 ショウヘイ坊やも、その依頼に承諾する。


 二人はそのまま魔拳流のオーレリアさんも誘い、アルフォンスくんやボビーくんも巻き込むと言っていたので、きっと楽しい旅になるのだろう。


 でもカカオは発酵させる必要があるから、収納ポーチには入れられないんだね。


 リオノーラさんにお願いして、カカオ運搬用の、ガチャポンくんも作らないとね。

 ゴーレムはエーアイを作った人の言う事しか聞かないからね。


 あそこまで徒歩で行くなら、半年はかかる距離だと聞いている。

 そのあたりはおいおい相談していきますかね。



【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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