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37:本選15(リンネvs剛腕センテオトル前編)


「図りましたねクマさん?」


「何がだ?」



 それは今日の試合も終わり、さあ帰って料理でもしようという矢先の出来事だった。


 今私たちの目の前にはもう一人の人物、ギルド嬢のシェリルさんがいる。

 ギルド嬢のシェリルさんによると、試合が一つなくなってしまったために、昼からBブロックの第三回戦目の試合をすることになったという。


 なくなった試合とは、Aブロックの三回戦目、コーデリア選手対リオノーラ選手の試合のことである。

 コーデリア選手が試合を放棄したために、リオノーラ選手が不戦勝になってしまったのだ。



「試合は五の鐘で行う予定です。参加しない場合は当然不戦負となりますので。それでは失礼します」



 言い終わるとシェリルさんは、一礼して去って行った。


 そして私はクマさんの顔をじっと見る。



「オイラ何も知らないぞ? ローレの仕業じゃないのか?」



 ローレとは、このイーテルニル国の国王、ローレンス国王陛下の愛称である。

 なるほど。早めに帰って執務をやるのが嫌な人の陰謀か?


 私が特別席にいる国王の顔を見ると、プイッとそっぽ向きやがった。犯人はてめ~か!!


 まあ私の試合もセンテオトル選手の試合もあっという間に終わったし、どちらかと言えば魔法に突っ込んでダメージがありそうな、センテオトル選手の方が不利だ。


 そのセンテオトル選手もすぐにでも試合を望んでいる。

 こういう流れになるのは、ある意味自然なのかもしれないが。



「え~・・・五の鐘より、Bブロック第三回戦目!! リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー選手対センテオトル選手の試合が決定いたしました!!」


「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」


「おう!待ってました!!」「俺ぜってえ見るぞ!!」



 しばらくすると、司会進行役のペネロピさんより、Bブロック第三回戦目の試合の知らせがあり、会場中が観客の声援で沸き立った。


 それではせめてもの意趣返しに、試合では度肝をぬいてやりますかね。





 ゴォ~ン! ゴォ~ン! ゴォ~ン・・・



 そして楽しい屋台巡りが終わり、五の鐘が鳴り響くと、私とセンテオトル選手の試合時刻となった。



「お待たせしました皆さん!! それではお待ちかね!! リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー選手対センテオトル選手の試合を開始します!!!」


「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」


「それでは北門より!! 全てを力のみでねじ伏せて来た!! 剛腕!! センテオトル選手が入場します!!」


「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」


「剛腕!!」「次もその怪力でねじ伏せろ!!」



 歓声が鳴り響き、センテオトル選手が北門より、淡々と歩みを進めてやってくる。



「そして南門からはお待ちかね!! 巨剣の幼女こと、我らが英雄!! リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー選手の入場です!!!」


 ざわざわ・・・・


「何だありゃ?」「でかい・・・」



 私は南門から、3メートルもある土剣を、軽々と肩にかつぎながら、舞台へと続く通路をトテトテと歩いて行く。

 観客席はその巨大な土剣に、ただざわつくばかりだ。



「・・・・あああっと!! 巨剣だ!! 自らの二つ名である巨剣を初めから抜き放っているぞ!!」



 唖然として言葉のなかったペネロピさんが、ここで復活してマイク水晶に叫ぶ。



「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」


「巨剣だ!! 巨剣の幼女だ!!」「すげえぞ巨剣!!!」



 そしてそれに続くように歓声が鳴り響く。



「すごいな。あの巨剣を軽々と担いでいるのか? リンネ選手が滅多に抜かない巨剣を抜いたということは、それだけ今回の試合には本気だということだろう」



 ギディオンのおじさんが、ここで私の心情を思案し語る。



「あれはやばい!! 結界を強めろ!!」



 ギルド職員が私の巨剣を見て、何やら騒いでいる様子。


 ファロスリエさん辺りがその危険性を訴えて、指示を出したのかもしれない。

 ファロスリエさんにはこの土剣が、龍剣になる様子は見せたことはないが、あの人のことだ。

 すでに国王あたりから聞いているのだろう。


 この土剣に、龍の魔力を込めたときに顕現する龍剣は、顕現しただけで、ものすごい衝撃波を生むからね。


 でもできるなら今回は龍剣なしで戦いたい。

 あれは龍の力であって、私の魔力ではない気がするからね。

 そして今度こそ私の魔力で、この目の前のドラゴンを、倒したいと思っている。


 私とセンテオトル選手は、定位置に立って向かい合うと、合図を待たずに攻撃の姿勢をとった。



「し、試合開始!!」



 それを見たペネロピさんが、慌てて試合開始の合図を出す。



 ドカァァァァン!!



 開始直前に攻撃を仕掛けたのは私だ。

 私が風魔法でいきなり加速を付けて、センテオトル選手に土剣で突きを放ったのだ。



 ボゴォッ!! パラパラ・・・



 そして無残に砕け散る土剣。

 センテオトル選手は、私の土剣での突きに対して、拳で応戦していたのだ。



「おおっと!! 巨剣が開始早々砕かれてしまったぞ!!」


「あの巨剣を素手で一撃とは・・・」



 その様子にギディオンのおじさんも絶句している。



「貴様の剣はなくなったぞ? どうするのだ?」



 センテオトル選手は、不敵な笑みを浮かべる。



「いえいえこれからですので」



 私は壊れた土剣を手放すと、空間から出ている柄を握りしめる。

 そう。土剣はこの空間から出た柄を隠すための、カモフラージュだ。


 その柄こそ竜種を何体も屠った、3メートルもある、ミスリルの大太刀の柄だ。

 そしてセンテオトル選手はすでに私のゾーンに踏み込んでいる。



 シュン!! ガガガガガキン!!


(かった)!!!」



 なんとセンテオトル選手は、私の武器強化で強化された、ミスリルの大太刀の居合ですら、斬り裂くことはできなかったのだ。


 センテオトル選手はクロスさせた両腕で、ミスリルの大太刀の一撃を防ぎ、後ろに吹き飛び、踏ん張ってその吹き飛ぶ勢いを消す。


 そしてくっきりとセンテオトル選手のクロスさせた両腕に浮かぶ、赤い線が・・・切り傷による血の跡だ。



「おおおっと!! センテオトル選手に!! この大会で初めて傷がついたぞ!! そして巨剣がもう一振り出現した!!」


「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」


「この俺の腕に傷をつけるとはな・・・やはり貴様は面白い」



 センテオトル選手はそこからいっきに私に接近すると、まるで爪で引き裂くように、両腕を振り回して私を攻撃する。



 ブオン!! ブオン!! シュン!!



 センテオトル選手の攻撃は、どれも正直で読みやすい。

 私は魔力感知で読み、その攻撃をひたすら躱す。

 だがその一撃は、かすっただけでもただでは済まないような、圧力を感じる。



 ガシャン!!!


 

 センテオトル選手の攻撃が地面をえぐる。



 ドシャァァァン!!!



 反撃にと、私がミスリルの大太刀の居合で放った兜割を躱され、また地面がえぐれる。

 躱したということは、このミスリルの大太刀の威力をセンテオトル選手が、恐れていることの証明だ。



「楽しいな!! リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー!!!」


 

 センテオトル選手の表情が、無表情から凶暴な笑みに変わる。


 そしてこの攻防で、舞台はいつしか、穴だらけの、瓦礫まみれとなっていた。




【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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