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13:本選2(氷結のクレア vs 武闘派宮廷魔術師リオノーラ)

今回はリンネ視点→第三者視点→リンネ視点でいきます。

 あっけなく第一試合が終わったために、私たちは手持無沙汰となってしまった。

 次の試合は今からまだ30分以上先となるだろう。



「えっと・・・それで先ほどの試合ですが・・・・」



 司会進行ペネロピさんは、先ほどの試合を振り返って、ギディオンのおじさんに解説を求めるようだ。


 解説を聞く人、席を立ってどこかへ行く人、皆行動はバラバラになっちゃったけどね。



「ええ・・・失礼ですがそちらのお嬢さん?」



 そこへ執事らしきおじさんがやってきて、恭しく私に挨拶してくる。


 どこの執事の人だろう?

 てこのおじさん国王の近くにいた執事の人だね。

 てことは国王の執事かな?



「陛下がその・・・美味しそうなものを食べているなと、言っておられます」



 ああ、つまり私たちが食べているじゃがいもフライに興味が出たんだね。それでくれと?

 貴族的にはそういう解釈で良いと思う。

 私を直接よばないのは、私をあまり目立たせないようにするためかな?



「あとその・・・着ぐるみは如何(いか)にしたのかと聞かれております」



 特別席を見ると、そんな私を横目で見る、国王がいた。



「動きにくいので脱いできました」



 私はそんな執事のおじさんに、正直に話す。


 そしてじゃがいもフライを収納ポーチから出したふりをして、収納魔法で出し、執事のおじさんに渡した。



「あ、飲み物もどうぞ」



 そしてついでに蜂蜜リンゴソーダも渡す。

 後で国王的にはじゃがいもフライがどんな感じだったか、感想を聞かないとね。



「それでは失礼いたします」


 

 執事のおじさんは、再び恭しく挨拶をすると、特別席へともどって行った。


 毒見はどうするのかと思って見ていると、執事のおじさんが特別席の横で一口ずつ口に含んでいた。

 いや喉が渇いていたのか、蜂蜜リンゴソーダは一口で半分くらい減っていた。


 国王が何か文句を言っているが、まあそれくらいは許してあげてね。


 でも周囲の目が今ので私に集中したから、ちょっと目立ったかも。

 こちらをじろじろ見たり、ひそひそ話している人もいるね。





 第三者視点~



「それではAブロック第二試合! 氷結のクレア選手対、武闘派宮廷魔術師リオノーラ選手を開始します!!」



 そしてあっという間に時間も過ぎ去り、第二試合開始の合図が会場内に響く。



「まずは北門から・・・冒険者で超一流氷魔術師!! 氷結のクレア選手の入場です!!!」



 司会進行役のペネロピさんの言葉とともに、開け放たれた北の門から、クレア選手が入場してくる。


 

「そして南門からは・・・前大会準優勝・・・この国最高の魔術師と謳われる・・・ゴドウィン宮廷魔導士の愛娘にして武闘派の宮廷魔術師!! リオノーラ・イーテ・オルブライト選手の入場です!!」



 そして南門からは、リオノーラ選手が入場してきた。



「では両名とも所定の開始位置に着いてください」


 

 リオノーラ選手とクレア選手がお互い所定の位置に着く。


 この所定の位置とは、舞台の中央から5メートルほど離れた位置である。

 そこには所定の位置を示す、黒い四角が描いてあるのだ。



「お互い試合の決着は今から小半刻後以内に付けて・・・」



 そしてルール説明が終わると・・・



「試合開始!!」


「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」



 歓声とともに呪文を唱え始めたのは、氷結のクレアだ。



「アクセス タペチャー アクアル・・・」



 白い光の粒が彼女の周囲を舞い、まるで彼女の周囲の温度が下がったような錯覚を起こさせる。

 そして彼女の頭上に、大きな氷柱がカチカチと音を立てて発生する。



「フィリン!!」



 その素早く正確な詠唱を終えると、ゆっくりと歩いて近づくリオノーラに向けて、その大きく成長した氷の柱が飛んでいく。



「おおおっと! これは序盤から大魔法だ!! 氷結のクレアの異名となった氷魔法・・・ビッグアイスランスだ!!」



 ただその大きな氷の柱が、リオノーラに届くことはなかった。


 リオノーラが聞こえないほどの、小さな声で何か詠唱すると、大きな氷の柱はふいに空中で止まり、地面へと落下し始めたのだ。



 ガシャァァァン!!!



 そして大きな氷柱が地面に激突して、バラバラになる。



「な!! 馬鹿な!!」



 そして氷結のクレアの表情が、驚愕に染まる。



「おおっと! 今のは何だ!? 魔法の失敗でしょうか?」


「いや・・・違うな。あれはおそらく魔術妨害だろうな。どういう理論かはわからないが、途中で魔法の浮力を奪ったのだろう」



 ギディオン王国騎士団団長の言う通り、それはリオノーラの使った魔法妨害による効果であった。



「どうするクレア? 次はお得意の水魔法で攻撃してみる?」



 リオノーラは不敵な笑みを浮かべ、徐々に間合いを詰めながらも、挑発的に発言する。

 そして帯剣しているレイピアを抜き、氷結のクレアに向ける。



「知れたことか! これなら妨害は不可能だろう!!」



 氷結のクレアは挑発にのるように、得意の無詠唱の水弾を放つ。

 そして無詠唱で発動の早い、水弾の魔術妨害は難しい。

 だが水弾を放たれたリオノーラは落ち着いていた。


 

 シュ!!



 そして素早くレイピアを突き出すと、水弾に当てて消し去ったのだ。



「なっ!?」



 飛びのこうとする氷結のクレアだったが、そこでバランスを崩して、よろけてしまう。



「おおおっとクレア選手!! 飛びのこうとしたが失敗!! よろけてしまったぞ!!」



 それを隙と見たのかリオノーラは、次に素早く踏み込むと、躊躇なくレイピアを氷結のクレアに向けて突き出す。



「ぎゃあああ!!」



 氷結のクレアの胸をレイピアが貫くと、彼女はゆっくりと地面に倒れ伏した。



「身代わりの魔道具の死亡判定を確認!! 氷結のクレア選手の死亡判定が確定しました!! リオノーラ選手の勝利です!!」



 死亡判定とは、身代わりの魔道具が死亡と判断した時点で、確定される。


 身代わりの魔道具は、選手が死亡するほどの傷を負うと、死亡判定を下し、ダメージをなかったことにする魔道具である。


 ただしこの魔道具の効果があるのは、この闘技場内だけである。

 そして痛みなどは肩代わりしないので、ダメージを受けた選手は気絶するケースがほとんどだ。



「「わあああぁぁぁぁぁあああ!!」」



 そしてリオノーラの勝利宣言に、歓声が上がる。



「まさか得意の魔法を使わずに、この戦いに勝利したのは驚きだな。それに最後の突きも良かった」



 ギディオン王国騎士団団長の言うように、リオノーラは剣と魔法技術のみで、この魔法対決に勝利したかに見えた。


 それは高度な魔法技術を持たねば不可能な勝利方法であった。





 リンネ視点~



「クマさん。あのくらいの突きなら魔力視で見切れたはずなんですけど、氷結のクレアさんはどうしてそうしなかったんでしょうか?」



 私ならあんな場面でも、落ち着いて魔力感知を使い、レイピアの突きの軌跡を見ながら避けられたはずだ。



「障壁に阻まれて、魔力視や魔力感知が通らないから、確証はないが、リオノーラは水弾をレイピアで破壊したときに、無詠唱で、風弾をクレアに向けて放っていたんだぜ。それが丁度クレアが飛びのくタイミングだったとしたらどうなる?」



 なるほど。後ろに飛びのくタイミングで、風弾を放たれたら、わかっていても避けるのは難しいだろう。


 そこでよろけた隙を狙われたら、確実に仕留められてしまうだろうな。

 やはりリオノーラさんは、相当な強敵のようだ。

 さすがあのゴドウィン宮廷魔導士の娘さんだね。


 そしてトーナメント表によると、次はあのジャメシーキノコの試合だ。

 どうせろくでもない試合をやるんだろうけど、せいぜい野次でも飛ばしてやりますかね?


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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