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09:村にやってきた騎士団

今回はゴブリン討伐にやってきた騎士団長アウトゥール視点です。


 騎士団長アウトゥール視点~



 俺はこのエテール領の騎士団長をしている、アウトゥール・イーテ・ノイマンという者だ。

 騎士22と、冒険者50あまりを引き連れて、ゴブリンの群れの討伐に派遣されて来た



「団長! この道の先に土魔法で、穴を埋め立てたような跡があります」


「埋め立てた跡だと? いったい何のために?」



 騎士団の斥候ベンジャミンが、俺にこの先で起っている異変を報告して来た。

 そして現場に向かった俺は、信じられないような大きな落とし穴の跡を目撃したのだ。



「これは土魔法で造られた落とし穴の跡だな。自然に出来たにしては、形が整いすぎているし、魔力の痕跡もある」



 俺は地面に手をつき、埋め立てられた部分と、もとからある地面を見比べた。



「この先の村で、ゴブリンの襲撃が予想されると聞いてから、もう一週間は経つ。

 もしかしたらすでに襲撃に遭い、偶然居合わせた土魔術師が、村を助けるために、戦ったのかもしれないな」



 しかしこの穴はかなりでかい。優秀な魔術師でなければこうは掘れない。


 魔術師は貴重で数少ない存在だ。

 この先の村で会うことになるかもしれないし、優秀な魔術師は貴族が多い。

 よって顔見知りの可能性は高いな。

 ただ他国の魔術師だった場合、少し面倒だがな。





 到着すると村の前ではすでに、何かと争った形跡が多数見て取れた。

 地面のあちらこちらが、焼け焦げ、掘り返され、多くのゴブリンの死体を焼いたと思われる形跡も見られる。


 そして村の周囲には、村の大きさに似つかわしくないほどの、防壁が建造されていた。

 これではちょっとした砦だな。



「この村は貧しいと聞いていたのだがな? このような防壁どうやって? 土魔術師が一人で造ったとは思い難い。わずか一週間ほどでこの強度に仕上げたのか?」



 俺はコンコンと、村の防壁の丈夫さを確かめるように叩く。



「団長! 村の長を連れてきました」


「ご苦労」



 ベンジャミンが、数人の村人を引き連れてやってきた。

 おそらく立ち位置から、あの老人が村の長であろう。


 そして老人は前に出てきた。



「儂がこの村の長をさせていただいております、ゴッズと申します。はるばるの遠征、ご苦労様でございます」


「俺は騎士団長のアウトゥール・イーテ・ノイマンだ。少し聞きたいことがあるが、いいか?」


「もちろんでございます。何なりとお聞きください」



 村長は恭しく頭を下げてそう答えた。



「この村は貧しいと聞いていたがな。この防壁はどうした?」


「この防壁は、リンネさまがお造りになられた防壁でございます」



 やはり魔術師の仕業であったか。

 村長がさま付けで呼ぶものなど、貴族か魔術師くらいだからな。


 しかし『リンネ』という名には聞き覚えがないな。

 やはり危惧していた、他国の魔術師だろうか? いや、咄嗟に名乗った偽名の可能性もあるか。

 魔術師には目立つのを嫌う者もいる。



「その魔術師と話は出来るか?」


「申し訳ありません。昨晩この村を出られたようで、お泊りいただいていた部屋が、もぬけの殻でございました」



 他国の魔術師の侵入を、すでに許した可能性があるな。

 その魔術師の脅威を、調べておく必要があるな。



「聞いていた話では、ゴブリンの群れが300、その中に上位種もいたようだが、すでにウエストウッド村は全滅しているとか?」


「はい。ウエストウッド村には、気の毒な事でございました。

 ゴブリンの群れは、そのウエストウッド村に100余り、残り100は村の者の調べにより、巣にいるものと思われます」


「ゴブリンの群れの数は300ではないのか? 残り100はどうした? やはりあの戦闘の跡は、ゴブリンの群れ100体の襲撃によるものか?」


「はい。数日前にゴブリン100余りの襲撃があり、すでに討ち果たしてございます」


「例の土魔術師の力でか?」


「はい。リンネさまがおられなければ、今頃この村も、ウエストウッド村と同じようになっていたでしょう。

 群れの中に、ゴブリンジェネラルがいたと聞いた時には、生きた心地もしませんでした」


「なに!? ゴブリンジェネラルがいたのか!?」



 ゴブリンジェネラルと言えば、一人前の騎士が、最低でも10人はいなければまともに戦えない相手だ。

 それでも半数以上がやられてしまうだろう。



「討ち果たしたと言ったが・・・もしやゴブリンジェネラルもすでに、倒しているのか?」


「はい。リンネさまが退治されました」



 どのような手を使ったかはわからないが、ゴブリンジェネラルを倒すほどの魔術師ならば、相当な使い手と言えよう。



「ゴブリンジェネラルの死体はあるか? すぐに確認したい」


「はい。証拠のため、ゴブリンジェネラルの死体は、当時のままの状態で、残してございます」



 俺はその魔術師の脅威を確認するために、ゴブリンジェネラルの死体の確認を要求した。


 そしてある納屋へと案内されると、そこには布に覆われた、何かの死体があるようだった。

 緑の血痕から、だいたいゴブリンであることは見て取れた。



「それではご確認ください」



 村人が布を取り去ると、そこには焼け焦げてバラバラになった、巨大な人型の死体があった。

 頭の部分に角のような突起、焼け残った足の装甲のような皮膚から、ゴブリンジェネラルであると判別できる。


 そしてその破損具合に、息を呑む。


 鉄の刃も通らないほどの、丈夫な皮膚をもつゴブリンジェネラルを、どうやってここまでバラバラに粉砕したのか、非常に気になるところだ。



「焼け焦げて、バラバラになったようだが、これは爆裂魔法でも使用したのか?」


「はい。爆裂魔法を使ったという報告は受けております」



 やはり爆裂魔法による破壊だったか。

 しかしゴブリンジェネラルには、魔法耐性もあると聞いている。

 生半可な爆裂魔法では倒せまい。


 そしてその後村長は、とんでもない発言をした。



「ただ爆裂魔法だけでは倒しきれず、最後にリンネさまご自身が剣で突かれたと聞いております」


「剣で突いてゴブリンジェネラルをバラバラにしたというのか!? 身体強化を強く使用したとしても、それは不可能ではないのか!?」



 村長の発言から、リンネというのは剣士であり、また火魔術師であることが予想される。

 ただ聞けば聞くほど信じられない話ではある。

 だがここに証拠となる、ゴブリンジェネラルの死体が残されているのだ。


 ドラゴンでもやってきて、ゴブリンジェネラルを粉砕しましたと言われた方が、まだ信憑性がある。

 ただそれでは村も、ただではすんでいまい。

 ドラゴンとは魔物の中でも、最強の存在なのだから・・・・。



「はい。リンネさまは長さ3メートルほどの大剣を、使用されていたと報告を受けております。どうやったかその大剣で、渾身の力を発揮されて突いたのだとか・・・」



 3メートルの大剣?

 それが本当であれば俺は、その者をこう評価せざるをえまい。


 化け物と・・・。


 聞けば聞くほど、どこかの絵巻物語でも、聞いているような気分になってくる村長の話に、俺は困惑せざるを得なかった。


 即座に聞き取り調査が必要だと判断した俺は、戦闘に参加していた村人たちを集めて確認した。


 しかし誰一人として、村長の発言を覆すような内容を、述べる者はいなかった。

 それどころかさらに奇妙な内容を、耳にすることになる。

 リンネという魔術師は、年端もいかぬ少女だったというのだ。

 聞いた内容から5~6歳くらいと推定される少女・・・・。


 あまりにも常識離れした、荒唐無稽(こうとうむけい)な話・・・・。


 魔術師の魔力は10歳くらいに発現し、そこから魔力を増やして徐々に魔法を覚えていくというのが常識だ。


 村人の話が本当であれば、リンネとはいったい何者なのか?



【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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