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霊感ケータイ  作者: リッキー
合宿所で
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17.新たな悪霊

その時である・・・


「キャー!!」


霊感ケータイを見ていた千佳ちゃんが急に叫び声を上げた!



「バ・・バケモノ!!」


腰を抜かして、床に手を着いている・・

霊感ケータイが手元から投げ出され、床の上でくるくると回りこちらに滑ってくる・・


「何??」

先生が千佳ちゃんに問いただす・・


「そこに・・黒い塊が!!」

霊感ケータイで見た方向を指差す千佳ちゃん。


彼女には、その姿が見えた!

「この霊は・・!あの悪霊の手下!?」



チャラララ・チャラララ・・・


床に転がってきた霊感ケータイが鳴り響く・・

僕は、そのケータイを拾い上げ、通話スイッチを押す・・



霊感ケータイから不気味な声が聞こえてくる・・

「我が名は熊童子!童子四天王の一人だ!」



「四天王??あの悪霊の手下か??」

手下がまだ3人(?)も居るということか・・?


「ふふ・・親方様を消し去った張本人・・とうとう見つけたぞ!」



「先生たちは、下がっていてください!!」

先生と校長先生が千佳ちゃんをかかえて、体育館の隅へと移動し、3人で固まった・・

何が起こっているのかは分からないようだが、尋常でないことには気づいたようだ。


僕はケータイのカメラのスイッチを入れた。

目の前に、確かに熊の姿をした霊が写っている。

黒い熊の毛皮を被った霊体が、その大きな体で威嚇している・・


千佳ちゃんが昼間、見たって言う霊はこいつだったようだ・・

この合宿所に霊がいなかったのは、こいつが他の霊を取り込んでいたからか・・



「ヒロシくん、、下がって!」


「いや・・」

僕は般若心経の書かれたタオルをポケットから出して、手に巻きつけた・・

彼女と共に戦う!


彼女は、手を霊に向けて差し出す。その手には黒い数珠が握られている。

呪文を唱えている彼女・・


「ふふふ・・こちらから行くぞ!!」

その声と共に、こちらに突進してくる悪霊・・


バシーーーー!!!

彼女の数珠と、僕のタオルで悪霊を取り押さえる・・

が、力に差があった・・


反動で後ろに投げ飛ばされる僕と彼女!

霊感ケータイを握り締め、悪霊の位置は追っているが、次の攻撃には耐え切れない。

「熊」というだけあって、力がかなり強いようだ。



「その程度か・・」



彼女が立ち上がり、次の攻撃に備えている。

「ヒロシくん、逃げて!」


「まだまだだ!」

もう一度構える・・


その時・・・


「お兄ちゃん!」

霊感ケータイから声がする・・

その声は!!翔子ちゃん?


一部始終を見ていた先生が気づく・・


「翔子なの??」


キラキラとした光が、僕に近づいてくるのが分かった・・

僕の脇に、その光が寄り添い、にこっと笑った気がした・・

「お兄ちゃん、タッチ交代だよ!」


その声と共に、悪霊へ向かっていく光、

「何だ?この光は・・??」


悪霊の廻りを光が絡んでいる。

ミシミシと悪霊の体がきしみはじめている・・

「力が・・吸い取られていく?!!」



「何者だ!!うぉ~!!!!」

悪霊の全身から、霊気が発せられる。


「うっ!!」

翔子ちゃんが、その霊気に弾き飛ばされた・・


が、次の瞬間・・


バシ----!!


その隙に、渾身の力で攻撃をする彼女・・


「グッ!!」


多少のダメージは与えたようだが・・



「こ・・こしゃくな!!」


再び、彼女に突進してくる悪霊。


彼女も手を差し向け、応戦する。


僕はすかさず彼女の前へ走り込み、タオルで構える。


突進されると同時に、悪霊の頭めがけてタオルを巻きつける僕・・


反動と共に、僕は投げ飛ばされたが・・

「ヒロシくん!」



「ギャー!!!」


悪霊が悲鳴を上げている・・


やったか!?


タオルが床を左右に這っている・・



もがき苦しんでいるようだ。


さらに、彼女も攻撃を加えた!


連携攻撃に、さすがに悪霊もダメージを受けたようだ・・


タオルを必死で拭い去った悪霊・・


「くそぉ~許さんぞ~!!」


怒りで我を忘れているようだ・・



その時である・・


「熊童子!戻ってくるのだ!!奴等の力を侮るな!!」

何処からともなく、声がする・・


「何??こんなザコに・・?」


彼女をにらみつけている悪霊・・


彼女も身構えて、攻撃を加えようとしている・・・

が、もう限界のようだ・・胸を手で押さえてハアハアと息が荒い・・

前の悪霊に刺された傷が痛むのか?

僕も、霊感ケータイを使っているので、立っているのがやっとだった・・


「ふ・・今回は見逃してやるか・・」


その声とともに、この場を立ち去ろうとしている悪霊・・



「逃がさない!!お姉ちゃん!力を貸して!!」


「え?・・ええ!」


翔子ちゃんが、すかさず彼女の側に飛んできた。

目を閉じて、神経を集中する彼女。


「南無大師遍照金剛・・南無大師遍照金剛・・」


翔子ちゃんが呪文を唱えている。

翔子ちゃんの廻りが微かに光り始め、その光が強くなってくる。


「今よ!!」


「悪霊・・退散!!」

手を悪霊にめがけてかざす彼女。

その動きとともに、翔子ちゃんが光の塊となって、悪霊目指して飛んでいく。


カッーーーーーーーーーー!


光の矢が悪霊の体を貫く!!




不意を突かれた悪霊は・・


「ウワー!!!」

叫び声とともに、無数の霊気がその体から漏れ出している・・

今まで取り込んできた霊たちが、抜け出しているようだ。


「こ・・の・・オレサマ・・が・・こん・・な・・娘達に・・」



彼女が、手をかざして、九字を唱えている・・

その呪文とともに、消えていく悪霊・・


「はぁ~・・」

彼女が深い呼吸をして、その場にひざまずく・・


全てが終わった・・


「ありがとう・・翔子ちゃん・・助かったわ・・」


「うふふ・・どういたしまして!」

こちらを向く、翔子ちゃんの姿が、カメラ越しに写っている。

にこっとして・・


「お兄ちゃん・・またね・・お母さんも!」

その声とともに、スッーーと消えていく翔子ちゃん・・


ピ・・


僕も、安心して霊感ケータイのスイッチを切った・・

長い時間の使用だったので、僕もその場に倒れこんだ・・


「ヒロシくん!!」

先生と千佳ちゃんの声がしたが意識が遠のいていく・・













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