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霊感ケータイ  作者: リッキー
合宿所で
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16.百夜話

夜・・運動場の中央にロウソクを並べ、その廻りに集まった僕達・・

照明は消しているので、ロウソクの灯りしか頼りにならない。

僕達の背後は不気味な闇が広がっている。


「やっぱり、怖い・・やめようよ~」

千佳ちゃんが珍しく怖がっている。


「大丈夫!私がついてるから!」

彼女が千佳ちゃんの脇に寄り添っている。

さすが霊感少女。守ってくれそうで頼りになる。


「私も、いいかな・・」

雨宮先生も怖いらしく、彼女の方へ寄ってきていた・・


「では・・この合宿所でどんな事件があったのか・・お話しましょう・・」

校長先生が、語りだす・・




「これは、15年くらい前の話ですが・・」



この合宿所で強化練習のため合宿をしていた弓道部の話だそうだ・・・・




弓道部の一日の練習が無事に終わり、部員全員で夕食を済ませた後、入浴の時間となった。


お風呂は先輩から順に入る決まりだった。


女子部員のうち、一年生は一人しか居なかったので、最後は、一人だけで入る事となる。


二年生の女子部員全員が風呂に入った後、その女子生徒が風呂に入ったのは9時を廻っていた・・





賑やかだった女子風呂がシーンと静まり返る。


浴槽の泡の音だけが『ゴボゴボ』と音を立てていた。女子用の風呂は24時間の循環浴槽になっている。

いつでも自由に入れて、汗を流せるようにとの学校側の配慮だった。



その一年生の女生徒は、長い髪で小柄でかわいらしく、全校の男子生徒の中でも人気だった。


弓道部内でも男子部員に可愛がられていたため、他の女子部員からやっかみも多く、練習はきついメニューを出されることが多かった。


それでも、めげずに練習を続けてきたが、特にその日は練習がきつかったのだ。


疲れきった女生徒は、湯船で激しい睡魔に襲われ、つい、うとうととしてしまった・・



循環浴槽は、湯船の底にある取水口から給湯器にお湯が送られ、暖められて再び湯船に噴出される仕組みだったが、

不運にも、この取水口に、彼女の髪が吸い込まれていった・・


髪の毛が湯船の底にある取水口に吸引され、顔が水面に沈む。



ハッと我に返った女子生徒。


既に鼻が水中に沈み込み、呼吸が出来ない。


もがいても頭が水面に上がらず、髪の毛はどんどん吸い込まれていく一方だ。


湯船の縁を必至で掴んだが、女生徒の力ではどうにもならない。


必死にしがみつく指の爪がはがれ、血がにじむ。



「ガハ!!」


溜めていた空気が一気に口から吐き出され、水を飲みこむ女子生徒。


必死にあがいていた女子生徒の手足が動かなくなり、静寂を取り戻す・・



11時過ぎ頃だろうか・・・・


他の女子部員が、消灯が過ぎても、一年生の女子生徒が帰ってこないので、おかしいと気づいた。


部員全員で、彼女を探したところ、湯船に沈んでいる女子生徒の姿が発見されたのだった・・



女子生徒の葬儀が盛大に行われ、合宿所でも供養が行われたが・・・・・







次の年の夏・・


この合宿所で、同じ弓道部の合宿が行われていた。


この年は新しく1年生が2人入ってきたそうだ・・


昼間の練習が終わり、3年生になった先輩部員たちが入浴後、一年生の2人がこの風呂に入ることとなった。

新入部員には昨年の出来事は伏せておいた。怖がって入らないのも可哀想だという配慮からだった。


更衣室で、少し違和感を感じた新部員の二人・・

もう、誰も入っていないはずの風呂に誰かがまだ居る気配を感じた。

中から泣き声のような、うめき声のような音がかすかに聞こえてくる。


「ねえ、誰か居ない?」


「まさかね・・3年生の次は、2年生居ないから・・私たちだけだよね・・」


恐る恐るドアを開けると・・・

そこには、誰も居なかった。



 ゴボゴボゴボ・・・・・



循環し続ける湯船の音と、天井から滴り落ちる雫の音がする。


「あの泡の音なのかな?」


そう言い聞かせて、お風呂に入る新入部員達。

だが、何か、嫌な空気が流れていた・・・・



 ザバー・・・・



湯船のお湯で、体を洗い流す一人の女子生徒。



「あれ?その髪の毛・・」


先に湯船に入っていた生徒が不思議な事に気付いた。



「え?どうしたの?」


体を洗い流している生徒の背中に長い髪が2、3本くらい、くっついている。


「誰の髪の毛なのかな・・」


「ウチの部員は皆、髪、短いもんね・・」


その言葉の通り弓道部員には長髪の生徒は一人も居なかった。

昨年の事故以来、髪を短くする決まりとなっていた。事故の事は上級生しか知らないので、新入部員にはなぜ髪を切らなければならないのかは伝えられていなかった・



長髪の部員は一人も居ない・・・


昼間の風呂掃除でも、念入りに洗い流したはずだった。


弓道部員の他は、この合宿所に滞在している人物はいないはずだ。



「おかしいね~、他に誰か使ったのかな・・」


「たぶん、私達の掃除に漏れがあったんだよ。」


「そっか・・」


掃除が不十分だったのだと自分達に言い聞かせ、気を取り直して、お湯をかけて背中を洗い流すが・・・







「あれ?まだ、髪が付いてるよ・・」


先程の長い髪が流れずに背中にへばりついている。


手で取ろうとするが肌にピッタリと付いて、なかなか取れない長い髪・・

気味が悪くなる女子生徒達・・



「全然取れないよ!」


「気味が悪いね・・早く、洗って上がろうか・・」



そう言った時、先に湯船に浸かっていた一人が、天井から滴り落ちる雫に気づく。



 ピチャン・・


  ピチャン・・



その雫が肩や手に落ちる・・



 ピチャン・・



  ピチャ!



落ちた場所が、赤くにじんでいるのに気づいた。



「何?この雫・・?」



赤い雫が肌に落ち、ドロッとお湯に染みて行く・・


指で触ってみると、ヌルヌルっとした不気味な感触・・



「これは・・・


 血の雫?!」


天井から血の様な雫が次々に堕ちて来ていた。




「は・・早く上がろうよ~!!」



洗い場の生徒が涙目で訴える。


が、湯船に異変が起こっているのに気づいた。



「何??その湯船!!」


「え?」


無数の長い髪の毛が循環口からワラワラと流れ出てくる。


後から後から出てくる髪の毛の束・・・



「何?この髪の毛~!!」


その髪の毛を掃おうとするが、離れるどころか纏わり付いてくる。

必死に髪の毛を掻き分ける。


「早くそこから出なよ!」


「うん!」


洗い場の女子生徒が手を掴んで湯船から引き上げる。


  ザバーー


死に物狂いで、何とか湯舟から出た女子生徒。

湯船は長い髪の毛でびっしりになっていた。




そして・・



湯船でゆらめく髪の毛


ひときわまとまった髪の毛の束になった部分があった。


その中に、


見た事も無い女の子の顔が映っていた・・


青白い肌から無数に生える長い髪の少女・・


こちらに目を向けて「ニッ」と笑う。



「い、イヤーーー!!!」


「きゃー!!」


慌てて浴室を飛び出す二人・・







血相を変えて部員達の居る部屋へなだれ込んできた二人。



「ど・・どうしたの?」



青ざめた顔をした新入部員達に驚いた上級生たち。



「な・・長い髪の・・


 女の子が!!」



「え??」


先輩たちの背筋に寒気が走った・・



「あそこで、何があったんですか?」


後輩に問い詰められ、前の年にあった事件を語る先輩たち・・


盛大な供養が行われていたにも関わらず、まだ怨念が残っているのだろうか・・

疲れさせて死に追いやった部員達を恨んであの世から戻って来たのだろうか・・


浴室がうっすらと青白く光っていた。

生徒達は恐怖にかられ、一晩中、寝付くことができなかったという。


その後、この合宿所の浴室で、女生徒の泣き声らしき音を聞いたという生徒が後を絶たなかった・・

また、何度も循環口を洗ったのだが、風呂から上がると、必ず長い髪が体に数本着いているという・・・


それは、あの女生徒が浮かばれず、あの浴室に現れるのでないかという噂となった・・



「今では、24時間の循環のスイッチは切られています。


 何度か配管を業者に見てもらったり、給湯器も取り替えてみたのですが・・


 女生徒が入浴していると長い髪の毛が、決まって流れ出てくるのです・・・


 仕方なく、普通の給湯器に切り替えて使ってもらっているのですが・・・・」



校長先生がロウソクをふっと吹き消す・・

白い煙が宙を漂う・・




「その・・事件のあった風呂って・・昨日私たちが入ったお風呂ですか~?」

恐る恐る雨宮先生が校長先生に聞いてみる・・


「そうです・・あの風呂で無残な最期をとげた女生徒の怨念が残っていると・・・」


「あ、先生・・胸元に長い髪が・・」

千佳ちゃんが先生に教えている・・


「ひー!!」

先生が飛び上がっている・・


「って・・先生の髪、長いじゃないですかぁ~?」


「千佳ちゃん!悪いジョーダンよしてよ~!!」

半分泣き顔になっている先生・・その様子を面白そうに見ている千佳ちゃん・・


「校長先生・・だいぶ脚色してますね・・?」

彼女が問いただす・・


「ふふ・・少し、サービスをしました・・」

校長先生も、サービスなんだか面白がってるのか・・いい性格をしている・・


「どうですか?望月さん??変化はありますか?」

校長先生が彼女に聞いている。


彼女が、辺りを見渡す・・

「いません・・」


その声にほっとする一同。







「それでは・・次の話です・・・」

校長先生が再び話し出す。


「これは、丁度20年前に起きた出来事です・・・」



ある女生徒が、男性教諭に恋をしたそうだ・・・

女子卓球部の顧問をしていたその教諭に、長い間想いを寄せていたが、3年の夏の最後の合宿に、思い切って告白をした。



その教諭には妻子があり、教え子との交際も禁止されていたため、

その女生徒の告白を受け入れることはできなかった・・


告白を断られた女生徒は悲しみのあまり、林へ駆けて行った・・


心配になり、女生徒を追う男性教諭・・



「待て!待つんだ!


 そっちへ行ったら・・・」


林の奥には、崖があり、危険で近づいてはいけない場所があった。



「来ないで!もうおしまいよ!!」


悲しみに打ちひしがれ、どうしようもない感情で頭がいっぱいになり、更に林の奥の方へと入って行く女生徒。


しかし・・



「あ!」



夜だったため、足元が見えない状況で、女生徒が崖で脚を滑らせ、誤って谷底へ転落してしまった・・






「その、崖には登山用のワイヤーが張られていて、


 女生徒が落ちた時に首が引っかかり、


 胴体から切断されてしまいました・・」




「ひー!!やめて~!!」


雨宮先生が頭をかかえて叫んでいる・・


この手の話は苦手のようだ・・想像してしまうらしい・・


隣に居た千佳ちゃんにしがみついている。



「先生・・


 それでもゴースト・バスター部の顧問ですか~?」


顰蹙ひんしゅくの目で見る千佳ちゃん・・

千佳ちゃんも強いな~・・





「恐る恐る男性教師が崖の下まで降りて行ったのですが・・・」


校長先生が続きを話す・・


「そこには、彼女の胴体だけが落ちていました・・


 血の海になった岩の上に横たわっていたのです・・」





「く・・首なしの・・遺体???」


先生が泣きそうな表情で聞き返す。


コクリとうなずく校長先生。


「林に落ちたはずの少女の首は、地元の警察や消防団の協力で、くまなく捜索されたのですが、どうしても、見つからなかったのです。」








そして、告白をされた教師も、その事件を悔やみ、その林で首を吊って自殺したという・・



その後、この合宿所の周辺の林で、首の無い少女の姿を目撃したという話がささやかれるようになったそうだ。



野球部がこの場所で合宿を行ったという。

新入部員の一人が、林に入ったボールを探していた・・


どれだけ探しても見つからないボール・・

薄暗かった夕方の明かりが急に暗くなりはじめる。


気がつくと、合宿所からかなり離れた場所に来ていた。




あの崖が近くに迫っていた・・・


少女が転落して無残な死を遂げた崖の近くまで来ていた・・・


その部員の背筋に寒気が走る。



急に恐ろしくなり、合宿所の明かりを目指して引き返そうと向きを変える。




その時・・


薄暗い林の茂みの・・


少し先の木の枝に、


何やら、ぶら下がっている物を見つけた・・


最初は木の枝の先に着いた葉っぱの塊だと思っていたのだが・・


良く見ると枝や葉ではない。




何やら、黒い塊が木の枝に吊るされているのだ。



1、2歩前に進んで目を凝らす・・




黒い塊は髪の毛??


髪の毛の塊が、木の枝に引っかかっている??






髪の毛の先に丸い塊がぶら下がっている・・


いや、首から生えた髪が枝に絡まって宙吊りになっていた・・


首から下は、何もなく、血が滴っている・・




その首が、2、3揺らいだと思ったら、


それと共にくるりと首がこちらを向いて・・


少女の顔が現れる・・


血の気の抜けた青白い肌・・


目を半眼に開けて、こちらの方を見つめる・・・


生きているのか死んでいるのか・・


この世の者の表情ではない。



部員はその場に、腰を抜かしてしまった・・



声も出ない程に恐怖に襲われた部員・・


数年前に発見されなかった少女の首が目の前にある。


必死に手を地面につかんで逃げようとした・・


その手の先に、丸いものが当たった・・


探していたはずのボール・・



「こんな所に・・」



そして、そのボールの先に、


何かが見えた・・


人間の裸足のつま先が見える・・・




誰かが探しに来てくれたのだろうか???


だが・・



靴を履いていない・・


林の中を歩くのに、裸足なのが不思議だった。


恐る恐る、見上げる野球部員・・



つま先の上の細い脚・・


太もも・・


スカートがヒラヒラと揺れる。


女性なのだろうか???


この合宿所に野球部以外は泊まっていないはずだった。


夕方にこんな林の中を裸足で歩いている女性??



更に目線を上げる。


白いブラウス・・


胸元は赤く染まり・・



その上の・・・







首から上の頭が無い!!!





首のない少女の胴体が立っていたのだ!!


血塗られた服を身にまとっている少女の胴体が、野球部員に向かって歩き出す。



目隠し鬼でもしているかの如く・・


見えない首を探して、手を差し伸ばして、たどたどしい足取りで、こちらへと迫りくる・・・



「ヒ!!ヒイーーーー!!!!」



叫び声を上げた野球部員。


腰を抜かしながら退くが、少女の首なし胴体が迫ってきている。


必死で後ろへと下がる野球部員。


だが、後ろの逃げるべき方向には宙づりの少女の首・・



その少女の首の髪の毛が解れ(ほつれ)、吊られた枝からスルスルと下がり始める。


野球部員の耳元まで降りて来た少女の首が囁く(ささやく)





「私の・・




 首は・・・




 ここよ・・・」





その声に気付いたかのように、首なしの胴体が野球部員めがけて手を伸ばしてくる。



「ギャアーーーー!!!!!!」



部員は、そこで気絶をしてしまった・・










夕食時間になっても帰ってこないのを心配して、他の部員が探しに来た・・

その部員が林で倒れていたのを発見され、合宿所へ連れて来られたが、恐怖で2、3日高熱にうなされたという・・



「今でも少女の霊が無くした自分の首を捜して、さまよっているという話です・・」



再び、ロウソクの灯を吹き消す校長先生・・

ごくりと皆が唾を飲む・・



彼女が、廻りを探っている・・

「何も、いません・・」



ホッとする一同・・

雨宮先生は、顔がひきつり・・今にも気絶しそうになっている・・



「校長先生・・それって、かなり脚色してるでしょ~?」

彼女が聞いてみる・・


「ふふ・・わかりますか・・」

校長先生がフッと笑みをもらす。



「少女が亡くなったのは事実ですが、


 崖で首を無くした話は後に生徒たちが付け加えたようですね。


 教師も自殺したというのも、作り話です。」




「作り話??


 どういう事なんですか?」


先生が聞きただす。






「その告白された教師は・・


 実は、私なのですから・・」


校長先生が、当事者?その事実に驚く一同。



「あれは、20年も前の話ですよ・・・」


校長先生が、補足を始める・・


ある女生徒から、告白を受け、断ったが、学力が低下している悩みもあって、思い余って林で首を吊ったそうだ・・

校長先生は探し回ったが、その生徒を見つけたときは、朝方で冷たくなっていた。


「その事件があってから、私は他の中学校に異動を命じられました・・


 学校側が事を荒立てたくないという配慮だったようですが・・


 あの時、私が上手く言えたなら、その子の人生も変わっていたのではないかと、長い間、後悔をしていたのです。


 月日は経ち、世間では忘れ去られた事件ですが・・


 私やあの子のご家族にとっては忘れられない出来事です。


 けじめは何時かは付けなければならないと思っていた。




 そう思っていた矢先です・・・


 この学校の校長として戻ってきた時・・


 丁度、学校中で話題になっていた『霊感少女』の噂を耳にして、


 不思議な巡り合わせだと感じたのです。


 ひょっとしたら、あの子に・・


 あの子の霊に会うことが出来るのではないか・・・


 あの子に、あの時のお詫びを伝えられるのではないか・・・


 今日、ここへ来たのは、それを確かめたかったのです。」



除霊を行っている彼女の噂を聞いて、その女生徒の霊に会えるのならば、謝りたかった・・・


それが、この合宿所に来た本当の目的だったらしい・・



校長先生にも、そんな過去があったなんて・・



「どうですかな?望月さん??」



「いえ・・何も・・」

全く反応が無い様子だ・・


その言葉に、少しガックリきている校長先生・・



「う~ん・・・」

彼女が首をかしげる。


「これだけやっても、現れないってことは・・


 誰かが除霊したのかな~??



 ・・・あ!!」


彼女が何やら思いついたようだ・・「誰かが除霊」・・僕も心当たりがある・・こういう事ができるのはあの人しかいない!!


「先生・・電話貸してもらえますか?」


「え?


 ええ・・」


ポケットから携帯電話を取り出す先生・・

その電話を受け取って何処かにかけている彼女・・



「あ・・お母様??」

彼女のお母さんに繋がったようだ・・




(あ、美奈子?


 どうしたの?こんな時間に・・)


山奥の神社で修行中の『お母様』・・・





「はい・・


 今、中学校の合宿所に来ているんですが、


 お母様、ここで除霊したことありますか?」





(合宿所の除霊???



 うーん・・したような・・しなかったような・・


 あの合宿所・・色んな霊がいたからね~・・


 うるさかったから・・2、3体は除霊したかな~?)




「やっぱり・・」




(それが、どうかしたの??)




「いえ!


 何でもありません!」



(あ・・・もし、も・・)

通話を一方的に切る彼女・・




「・・・という事です!


 お母様が除霊していたようで・・」


そうか・・20年も前だから、彼女のお母さんが除霊していたということか・・


納得!


この合宿所で霊の姿が見れなかった説明が付く。





「じゃあ・・


 もともと除霊されてて、この合宿所に霊は居なかったってことなのね!」


先生がほっとする・・


「ミナちゃんが霊を観なかったのは、そのためだったのね・・」


「全く・・人騒がせなお母様・・」



「一件落着ですな~」

校長先生も、肩から荷が落ちたようで一安心している。

自殺した少女への謝罪は達成できなかったが、成仏していればそれでよしというところか・・・



「校長先生・・事件は解決しましたが・・」

不安そうに校長先生に訊ねる雨宮先生。この合宿所の除霊がゴーストバスター部が認められる条件だった。


「まあ~、


 努力したんだから、部活として認めてもいいんじゃないんですか?


 除霊も済んだという事で・・」



「やった~!!」

一同喜びに湧き上がる。これだけ怖い目をしたのである・・喜びも一入だった・・



























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