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霊感ケータイ  作者: リッキー
現場
424/450

150.対決



 ガサガサ・・・


公園の樹林帯の中を草を分けて走るパパ。


「どっちの方なんだ?」


公園の植樹帯は意外に広く、なかなか場所が特定できない。


が、


目の前の一本の木の近くで、ゴソゴソと鞄に何やら仕舞い込む人影があった。

真っ暗な中で、作業が進まない様だった。


「いた!!」


思わず叫ぶパパ。

そちらへ向かうが・・



ビシ!!!!



「う!」



周囲に展開していたバリアーに何かが当たった。実体ではなく、霊的な攻撃・・

咄嗟に後ろに下がり、身構えるパパ。


その視線の先に、浮かび上がる黒い影・・


「星熊童子か!!」



「その通りだ・・

 この先へは行かせぬ!」


パパにとって、星熊童子とは二度目の対峙・・・

距離を置いて、相手の出方を見る・・




「フフ・・

 多少は動けるようになったようだな・・」


先程のパパの動きを見て、変化に気づいた星熊童子。

不敵な笑みを浮かべるパパ・・


「地獄で特訓してるんでね・・」


そう言いながら、周りを見回す。

外部のコンセントや照明などが無いか・・


今までの戦いでは、電気配線を利用して瞬時に動いていた星熊童子だったが、今回は、見当たらない。

童子本来の動きが試される。








 ババッババババッバ!!!!!!


童子が腕を一振りし、衝撃波が辺りの木の枝葉を散らす。


「来たか!!」

こういった攻撃は、目くらましの場合が多い。次の打ち込みが来るはず・・


 バ!!!


枝葉の舞う中を割って入って来た童子。


 シュン!!


童子が手刀を振り下ろすが、寸出のところで後ろへ身を引くパパ。


 シャ!!!


引いた場所へと、水平に、もう一撃を加える童子。

頭を下げて、その攻撃をも交わす。


「ウオーーーー!!!!!」


バリアーを解いて、童子の懐へ入り、拳を振るうパパ。



 バシー!!!!!


童子の脇腹目がけて打ち込んだパパだが、その拳を手のひらで受け、握り締められた。


「ぐあ・・・!!!」


拳を締め付けられて、もがき苦しむパパ。


「ふふ!この程度か!!

 非力な・・

 一気に、潰してやるわ!!」


パワーでは、圧倒的な差があるようだった。

余裕でねじ伏せる星熊童子。



「な・・

 南無大師・・


 返照金剛!!」


 ビシーーーー!!!!


苦し紛れに、パパの手から放たれた手刀が、童子の顔面にヒットする。


「グァ!!」



拳が解放され、瞬時に後ろに引くパパ。

バリアーを再び展開し、身構える。


攻撃された頬を押さえる童子。


「き・・貴様!!!

 私の顔に!!!」


「ふん!お互い様さ!!」


握りつぶされた拳を、治癒しているパパ・・・

ハァハァと息が上がっている。


互角に思われる戦いだが、やや童子の方が優勢の様だった。

再び、相・対してお互いの出方をけん制し合うパパと童子・・・・














再び公園の広場。


先輩と対峙している妖麗。

短刀を構えて、必死にこちらを睨みつけている先輩の殺気の様なモノを感じ取っていた。


相手は素人が故に戦い方を知らないのだ。

少しでも動けば、斬り込んでこられるだろう・・・

逆にその方が危険に思えた。


「この女子おなご・・・

 私の足止めを、熟す(こなす)とは・・・」



先程は、足止めをしていたのに、今度は逆の立場になっている。

パパを樹林帯へ通す事を許してしまった妖麗としては、早く童子の加勢もしたかった。


睨み合って、双方、動かない妖麗と先輩・・


「いつまでも、ここに居るワケにはいかないのは、同じね!!」


先輩が叫ぶ。


「く!こちらの、思考を読んでいるのか!」


先輩の言葉に焦る妖麗。

じりじりと間合いを詰めていた先輩に気づく。


「私には、聖様の援護の役目があるのだ!」


そう言って、斬りかかる妖麗。



 ・・・動いた!・・・


心に呟いた先輩。

妖麗の表情も分からないが、ボウっとした光の動きは分かった。



「や!!」

短刀で光の方へ斬り込む先輩。


「う!」


その攻撃を素早く交わす妖麗。

その動きについて行けない先輩。長い爪を振り上げる。


「ふふ!やはり、私の敵ではない!」


 シュン!!!


爪を振り下ろす妖麗。


 バッ!!!



「何?!」


妖麗の方へ、般若心経の書かれたタオルを放った先輩。


 ジュ・・・!!!


「グアーーー!!」


タオルを除けそびれ、片腕に火傷を負う妖麗。

即座に、そちらへ短刀を振るう先輩。


「くぅッ!!」


短刀の攻撃を交わし、後ろへ身を引く妖麗・・

火傷をした部分を手で押さえる。


「この女子・・・私を追い詰めるつもりか?」


再び、睨み合う二人・・・・










「観念なさい!

 もうすぐ、陽子さんが来るわ!!」


先輩が妖麗に言い放った。

妖麗にプレッシャーを与え、心理的戦に持ち込む先輩。


「ぬかすな!!!!」

必死の表情で斬り込む妖麗。



 ブーン!!!


先輩が短刀を振るが、宙を切った。

攻撃から身を交わして上方へ飛び上がった妖麗が先輩に襲い掛かる。


タオルをピンと引っ張り、妖麗の方へ向けるが・・


 ビ・ビーーー!・・・


タオルを切り裂いた妖麗の爪が、先輩の頬をかすねる。


「う!」

頬の傷口から血がにじむ・・・



「ふふ!

 素人など・・

 敵ではない!!」


あざ笑う妖麗。



だが・・・



「うぁーーーーーーー!!!!!!」


自分の血を見て、逆上した先輩が、妖麗に斬ってかかって来た。


 ブン・!!


  ブン・・!!!


   ブン!!!!! 



「うぁ!!うぁ!!うわーー!」


 ブン!!ブン!!


眼を見開いて、恐怖の表情で、妖麗に短刀を振り回す先輩。

ボウッと浮かび上がる光へ無我夢中で短刀を無差別に振るう。



「く!

 何だ!この気迫は・・!

 う!」


除けきれずに、短刀が妖麗の肩や腕に傷をつけていく。

下がる一方の妖麗・・





「うぁ!!!うぁ!!」


 ブン!!!


   ビン!!



「爪が!!」


妖麗の主たる武器である長い爪が切り裂かれた。


更に、涙目で迫る先輩。

危機感を覚えた妖麗・・・


「や・・やめろ!

 やめろ~!!!」


そんな妖麗の悲痛な叫びなど、聞こえない先輩・・・

目がだんだん血走っている。


「うわ!!!

  うわ~!!!!」


ブン!

  シュン!

   シュン!!!



先輩の激しい攻撃で、妖麗の体に、どんどん傷が入って行く。   


「う!

 これは!!

  修羅の・・目!!!」


般若の様な形相となっている先輩に怯む妖麗。


その時・・


「妖麗!あの少年は逃がした!

 長居は無用だ!

 引くぞ!!!」


星熊童子からのメッセージを受け取る妖麗。



「ぎ・・御意!」


その返事をしたが、一瞬、先輩から注意が反れていてしまった・・・


 ズル!!


「きゃ!!!!」


躓いて後ろに転んでしまう妖麗。後が無い。

地面に倒れ、動けない妖麗に向かって、先輩が短刀を振りかざす。


「このーーーー!!!!!


 消えて  

 無くなれーーーー!!!!」


恐怖に身がすくんでしまっている妖麗を目がけて先輩の刃が振り下ろされる。



「いや!


 こ・・

 来ないでーーー!!!」


その助けの声も先輩には届かない。




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