146.奇襲2
「いや~、一時はどうなる事かと思いました!」
ホッとしている拓夢君。
「でも、助かったよ!
タクムも良いトコに出てきたじゃん!」
「へへへ・・」
拓夢君を褒めている千佳ちゃん。
「ヒロシ君!ありがとう!」
彼女が僕にお礼を言っている。
抱きつかれてはいるけど・・・・
「あれ?
何か、ヒロシ君・・
この匂い・・」
クンクンと僕の匂いを嗅ぐ彼女・・
ギク!先輩との事がバレタか???
「帰りに、先輩が、寄って行ったんだよ!
霊感ケータイを貸したんだ。」
包み隠さず、彼女に報告する僕・・
肝心な事は伏せてはいるが・・
「ふ~ん・・・
襲われてないでしょうね!!」
僕をジロッと見る彼女・・・
「あはは・・大丈夫だよ!」
本当は大丈夫ではなかったのだが・・・・
「ま、いいか!
ヒロシ君の御蔭で、助かったんだし!
やっぱり、王子様なんだな~。」
再び抱きつく彼女・・
巫女姿の彼女は、魅力的だ。
それにしても・・王子様って・・ちょっと古いんじゃない???
そう言って、安心している僕達・・・
その時・・
コーーーーーン!!!!
「う!!!!!」
彼女がいきなり胸を押さえた。
「どうしたんだ?
ミナ!!」
「胸が!!!」
コーーーーン!!!
「がぁ!!!」
吐きそうになる彼女・・
胸を押えて、かなり苦しそうだ。
「美奈ちゃん!!!」
「副部長!!」
床にうずくまってしまった彼女を心配している皆・・
「うッ・・・
こッ・・
これは・・
ワラ人形!!!」
「何だって?!!!」
再びワラ人形の攻撃を受けているのか???
コーーーーン!!!
「うう!!!」
床を這いずる彼女。
「ミナ!!」
体をさするが、痛みが激しい様子だ。
「け・・
結界を・・
張らないと・・・」
だが、その余力も無く、その場に倒れてしまう彼女・・
先程の浄霊と妖麗との対決で、殆ど霊力を使ってしまったようだった。
学校の外・・
校門から少し離れた道路に、自転車に乗った少女・・・
その少女が叫ぶ。
「パパさん!
どっちの方ですか?」
パパさん?
翔子ちゃんのパパが居るのだろうか?
その少女の目線の先・・・、
パパが上空に浮かび、耳を凝らしている。
コーーーーーン!!!
波動の様なモノが響いてきた。
「こっちだ!!!
未来ちゃん!!」
その波動の来る先を示すパパ。
「了解です!!」
霊感ケータイでパパの姿を確認した少女・・・
いや・・
未来先輩・・・
自転車で、その方向へと走り出す。
・・・今日こそ!
童子の操る少年を突き止める!!!・・・
上空で波動の来る方向を探索するパパ・・
それを追いかける先輩・・・