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霊感ケータイ  作者: リッキー
現場
417/450

143.胸騒ぎ


「じゃあ、先生の自転車、お借りしますね!」


僕と先生に見送られながら、勢い良く玄関のドアから出て行く先輩。

先生の自転車で、防犯カメラを振り切る作戦だ。


明日の朝、迎えに来るという事だった・・

それにしても、ルンルンの後姿の先輩だった・・


顔を見合わせる先生と僕・・


「何か・・

 良い事あったの?


 水島さん・・」



「いや・・


 何も・・

 ないですが・・・」


とぼけている僕の顔を覗き込んで・・


「ふ~ん・・」


と言った先生・・


さらに・・


「さっき、何か、大きな音がしたんだけど・・

 何かあったの?」


先輩が飛びついてベットに倒れた音だろうか?


「あ・・

 ちょっと・・


 本棚の本が落ちて・・」


誤魔化そうとする僕・・



「ふ~ん・・・」


何か、その『ふ~ん』が異様に気になる・・・・









その夜・・


僕は、なかなか寝付けなかった・・

先輩との別れ際での、この部屋でした事を考えると、興奮して眠れない。


 先輩とキスした事・・

 

 抱き合った事・・


彼女に隠れて先輩と抱き合ってたなんて知ったら、何て言えば良いのか・・

先輩を励ます為とはいえ・・こんな事をして良いのだろうか?


翔子ちゃんの時に、許してくれた彼女・・


 「最初は、君とする・・」

って約束はしたけれど・・

それさえ、守れればキスしたり、抱き合ったりするまではOKなのか?

何処まで許されるのだろう?


いや・・


彼女を裏切っているのには、変わりない・・・


罪悪感が沸々と湧き出る・・



そして、寝付けないのは先輩の事だけではなかった・・・。

昼間の出来事が気になったのもある。


都心での今西さん達の追っている一連の事件、そして、こちらでの博士の研究・・

これからの対応をどうするのか・・


明日、部活で決めようと先生が言っていた。

各自で出来る事を考えて、会議をするのだろうか・・・・


皆が、それぞれ出来る事・・

大した事も出来ないような気もしていた。



でも、皆は何を考えてくるのだろう・・・








博士の消磁作業は次々に行われ、校内中の地縛霊を、夕方の理科準備室の教師の霊の様に、無残な姿にしてしまうのだろうか・・・


それを防ぐ方法なんて、あるのだろうか・・・


先輩は、何を考えてくるのだろう?


彼女は、何を考えてくるのだろう?



そんな事を想っていると、寝付けない・・



そう・・彼女も、今頃は、考えているはずだ。

明日、何をすれば良いのか・・・



博士の作業をする前に・・

浄霊をするのがベストだろう。


北校舎を千佳ちゃんと浄霊しまくった、あの時の様に・・・


博士が次の作業をする前に・・・



それは、


いつ?


明日の会議の時では間に合わない・・

今日、一緒に帰った彼女と千佳ちゃん・・・



 まさか!


ベットから飛び起きた僕・・



寝付けなかったのは、これが原因?


先輩の言っていた、


 「気がかりな事は・・

   まだあるわ・・・」


って、この事なのか?



まてよ・・


先輩なら、そんな時、どうするのだろう?


今、霊感ケータイは先輩の手元にある。


この展開を読んでいたのなら、次に先輩のする事は・・・



僕には今・・霊感ケータイが無い・・




胸騒ぎがした・・







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