7.告白
放課後、林の脇のベンチに響子の姿があった・・
テニスコートでは、部活が始まり、大勢の部員がコートで練習をしている。
その姿を見つめる響子・・
ガサガサ・・
林のほうからまた草をわける音がする・・
陽子が現れた。
「ちわー!」
「また、アナタ?」
「ふふ・・よくここにいるよね~」
「関係ないでしょ!」
少し怒り気味の響子。
その目線に、一人の男子生徒の姿が・・
テニスに没頭している生徒。
なかなか筋がよく、先生から指導を受けながら練習をしているようだ・・
「2年生の成沢先輩・・
その運動神経は他の部員の群を抜き、テニスでは県大会に何度も出場している・・
この高校の女子の人気は1,2を争う・・
交際を申し込まれるものの全て断っているそうな・・」
どこで調べたのか、陽子が先輩の素性を説明している・・
ギクッとなる響子
「何・・解説してんのよ~!」
「うふふ・・
やっぱりそうか~
成沢先輩狙いだね~!」
「そんなんじゃ・・」
顔を赤らめながら必死で答える響子。
「いや~あの先輩は固いよ~
有名だよ~!」
半分からかっている様子だ。
「そんなの分かってるよ~!
中学校からそうだったんだもん!
あ!・・・」
思わず、口に手を当てる響子・・
でも遅かった・・
実はこの高校に入ったのも、あの成沢先輩を追いかけて猛勉強したのであった・・
「そんなに好きならさ~・・」
詰め寄って響子の顔をみつめる陽子・・
「ラブレターなんかどう?」
興味本位のような感じだ・・
他人の恋路だから良いように提案してくる・・
「ラブレター?」
「下駄箱にでも入れて、
放課後、呼び出すんだよ!」
「そんな・・私・・」
どうも恥ずかしいようだ・・・
「そんなに、恥ずかしがってては、前に進めない!
ずっと思ってたんでしょ?
付き合いたいんでしょ!?」
何で、ここまで親身になってくれるのか不思議だったが、響子も決心したようで・・
「うん・・・やってみる!!」
どうやらその気になったようである・・
「よっしゃ~!
私、望月陽子が全面協力しちゃうもんね~!」
何か・・頼もしいのか、頼もしくないのか・・
変な少女に目をつけられたものである・・・
その晩、響子は必死で手紙の文面を考えた・・
中学校から今までの想いを端的に・・
成沢先輩、おはようございます。
突然のお手紙、驚かせてすみません。
私は、中学校の頃から先輩の事が好きで、
同じこの高校を目指して、この春、入学してきました。
もし、よろしければ、放課後、テニスコート脇の林のベンチに来て下さい。
お待ちしています。
1年2組 一橋 響子
次の日の朝・・
学校の下駄箱・・
その脇に隠れる二人。
響子が書いてきたラブレターを胸元に必死に抱えている。
陽子もタイミングを見計らっている。
「早くしないと、来ちゃうよ!」
「うん・・」
登校時間も中盤に差し掛かり、生徒がまばらに玄関に入りだす。
こうなると、人目につくのだか、人ごみに紛れ込めるのか・・
何ともいえない状況・・
そんな状況下、響子は未だに手紙を持ったまま・・
「え~いい!見てらんない!!」
「あ!」
バッと響子から手紙を掴み取り、ダッシュで先輩の下駄箱へ手紙を入れ込む陽子・・
すかさず、こちらのほうへ走って戻ってくる・・
「入れてきたよ!」
「あ・・ありがとう!」
そこへ、先輩の姿が入ってくる。
2、3の男子生徒たちと一緒である。
下駄箱を開けると、中の手紙に気づいたようだ。
他の男子生徒に、からかわれている様子・・
手紙をポケットに入れ、廊下へと向かっていった・・・
その一連の動作を確認している、陽子と響子・・
「ふう・・持ってったみたいだね」
「うん・・」
はあ~っとため息をつく響子
「来てくれるかなあ・・?」
「さあね~やることやったんだから・・
後は運を天に任せるのみ!」
「そうね・・」
「じゃあ、放課後、あのベンチでね!」
「うん・・」
各教室へ戻る彼女達・・
どうなるのであろうか??
放課後、二人の姿が林の脇のベンチにあった・・
長い間待っているのだが、
「やっぱり・・来ないよ・・たぶん・・」
「諦めるな!まだまだこれから!!」
ベンチに座り、時計を見つめながら、胸に手を当てている響子。
辺りをきょろきょろと見張っている陽子・・
テニスコートに何人か部員が集まってきている。
もう部活が始まる時間らしい・・
「部活・始まっちゃうね・・」
「ちょっと待っててくれる?」
何やら思いついたらしく、陽子が小走りにテニスコートのほうへと向かっていく・・
テニス部の部室。
部室はコート脇の小棟の一角に入っている。
野球部やサッカー部と同じ棟だ。
ちょうど、着替えをした成沢先輩達が、部室から出てくるところだった・・
「あの!!」
陽子が部室から出てきた成沢先輩達の前に立ち塞がっている。
眉をしかめ、腕を組み、仁王立ちである。
その様子に、少し驚いた成沢先輩達・・
「何だい?君は・・」
「1年3組の望月陽子っていいます!」
また、新手の交際申し込みかと思い、
「ああ・・オレ・・
もうすぐ試合で、忙しいんだけど・・」
軽くあしらおうとするが・・・
「あの、手紙、読んで頂けたでしょうか?」
更に先輩に喰い下がる陽子。
「手紙?」
「今朝、下駄箱に入れた手紙です!」
「ああ、アレ、君のだったんだ?
まだ見てないな・・
よく、そういうの来るんだよね・・」
陽子はその先輩の対応にカチンときたようだ・・
何やらスイッチが入った????
「そうやって、女の子達の想いを受け取らないで・・
あの手紙、どれだけ苦労して書いたか!
どれだけ恥ずかしい思いをして下駄箱に入れたか!
あなたの返事を、ずっとドキドキして待っているんです!
それを、あなたは平気な顔して
あしらうんですか???
そんなの!
卑怯です!!!!」
「卑怯??」
その言葉に、カチンときた成沢先輩だった・・
「急に飛び出してきて、いきなり卑怯ってのも、尋常でないな・・」
少し怒り気味・・
「お、おい・・成沢・・」
二人の言い合いに、隣の男子生徒もちょっとたじろいで止めに入るが・・
「それじゃあ・・
テニスで勝負して下さい!」
陽子が先輩に勝負を挑む。
「へ??このオレと?」
陽子の申し出に驚き、隣にいた男子生徒と目を合わせる・・
無謀な挑戦に少し呆れて隣の男子生徒が・・
「あのさ・・
成沢は県大会でも1・2を争うくらいなんだよ・・」
「そんなの分かってます!」
威勢のいい女の子に困った感じの二人・・
「私が勝ったら、あそこの女の子の話を聞いてください!」
林のベンチに座っている響子を指差している。
「ああ・・・あの子ね・・
だいぶ前からあそこで見てるよね・・」
隣の男子生徒は、ずっと気にしていたようだ。
少し考えて、成沢先輩が答えた・・
「うーん・・いいだろう・・
その代わり、君が負けた場合・・
何をしてくれるのかな?」
「え?」
陽子は何も考えていなかった・・
自分が負けた場合は、その代償もなければ、全く一方的な要望でしかない。
「あ・・
あの・・
私の大切なものをあげます!」
顔を赤らめて先輩に返す陽子。
大切なものって・・
何なのだろう?
っていうか、この子は何も考えていないと思う。
単に、がむしゃらに行動しているようでもある・・
その言葉に驚いている二人・・
目を合わせてどうしていいのか迷っているようだったが・・
「OK!じゃあ、準備しな!
長谷川・・審判頼むよ!」
「ああ・・」
脇にいた男子生徒がうなずく・・
とんでもないことになってしまった。
体操着に着替えた陽子。
半そでのシャツを伸ばして、ちらりとのぞくブルマー姿。頭にバンダナを巻いて、コートへ入ってくる。
長谷川という男子生徒が審判席に座っている。
テニスボールを持ちながら、成沢先輩もコートに入ってくる・・
「いいかい、勝負は3セット!
2セット先に取ったほうが勝ちだヨ!」
「ハイ!」
身構える。陽子
ボールを頭上に放り上げる先輩。
ラケットを勢いよく振り下ろす・・
バシ!・・・
強力なサーブが陽子の体のすぐ脇を掠め(かすめ)、コートのコーナーギリギリに・・
ほとんど、身動きが出来なかった陽子・・
「15-0!」
審判をしている男子生徒の声。
ふっと笑みを見せる成沢先輩。
その姿を見ながら・・
(やっぱり、県大会選手はやるな~・・)
ごくりと唾を飲む陽子・・
次のサーブに備えて、また構える。
「じゃ、次・・行くよ!」
先輩は、そう言うと、再度ボールを上に投げ上げる・・
パーン!
ラケットが振り下ろされ、ボールが飛んでくる。
今度は、見えるようだ。
跳ね返るボールに向かって、力の限り打ち返す陽子・・
ポン!!!
ビーン・・・
ボールがネットにひっかっかる。
そのまま先輩側のコートへと落ちていく・・
それを急いで拾いに行く先輩・・
間に合わない・・
ポン・・
ポン・・
コートに弾むボール・・
「15-15!」
「やるじゃん・・」
先輩の一言・・
今度は陽子が少し笑っている。
「マグレですよ・・」
再び、サービス上でボールを持つ先輩・・
次のサーブを打ち返し、ラッシュとなる。
互角?
いや・・
遊ばれている感じもある。
何度か、激しいラッシュを繰り返した後・・
「40-15」
「マッチポイントだね~」
まだ序の口といった先輩・・
ハアハアと息が荒い陽子・・
やはり実力の差か・・
再度、きりっとなり、身構える陽子を見る先輩。
「容赦はしないよ・・」
パーン!
また、陽子の脇をボールが掠め(かすめ)る・・
サービスエース!
途方にくれている感じの陽子。
ベンチにドサっと座り込む。
次のセットをとられれば、負けである・・
そこへ水筒が差し出される。
響子だ・・
今の打ち合いを見ていて、心配になって駆けつけてきたらしい。
「どうしたの?先輩とやりあうなんて!」
その言葉に、少しムッとなる陽子・・
「どうしたのって、
アンタの!・・・・」
はっと我に返る陽子。
不思議そうに聞き返す響子。
「私の??」
「イヤァ・・何でもない・・!
今は、私のためでもある・・・」
「今は??」
そう・・自分の大切なものを賭けて戦っていたのでもある。
何やら、考えてる陽子。
「やっぱり、あの先輩・・
素質があるわ・・」
ポツリと呟いた(つぶやいた)陽子。
「へ?」
「ああ・・、
私ってオーラが見えるのよ」
「オーラ?」
誰でも、人間にはその周りに、取り巻くオーラが存在する。
そのオーラはその人それぞれで、色も感じも違うのだ。
「あの人は、いいプレーヤーになるオーラがある・・
試合をしていてそう感じた・・
そうね・・
ちょっとやる気になった当たりからかな~」
「へぇー!スゴイんだねぇ!
オーラが見えるなんて!」
「でも、、この試合、負けてもいられないし!!」
「??勝てるの?」
「やってみる・・」
そう言うや否や、ベンチの上で瞑想をはじめた陽子。
手をひざの上で組んで、目を閉じている。
何やらブツブツと呪文のようなものを唱えている。
その様子を見ている先輩。
「仲のいい女の子達だこと・・!」
タオルで顔を拭いている。
「おーい!そろそろはじめるぞ~!」
その声に、反応した様に、キッとなる陽子・・
先ほどと少し様子が違う。
「何をしたの?」
響子が問い詰める。
「ふふ・・ちょっと、このコートに流れるオーラを集めたの・・」
「このコートに流れる?」
目を閉じている陽子の短い髪が、風に揺られている・・
「自然の流れ、
大地の流れ・・
空気の流れ・・
その土地土地に流れる『気』があるのよ・・
このコートにはたくさんの汗を流した人たちの『気』が流れている・・
それを、私の中に取り込んだの!」
元気玉みたいなものなのだろうか??
みんなの元気をちょっとずつってヤツか???
「今度は、さっきと違うわよ!」
そう言うと、ボールを握り締めて、コートへと入っていく・・
手から2、3回地面にボールをバウンドさせる陽子。
目は、先輩のほうへ向けている。
「がんばれー、陽子~!」
ベンチで響子が応援している。それを横目で見ながら先輩に話す陽子・・
「行きますよ!」
構える先輩。
ラケットを持つ手に力が入る。
ボールを投げ上げる陽子。
パーーーーーン!!
ラケットを振り、勢いよく、打ち出す。
ピシーーーーッツ!!
先輩の脚の脇を掠め(かすめ)、コートのセンターぎりぎりに入るボール・・
「15-0!」
にやっと笑みを浮かべる陽子・・
身動きがとれなかった先輩・・
思いがけないサーブに驚いている。
「いいぞー!陽子~!」
響子が思わず応援している。
それをチラっと見る、先輩・・
それに気が付き、たじろぎ、態度を変える・・
「成沢先輩もがんばってー」
その様子を見て陽子がつっこむ。
「あんたは、どっちの応援するんじゃ~!」
「だってぇ・・」
コートとベンチでやりあっている二人。
それを見て、笑みを浮かべる先輩。
「漫才でもやってるのかぁ??」
はっとなり、次のサーブに移る陽子・・
「次、行きますよ~!」
その言葉には、返事は無かった・・
真剣な眼差しで構える先輩の姿が・・
陽子も、真剣になる。
放り上げるボール・・・
「ゲーム、レシーバー!ゲームセット!」
激しいラッシュが続き、激闘の末、このセットも先輩に取られてしまった・・
ハアハアと荒い息で、コートに両手を突いている陽子・・
タオルと水筒を持って駆け寄ってきた響子が、介抱している。
二人に向かって歩いてくる先輩・・・・。
「いい試合だったよ!」
その言葉に、答える陽子
「やっぱり、素質、ありますね・・」
「素質?」
「先輩が、後半、真剣になったとき、感じました・・
全国も努力次第で狙えますヨ!」
「そりゃあ、どうも・・
ありがとう・・」
不思議そうに答える先輩。
そして、はっと思い出し、先輩のほうを見る陽子。
「あ、、、アタシの・・」
とりみだして顔が赤くなっている。
その言葉が終わらないうちに、先輩が切り出す・・・
「ボクの負けだよ!」
「へ?」
予期せぬ答えに、びっくりしている陽子。
「君たちの友情に、負けたよ!」
「じゃあ・・」
「わかった、わかった・・
返事をしますヨ!
君・・ちょっと来てくれる?」
響子に声をかけた先輩。
「へ?は・・はい・・」
顔を赤らめながら憧れの先輩についていく響子・・
林のベンチの方へと二人で歩いていく・・
それを見守る陽子・・
「あはぁ・・・
助かったぁ・・・」
肩の荷が下りたのか、コートに座り込む。
何が良かったかといえば、自分の大切なものをあげなくて良くなったということ・・
駅前のファーストフード店
「わぁーーーーーーーん!!」
フライドポテトとコーラを前に、泣きじゃくる響子の姿があった・・
その肩をたたきながら、慰めている陽子・・
「泣くな、泣くな!
一度フラれたくらいで~」
「だって~・・だって~!!」
廻りの客がその様子をちらっと見ている。
涙と鼻水であふれている響子。
すごい顔だ・・
廻りを気にしながら、少し、恥ずかしそうにしている陽子。
「に・・しても、お互い無茶かますよな~」
「無茶~?」
「イテテ!筋肉痛が・・」
「大丈夫?~ひっく」
「ああ・・平気・・
ちょっと相手が悪かったかな・・お互いに・・」
「ごめんね・・
私のために・・うっ!」
紙ナプキンを5、6枚取り出して再び、目にあてがう響子。
「でも・・私・・嬉しかった・・」
「ん~?」
「私のために、先輩に勝負を挑んでくれたんだもん・・」
「あはは・・そりゃ・・・
放っておけなかったからなぁ~・・」
「何で?」
「それは・・・・」
返答に困っている・・
「親友だからさ!」
「つい昨日、会ったばかりなのにぃ?」
「じゃあ、友達からってことにしよう・・
ダメ?」
かなり、強引な答えに、自分でもやりようのない感じである・・
それを見かねて・・
「うん!友達からね!!」
涙をこすりながら、照れているようである。
「それにしても、さぁ・・
成沢先輩と互角に戦えるなんて、スゴイよね!
テニス部に入ったら?」
「へ?・・いやぁ・・
あれは、あの場所のオーラを使っただけで・・」
恐山などでイタコが亡くなった人の「口写し」をするが、自分に亡くなった人の魂を憑依させることで、その人のメッセージを伝えることができる。
陽子の場合は、その応用で、特定の霊や地に流れるエネルギーを体に取り込んで、その能力を引き出すという能力があるらしい・・
「??、部活とかは?」
「中学校では、バトミントン部だったよ!」
「え~!!アンタ、テニスやったこと無いの??」
「ラケット・・おんなじ形ジャン!!」
「そーいう問題じゃないでしょ!!」
陽子のざっくばらんな性格が、少し分かりづらい響子であったが、何処か憎めないのだった・・
笑顔が絶えない陽子が、ちょっぴりうらやましい感じもした。
「おかしな人・・」
それから、和気藹々と話をしている陽子と響子であった・・・
シャワー室で・・
テニス部の部室のある小棟のシャワー室。
成沢先輩と、もう一人の男子生徒が部活を終えて、汗を流している。
他の部員とは違うのか、最後の最後まで、練習をして日も暮れるまでになってしまっている・・
「なあ、長谷川・・」
キュッと蛇口を閉めて、成沢が話しかける。
「何だい?」
先にシャワーを終えた長谷川がタオルで体を拭きながら答える。
「昼間の女の子達・・」
「気になるのか?」
「いや・・・
あ、そうだな
気になるな・・」
少し戸惑っている様子・・
「あの、勝負を挑んできた方の子って、霊感があるって噂だぜ!」
「霊感?」
「何でも、除霊とかしてるって、中学校からの女子が言ってたな・・」
「ふうん・・霊感少女か・・
オレに・・
全国も夢ではないって・・
言ってた・・」
「ああ、もっと練習すれば、行けるよ!頑張ろうぜ!!」
「ああ・・」
「でも、驚いたよ!
いきなり『大切なものをあげます!』って言うんだもんな~
大切なものって何なんだろうな~?」
「うん・・
似てる・・」
シャワーを浴び終わって、タオル姿で出てくる成沢先輩・・
「あ・・
ミキちゃんの事か・・?」
着替えの上にあった、生徒手帳を取り出す、先輩・・
最後のページに挿んである1枚の白黒写真。
制服を着た少女が笑っている。
それを見ながら、物思いにふけっているようである・・
「成沢・・
お前・・まだ・・・」
「ああ・・忘れられない・・
ミキと一緒にいた時間の事が・・」
写真を見つめる先輩を、単に見守るだけしかできない長谷川先輩・・




