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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
364/450

90.攻防


教頭先生の実家の門の前に到着した先生の車・・


「まだ、来ていないと思うけど・・」

先輩が呟く。


「水島さん、教頭が来たらどうするの?」

先生が聞いてくる。


「この自動車を、教頭先生の車の前に横づけして、進路を妨害するんです。

 停車している隙に、今西さんを助手席から降ろして、身柄を確保する・・」


「でも、今西さんは、催眠状態だって・・・」



「『艶香草』は湯気に弱いんです。

 おそらく、今西さんは催眠状態から解放される・・・」


意外な事実だった・・

艶香草の効果は、周りに湯気があると薄れてしまう。

風呂かシャワーを浴びた今西は正気を取り戻しているはずだった・・・


「え?今西さん・・湯気のある所に居るの?」



「え・・

 ええ・・

 たぶん・・・」


今西達の行き先を響子からこっそり知らされていた先輩・・・

顔を赤らめ、それ以上、どう答えていいか分からなかった。



だが・・



「待って!変だよ!!」


拓夢君が何かに気づく。



「皆!外に出るんだ!!」






バタン・


  バタン・・


急いで先生の車を降りる面々・・

拓夢君の視線の先・・教頭先生の実家の長い塀が続く側道の真ん中に、白い影が地上すれすれに浮かんでいる。


「童子なの?!」

目を凝らす先輩。


先輩には微かに感じ取る事が出来た。

霊感メガネをかけている拓夢君が叫ぶ。


「いや!こいつは童子じゃない!」


童子よりも遥かに小さかった。

小学校高学年くらいの女の子の姿・・

だが、狐の装いをして、目がギラリと光っている。


指の先には長い爪・・




拓夢君の後ろに控えている千佳ちゃんのポケベルに反応があった。


 ワレハ ヨウレイ

 ホシクマドウジサマノミッテイ!

    ヨウレイ



「ヨウ・レイ?」


ポケベルの表示を読む千佳ちゃん。



 ソナタガ ミク カ・・

 ヒジリサマノ ジャマヲスル オナゴ・・

 ココデ タオシテオク!

    ヨウレイ



「来るわよ!気をつけて!!」


千佳ちゃんが叫ぶ。

布を取ったサスマタを構える拓夢君の後ろに先生と沙希ちゃんも隠れる。



「参る!!」


長い爪を振りかざす妖麗が、先輩に向かってくる。


般若心経の書かれたタオルを両手で思いっきり張る未来先輩。



「危ない!お姉ちゃん!!」



 バシィ!!!!


妖麗の爪をタオルで受け止めた先輩。


「ふふ・・やるな!」


先輩が、その力にジリジリと押されている。下がる一方の先輩・・


もう片手の爪を振りかざして、攻撃を仕掛けようとする妖麗。




 シュン!!


拓夢君のサスマタが振り下ろされる。


一瞬で身を除けてサスマタの上に飛び乗った妖麗。


「く!」


サスマタを引いて、振り落とそうとする。


飛び上がって地面に着地する妖麗。


そこへ、すかさずサスマタを振りかざす。


剣筋を見切って下がる妖麗。


 ブーン・・・


サスマタが宙を斬る。




「すばしこいヤツだ!!」


叫ぶ拓夢君。



「そのサスマタ・・


 元は親方様の太刀だと聞く・・


 霊体も切り刻むと言うが・・



 まだ、


 扱いに慣れていない様だな・・」



ニヤッと笑う妖麗。


次の瞬間、拓夢君のふところに入り、爪を振りかざす。



 ビリ!!!


「ぐあ!!」


腹部を斬られた拓夢君・・


だが、着ているシャツにも般若心経が書かれていた。


深手には至らなかったが、斬られた所から血がしたたり落ちる。



「タクム!!」



「う・・」


腹を押さえて、倒れ込む拓夢君・・

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