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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
360/450

86.追跡


学校の屋上。

大谷先輩が教頭先生の位置を測定し、パソコンに入力している。


パソコン画面には地形図が表示され、教頭先生の現在位置が点になって現わされる。

カーブの多い山道を指していた。


Hijiriからメールが入ってくる。



 合宿所から山道で引き返して来てるみたいだね

     Hijiri


 はい。

    昇


メールを返す大谷先輩。


次の瞬間、大谷先輩の目がうつろになる。

トランス状態の様に無表情になる大谷先輩・・・


星熊童子が大谷先輩に憑依していた。

キーボードを打ち始め、メールを送る。



 教頭の向かう先は推測できるか?

   聖



 だいたいの見当は付いている。

 教頭の実家だ。

  Hijiri



 なぜ、わかるのだ?

   聖



 首飾りに艶香草を仕込ませていた。

 そろそろ今西が催眠状態になる頃だ・・

 教頭は今西をずっと想っていたからね。

 実家の両親に会わせるつもりだろう。

   Hijiri



 なるほど

   聖



「聖様・・では、私は教頭の実家で待ち伏せします!」


メールを読んでいた妖麗が実家に向かおうとしていた。


「うむ!」

その行動を容認する星熊童子。


だが、再び、Hijiriからメールが入る・・




 いや!待て!!

  Hijiri



 どうしたのだ?

    聖



 ヒロシ達に動きがあった!

  Hijiri



 動きだと?

   聖











都心のネットカフェ・・


パーティションに区切られた一室のソファーに座るHijiri・・

その目線の先にあるモニターに、先生のマンションのエントランスにある防犯カメラの映像が映し出されていた。


玄関の自動ドアから外に出るヒロシと未来先輩の姿があった。



「このタイミングで、

 何処へ行こうというのだ・・・!

 街中は私のテリトリーだというのを知っているはずだ!」



携帯電話も無く、「霊」からの攻撃にも無防備な二人・・

丸腰同然で外へ向かう・・


モニターの画面が切り替わり、先生のマンションの向かいにある住宅の玄関先の防犯カメラの映像が映し出される。

都会から離れている地方の街とは言え、あちこちに防犯カメラが設置されているのだ。


先生のマンションの玄関から、ヒロシと未来先輩が出てくる。



そして・・


マンションの脇の自転車置き場へと向かって行った・・







  ・

  ・

  ・


先生のマンションの建物の外・・

僕と先輩が言葉を交わす。


「ヒロシ君!手筈通りにね!」


「はい!あの場所で落ち合いましょう!」


そう言って、僕と先輩が別れて、自転車で道路を走り出す。



 シャーーーーー



颯爽さっそうと風を切って走る自転車。









「自転車だと?!!」

その行動に驚いたHijiri。

ヒロシと未来先輩が自転車に乗り、街へと向かう画像がモニターに映し出されている。


















シャーーーーー


「先ずは、あのコンビニか!」

コンビニの脇を通り過ぎる僕・・


その先の十字路を曲がる。

次の目的地は駅前だ。






先輩は、僕と別のルートで自転車を走らせている。

ビルの屋上など・・

上を見ながら、童子の居そうな場所を観察する。


「あそこでは、無いわね・・」


先輩は霊感がある。

童子クラスの霊は直ぐに分かると言っていた。


例の中学生と一緒に居るはずの『本陣』を探す。


高台やビルの屋上・・

教頭先生の居場所を探知し易い場所に居るはずなのだ。








僕と先輩が別れて行動しているのは、Hijiriの追跡を撹乱するため・・


僕はコンビニなどの店舗に設置されている防犯カメラにわざと映るように走っていた。

しかも、でたらめな、ジグザグのコースを選んでいる。


先輩も同じく、目的地を悟られないコースを選んでいた。

自転車ですばやく移動すれば、その分だけHijiriに発見されずらく、惑わす事ができるのだ。




駅前のロータリーを一周して、駅前通りをまっしぐらに進む。


「きゃ!」


歩道近くで立ち止まっていた女子高生くらいの女の人のスカートがまくれ上がった。

周辺の男性の目が、その光景に釘付けになる。

ごめんよ~!






スカートを抑えて顔を赤らめている女の子。


「もう~!!」


「ははは・・スカートが短すぎたようだな・・」


「博士~!!何とか言ってくださいよ~!!」


「もう、あの自転車は見えんワイ・・よほど、急ぎの用があるのかのう・・」


「う~・・・

 せっかくのデートなのに~・・」



「ところで、どの喫茶店に入るのかな?」


「あ、あそこです!」


駅前の小路にある、こじんまりした喫茶店を指さしたユミちゃん。


「おしゃれでしょ~?」

「ふふ・・そうじゃのう・・」


喫茶店へと入っていく博士とユミちゃん。











都心のネットカフェでモニターをチェックしているHijiri・・

画面には地形図と防犯カメラの映像が羅列されている。


「くそ!ヒロシと未来め!

 ワザとジグザグに走っているな!」


モニターの地形図にヒロシと未来の位置が記されていく。

自転車で移動してきた軌跡が2本の複雑な直線で表されている。


「どこへ向かっている!!・・・」


焦りだすHijiri・・






そして、未来の姿を見たとき・・。

未来が自転車に乗りながら、何かを探索している姿が映し出されている。


「しまった!!

 未来の目的は!!!」


メールを打ち始めるHijiri・・




 ・

 ・

 ・


 ・



学校の屋上・・

パソコンに向かっている大谷先輩を操る星熊童子の元に、Hijiriからメールが届く。



 未来の目的はそちらの位置の探索だ

 見つかるのは時間の問題だろう・・

   Hijiji



 望月美奈子の乗る自動車のマークは?

   聖


 続けている。

 見失ってはいないが、

 街中から外れて移動中だ。

 ここから先は防犯カメラの数が少ない・・

 位置の割り出しが困難になる・・

  Hijiji



「いよいよ本陣を狙ってきたか・・

 このタイミングを選ぶとは・・


 さすが、未来だ・・・

 美奈子の位置探索も撹乱させるか・・」


呟く星熊童子・・


 

「どうしますか?

 私めが討伐に参りましょうか?」


判断を仰ぐ妖麗。


「いや・・

 相手の進路が定かではない以上、動くのは危険だ・・

 望月美奈子と合流する可能性もある・・


 ふふ・・

 水島未来・・

 面白い女だ・・


 だが・・

 次の手を打たせてもらう・・」


ニヤッと笑う星熊童子・・





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