表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
358/450

84.移動開始


「急げ~!みんな~!!!」


山道をバタバタと走って行くゴーストバスター部の面々・・

教頭先生達が来る前に、先生の自動車までたどり着き、移動させないと教頭先生に気づかれてしまう。

カーブの多い山道まで急いで引き返さなければならなかった。


拓夢君は毎朝ジョギングして体を鍛えていただけあって、それほど苦にはならなかったが、他のメンバーは息を切らしている。


「待ってよ~タクム~」


「遅いよ~おねえちゃん!

 早くしないと教頭先生に追いつかれてしまう!」


「よく考えたら、先生だけ先に行ってもらえばいいんじゃないんですか~?」


「嫌よ~。いつ、童子から攻撃されるか分からないんだから~」


「そう言えば、この辺りに・・」


美奈子が気づいた。先ほどまでパパや陽子達と共に童子の下僕・妖妃と対決をした場所・・

ヒロシの父が疲労で休んでいるはずだった。



「どうしたの?望月さん?」


息を切らしながら、美奈子に聞いてくる先生。


「はい・・

 お母様とヒロシ君のお父さんが

 居るんです。

 パパも一緒ですが・・」



「そう・・」


「会って行きますか?」


少し考えた先生だったが・・



「いえ!

 先を急ぎましょう!

 今、やらなければならない事は

 今西さんの安全を守る事・・」


キッと前を向く先生。



「はい。」


先生もお父さんの事が心配だろう・・

でも、今、やらなければならない事を遂行する・・








草むらから通り過ぎる先生たちを見守るパパの姿があった・・・


「静江・・」


懐かしい先生が必死に走って行く・・


でも今は、

後ろに横たわるヒロシの父の妻・・

複雑な心境のパパだった。


「草葉の陰から・・」とはよく聞くのだけれど・・まさに、その言葉通りの展開だった。

パパの後姿に哀愁が漂う。



「パパさん・・」

陽子が声をかける。


「私は、死んでいるんです・・・

 仕方が無い事です・・」

自分に言い聞かせているパパ・・


全て順調に行っていれば、先生と翔子ちゃんの3人で、この場所にピクニックに来ていても不思議ではないのだ。家族がそろった平和な日々を送っていても、おかしくない・・


志半ばで、この世を去り、最愛の娘も亡くしてしまった・・

その苦境を乗り越えた先生が、新たな生活をスタートさせている。


ヒロシと、直人と共に・・



ヒロシの父も、陽子の様子を見て、パパの心境を察した。

陽子の膝に頭を乗せながら、呟く父・・

目には見えないけれど、そこに居るであろうパパに向かって・・



「パパ・・

 オレは、パパの分も頑張りますよ・・

 静江さんを幸せにします!」


その言葉に振り向くパパ。



「直人さん・・

 ありがとう・・・」


元夫と、現夫・・


男と男の友情の様な・・

目に見えない絆の様なモノが、二人の間を結びつけているような気がしている。


そんな二人を見守る陽子・・









学校の屋上・・


ラジコンのコントローラーの様な装置を山の方へ向けていた大谷先輩・・


「あれ?距離に変化がある?

 9.6km・・・」


教頭先生の動きに気づき、パソコンに打ち込む・・



その様子を上から眺めている星熊童子・・


「動き出したか・・」



「教頭には行き先を指示されているのですか?」


脇に控えている妖麗が聞いている。



「いや・・

 不確定だ・・

 合宿所へ行く事も指定していない・・」


「私が動いた方が良いでしょうか?」



「行き先きを見極めてからだ・・

 街中へ入ればHijiriのテリトリーになる。

 未来の動きも気になるからな・・」



「その様な事をせずとも・・

 一気にカタをつけられると思うのですが・・・」


「ふふ・・

 そう思うか・・・妖麗よ・・」


控えている妖麗をチラッと見る星熊童子。

ビクッとなる妖麗・・



「済みません・・

 出過ぎた事を申しました・・」


「よい・・

 そなたは、望月の君の恐ろしさを知らぬのよ・・

 あの家系には、

 自分の能力以上の力を発揮することがある。


 ヤスマサの血もしかり・・。

 念には念を入れぬと・・

 気が付けばこちらが危うくなっているのだ。」


「念には・・念をですか・・」


「此度の作戦も、直接の攻撃よりも、

 陽子や未来に精神的な疲労を与えるのが目的だ!


 徐々に包囲を狭める。

 ヤスマサと望月の君の血を根絶するのだ!」


「ヒロシと・・美奈子・・ですか・・」


「美奈子は、先の親方様との戦いで霊力が弱まったとはいえ、

 まだ強い存在だ・・

 妖妃の件を見ても分かるであろう・・

 周りに霊力の持った連中が集まってくるのだ。


 ヒロシも同様・・

 以前と全く同じ事を繰り返している・・・


 今回は、失敗するわけにはいかぬ・・」


「わかりました・・

 機が参りましたら、私めにご命令を!」



「頼りにしておるぞ・・」

ニヤリと笑う星熊童子。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ