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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
355/450

81.妖麗

学校の屋上。



大谷先輩がノートパソコンに向かってHijiriとメールでやりとりしている。

その目はうつろになっていて、童子に操られている様だった。



 妖妃が美奈子にやられた

      聖



 そうか、

 早まったね


 だが

 伏兵を一人失っただけさ

   Hijiri 



 ヒロシや未来の動きは?

     聖



 まだ、無いよ

 マンションはまだ、出ていない。


 未来もだいぶ焦っていると思うよ

 詮索したくてうずうずしてるだろうね


 そっちが、

 手薄になっていると思っているだろうから

     Hijiri



 上手く、

 引きずり出せるか・・ 

     聖



 こっちは

 引き続き未来達の監視を続ける


 そちらも

 教頭先生を見失わないようにね

     Hijiri



 了解

    聖 



その交信の後、送信したメール内容が消去される。


フッと我に返った大谷先輩。パソコンの画面を見ると、Hijiriからの指示のメールが入っていた。




 発信機の位置の観測を続けてくれ

     Hijiri



その指示通りに、再びラジコンのコントローラーの様な装置のアンテナを山の方へ向ける。


ピ・・


  ピ・・


   ピ・・・



距離の計測を再開する大谷先輩。


「距離・・9.8km・・変わらず・・」



その隣に、星熊童子が浮かんでいる。




合宿所の方を見ながら、何やら話し出す星熊童子。


「妖妃も深追いしすぎた・・

 私情が戦いに及ぼす影響は計り知れぬ・・

 相手が望月の君の子孫だという事も忘れるな!」


それに答える声がする。


「はい・・

 姉上も情が強すぎたのです。


 『敵撃ち』に囚われたのが判断を誤らせたのでございます・・

  一瞬の隙が命取りになります。


 戦いに私情は禁物・・

 冷酷に徹するのが常・・」



「そなたら三姉妹では、そちが一番わかっておるのう・・

 妖麗・・」


「そのお言葉・・この上ない、栄誉にございまする・・」



星熊童子の脇に控える『妖麗』なる霊・・


先程の妖妃よりも、数段若く、少女の様な容姿をしている狐の霊・・・



その瞳からは氷の様に冷たい視線が放たれていた。


挿絵(By みてみん)


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