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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
346/450

72.追跡


教頭先生の車内。

街中をスピードを出して突き進んでいく。

今西は、窓の脇に付いている取っ手に必死に掴まりながら教頭先生の運転する姿を見ていた。


無我夢中にハンドルを握る教頭先生。目が真剣だった。

恐る恐る、話を切り出す今西。



「さ・・

 早乙女さん・・・

 何処へ・・

 行くの?」


冷静に答える教頭先生。


「誰も居ない所です・・・」



  誰も居ない所・・



二人で心中でもしようと言うのだろうか?


都心で恐ろしい目に合った今西・・

一歩間違えば命さえ落としかねない。


未来先輩から教頭先生が危ないと聞かされていた。

ひょっとしたら、Hijiriに洗脳されているかも知れないし、童子に憑依されているかも知れないのだ。

何が起こるのか分からず、不安になる。



「誰も居ない所??って・・??」


今西が聞き返す。


が・・


 キキー!!!!


「わわ!!」


スピードを落さずにハンドルを切って十字路を曲がる。

遠心力で窓の方に体が寄る今西。取っ手を握って何とか体勢を保つ。


バックミラーを見て、先生の車を振り切ったと安心した教頭先生。



「もう、大丈夫そうですね・・・」


アクセルを緩めてスピードを落とす。

気を取り直して、もう一度聞いてみる今西。



「これから・・何処へ?

 誰も居ない所って・・いうのは・・・」


恐怖におののく今西をチラっと見て、微笑む教頭先生。



「心配しないで下さい。

 良い所ですよ!」


「いい・・所・・・」


いったい、何処へ行こうとしているのだろうか・・・


不安でいっぱいの今西の後ろ・・

後部座席にちょこんと座っている響子。

キョロキョロと辺りの様子を観察していた。













チャラララ・チャラララ


 ピ


先生のマンション。

僕の持つ霊感ケータイに母からメールが入って来た。



 駅から

 中心街を出て、

 東の方面に

 向かっています。

 山の方ね・・

     響子


母から今西さん達の位置が報告されてきた。


「先輩!

 東の方面です!」


地図を広げて、おおよその位置を割り出している先輩。

電話をかける。









駅前のロータリーで拓夢君達を乗せて待機していた先生の車。

軽自動車に5人も乗せるのは無謀だったが・・


「先生!満員ですよ!!」


「この軽自動車って4人乗りじゃなかったですっけ?」


「中学生は子供でいいのよ!

 2人で1.5人!!」


とかメチャクチャな計算をしている先生。



 トゥルルル・トゥルルル



美奈子の持つ携帯に未来先輩からの電話が入る。



「はい。

 望月です!!」


「もしもし。望月さん?

 今西さん達は東の方へ向かったわ・・

 農道3号線の方へ向かって!」



「わかりました!

 先生、農道3号線です。」



「OK~!」


そう言って、走り出す先生の車・・

助手席で地図を広げ始める美奈子。


追跡の再開だ!










市街地の中心を離れ、畑の広がる農道を走る教頭先生の車。

前方に高い山々が見えてきた。

この山道は・・・


「この道は・・・」

今西が呟く。


「はい。中学校の合宿所の方です。

 私達が生徒の頃は使われなかったですが・・」


「幽霊が出るって噂だったからね・・

 確か、この夏休みにゴーストバスター部が除霊したっていう?」


今西の言葉に、ピクリと眉を顰めた(ひそめた)教頭先生。

まずい話をしたと思った今西・・



「・・・・

 そうです・・

 あの部活が校内で一躍脚光を浴びるようになったんです・・・」


ハンドルを握りながら呟く教頭先生。

恨めしい目をしているのに、おののく今西・・

高校の頃も、霊能者への好印象が無かった教頭先生・・

トラウマにでもなっているのだろうか?



「でも、あそこなら、誰にも邪魔されずに、

 先輩と話が出来るって・・思ったんです。」


「あはは・・

 誰にもね~・・・

 何の話なのかな~・・」


笑ってごまかす今西。半分、顔が引きつっている。








先生のマンション。

僕の母から、今西さん達の行き先が伝えられた。



「合宿所か・・・」


呟く先輩。


「何か、気がかりな事でもあるんですか?」


僕が聞いてみる。



「ええ・・

 山の中の合宿所・・

 この行き先だと、Hijiriの計画ではなさそうね・・


 監視カメラも無いし、人ごみの中でもない・・

 Hijiriにとっては不利な場所よ・・」



「そうですね・・

 Hijiriなら監視カメラとか携帯電話を持った人が多い街中の方が有利ですね・・

 ・・という事は、童子の作戦なんですか?」



「いえ・・

 作戦を立てるなら、Hijiriと童子の両方が都合の良い場所を選んでくるはずよ。


 ひょっとしたら、

 教頭先生、独自の意向なのかも・・」


「教頭先生の?」



「ええ・・

 私達にとっても不確定な場所・・

 童子が、どう出てくるのか・・


 できれば、

 Hijiriと星熊童子の連携の仕方の何かが分かれば・・」



「何か、手がかりが掴めれば良いですね!」



「うん・・。」


受話器を握り絞める先輩。




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