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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
345/450

71.街中で


先生の運転する車の中・・

食べかけの大判焼きを片手に、前の教頭先生の車の周辺を霊視している美奈子。


「どう?あの車の周りに童子は居そう?」


先生が聞いてくる。


「いえ・・今の所は、異常ないです。」


「水島さんに連絡する必要もなさそうね・・」


「はい。

 あ~、この餡子、やっぱりおいしいな~」


大判焼きの餡子に舌鼓を打つ美奈子・・あの・・バス遠足じゃないんだけど・・・










教頭先生の車内・・

今西をチラッと見ながらハンドルを握る教頭先生。


今西が話しかけてくる。


「でも、早乙女さんからの話って、何なのかな~?

 改まって話すこともなさそうだけど・・」


「はい。

 普段はちょっと話せないことがあって・・」



「他の人には聞かれたくないこと?」



「ええ・・

 邪魔者は入れたくないんですが・・・」


「邪魔者?」


「先輩は、ゴーストバスター部に、ちょと肩入れしてますよね・・・」



「ゴーストバスター部?」


とぼけてみる今西・・


だが・・




「とぼけても無駄ですよ・・

 今日も、あの部が関与してきてるのは分かってます。

 学校へ誘い込もうとしてるようですが・・


 ・・

 そう!


 後ろに雨宮さんが来てるし・・!」


バックミラー越しに先生の運転する車をキッと睨みつける教頭先生。



「え?」

驚く今西・・


教頭先生には、水島先輩の作戦を見抜かれていた。










「しっかり、掴っててください!!」


「ええ~????」

 ギャギャギャギャーーー!!!!!!


アクセルをいきなり噴かして、ハンドルを切る教頭先生。

後輪がドリフトしてUターンし、後をつけていた先生の車の方へ猛スピードで走って来る。




急ブレーキをかけ左へ寄る先生の車。


 キキーーー!!!



「きゃ!!」


美奈子が食べていた大判焼きが放り出され、フロントガラスに当たる。


「ああ~!!私のクリームお焼きが~!!!」



先生の車の脇を素通りし、交差点を曲がって行った教頭先生の車・・



「あのインテリ処女めが~!!!」


急いでターンしようとするが、後ろから車が来ていて思うように曲がれない・・

後ろを振り向いて教頭先生の車を追う美奈子・・既に視界から消えていた。


「今西さん達を見失いました・・

 どうしますか?」


「とりあえず、水島さんに連絡してくれる?

 指示を仰ぎましょう!!」


焦りの表情の先生・・

携帯電話をかける美奈子。











先生のマンション。

彼女から教頭先生の車を見失ったと言う報告が入ってきた。


「そう・・

 焦らず、そのまま駅へ引き返してって伝えてくれるかな。

 拓夢達を収容してもらって。」



「了解!」


彼女へ電話で指示をする先輩。

予期せぬ事態に全く動揺せず、冷静な判断を下している。



「教頭先生は、何処へ行くつもりなんでしょうか?」


「わからないわ・・

 こっちの動きに気づいたみたいだし・・

 学校へは向かわないと思うけど・・


 ・・

 どうしたの?」


先輩が不思議そうに僕の方を見る。

僕にしてみれば、教頭先生が、先輩の作戦通りに行動しなかった事に動揺していないのが不思議なのだった。



「いえ・・


 先輩には・・

 次の展開は予想できてるんですか?」



「え?

 次の展開?」




「はい・・」







「うふふ・・

 全然!」


僕の問いにニッコリと微笑む先輩。


何なのだ?この余裕は???

動揺している僕に優しく語りかけてくる先輩。


「何事も計画通りには行かないものよ・・

 こうなる事も

 視野に入れてるわ・・」



「視野に・・

 入れてる?」


何と・・こうなる展開も予想済み??



「ええ。

 教頭先生の事よ・・

 雨宮先生が追跡してる事には気づくはず・・

 逃走するのは想定内・・


 ヒロシ君・・

 お母さんに連絡してくれる?


 霊感ケータイで・・」



あ・・そうか・・


今西さんには僕の母が憑いていたのだった。

母に教頭先生の車の場所を知らせてもらえば、逐一車で後をつけていなくても済む。


童子たちの出方も監視できるのか・・

僕は、霊感ケータイで母にメールを送った。



「なるべく、

 見つからない程度に距離を置いて先生達に追跡してもらうのよ。

 今西さんが危険なのには変わりないから・・」



「了解です!」


常に一歩先を読んでいる先輩・・

頼もしく思えた。




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