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霊感ケータイ  作者: リッキー
作戦
344/450

70.駅前



---まもなく10時2分着の普通列車が到着します。

 この電車は、快速列車の通過待ちのため、当駅で10分停車します。---



構内の放送が聞こえる。

今西の乗った電車が到着するようだった。


「来ますね!」


「うん・・」


千佳ちゃんも緊張してきた。


ホームに電車が入ってくるのが改札越しに見える。

乗車待ちの客が並ぶ前に、列車の扉がピタッと止まった。



 プシューーー



電車の扉が開いて、中からワラワラと降りてくる人々・・


「タクム!ロータリーを見てて!」



「はい!」


童子や下僕の霊が襲って来るのを警戒している拓夢君。

教頭先生の乗っている車の周辺に数台の車が待っているが、異常はない。

沙希ちゃんは今西の姿を追うことに集中し、千佳ちゃんは携帯を持つ人の行動をチェックしている。





改札を出てくる今西の姿が見えた。


「今西さんが、来ました!」


沙希ちゃんが今西を見つけた。

同時に改札を通過してくる人々にまぎれている。


なるべく雑踏に入って一人で目だった行動をしないようにと先輩から指導されていたのだ。

今西も柱の影に待ち構えている拓夢君たちを見つけ、歩いてくる。







沙希ちゃんが他の人達に気づかれない様に、教頭先生の待つロータリーの方向を指差して合図する。


今西がコクリとうなずき、そちらへと方向を変えた。


一斉にロータリーの方を向いて、いつでも飛び出せる体制となる拓夢君たち・・

沙希ちゃんも携帯電話を持つ人を警戒するのに加わった。


「どう?タクム?」


「異常はありません!」



「大丈夫かな・・今西さん・・」


「分からない・・皆!十分注意して!!」


「はい!」



拓夢君たちに見守られる中、教頭先生の車に駆け寄っていく今西・・





教頭先生の車に近づき、軽く挨拶して、ドアを開ける。

教頭先生もペコッと頭を下げているのが見えた。


顔を赤らめている。


「すみません。急に呼び出してしまって・・・」


「いえ・・こっちも、駅まで迎えに来てもらって・・」


そう言うや否や素早く助手席に座り、バタンとドアを閉める今西。

このタイミングが一番狙われ易いと先輩からアドバイスされていた。


ニッコリと微笑んで、今西を見つめていた教頭先生。


だが、今西の様子が変だと気づいた。少し慌てている様子なのだ。

車外をキョロキョロと見ている。


「どうかしたんですか?」


「あ、

 いや・・

 駅前もだいぶ風景が変わったんだなって・・」



「先輩が上京して15年も経ってますから・・

 駅自体も改装したし、再開発で商店街もすっかり変わりました・・」



「そうだね・・

 浦島太郎状態だよな~」


何とか話をそらせたと思った今西。

そして、ここで、教頭先生とデート(?)する場所を指示するようにと先輩から言われていた。


その場所とは・・










「あ、今日は、中学校へ行ってもらえますか?」


「え?私達の?」


「ええ。まだ、懐かしい感じが残ってるんで・・」



先輩から指定された場所・・それはヒロシ達の通う中学校だった。

今西にとっても、教頭先生にとっても卒業した懐かしい校舎である。


意外な場所に動揺した教頭先生だったが・・


「はい。

 じゃあ、行きますね・・」


ウィンカーを出して、車を走らせる教頭先生。駅前のロータリーから駅前通りへと移動していく。

美奈子たちの乗った車が静かに動き出し、その後を追っていく。

その様子を駅から見守っていた拓夢君たち・・





「ふう・・

 なんとか無事に出れましたね・・」


「そうね・・

 何とか難関をしのいだか・・」


「Hijiriも攻撃してきませんでしたね・・」


「短時間で目標地点を推測できないように作戦を立ててるから・・

 あとは、防犯カメラの無い学校へ行けば、Hijiriの監視から逃れられる・・


 美奈ちゃんが直接攻撃してくる童子を警戒すればいいわけか・・

 さすがね・・先輩も・・」


「僕のお姉ちゃんですから!」


「あはは・・そうね・・」



「私、部長さんに連絡してきます。」


そう行って、公衆電話の方へかけていく沙希ちゃん。 









先生のマンション。


 プルルル・・プルルル・・


先輩の手元に置いてある電話が鳴り出した。


「はい。」



「あ!未来先輩ですか?

 教頭先生たちが駅を出ました!

 学校へと向かってます!」


いきなり沙希ちゃんが話しかけてきた。

相手を確かめないで本筋に入る沙希ちゃん・・よほど慌てているのだろうか?


苦笑いしている先輩。


「沙希ちゃんね・・

 慌てずに、次のミッションを遂行して!」


落ち着いて話す先輩。


「はい!わかりました!」


 ガチャン!


耳元で受話器を切られてしまった先輩。 

僕に向かって再び苦笑いする。



「あはは・・

 沙希ちゃんにも困ったものですね・・」


「そうね・・

 でも、無事に駅は離れたようね・・」



「あとは、学校へ行けば、いいわけですか・・」



「うん・・

 すんなり行ってくれればいいんだけど・・

 まだ、気は抜けない・・」




「え?」


心配そうな表情を浮かべた先輩・・・





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