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霊感ケータイ  作者: リッキー
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340/450

66.コンビニで・・



真夜中のコンビニ・・


「いらっしゃいませ~」


未来先輩が先に到着して、店内に入る。

店員に挨拶され、軽く会釈をするが、真夜中に中学生が入って良いモノなのか少し抵抗があった。


それでも、外で待っているよりは暖かいし、安全でもある。

店内を見渡す先輩。まだ、僕が来ていない事を確認し、何処で待っていればいいのか思案している。


窓に面して雑誌が置いてある方へと向かう先輩。

男性雑誌の方では、立ち読みしている人が数人立っていた。


少し距離を置いて、女性雑誌の方へと向かうが、隣からチラッと男の人が様子を覗う・・

こんな時間に中学生が立ち寄るのも不思議に思っているのだろうか・・



女性雑誌をあまり読んだ事の無い未来先輩・・

昼間のニュースで流れているような内容の女性専門誌や女性向け漫画雑誌・・

家庭的な内容の雑誌等・・あまり先輩には縁の無いものばかり・・


それでも「中学生らしい」雑誌を手に取ろうと四苦八苦していたが、最終的に選んだのは・・



  月刊りぼん・・・



まあ、仕方ないわな~

表紙とかは少女っぽいしね・・


そうこうしているうちに、僕が自動ドアから入ってくる。

先輩の位置を確認して、近づく。



「先輩、待ちました?・・・」


「いえ・・今来たトコよ・・」



月刊りぼんを恥ずかしそうに棚に入れる先輩・・

隣の男性も、「なんだ、待ち合わせか・・」みたいな顔で、チラッと見た・・


そして・・


「こんな時間にごめんなさいね・・」


「先生・・」


意外な人物の付き添いに驚いている先輩・・



「うふふ・・驚いた?

 望月さんは、あの部屋から出ると危ないし、

 直人さんも危ないから、

 私が来ちゃった!」



「そ・・そうですか・・・」


僕の父が「危ない」ってどういう意味なんだろう・・



「中学生が夜中に出歩くのは見過ごすわけにはいかないからね・・

 私が保護者よ!」


少し、残念な表情の先輩・・


「ここじゃ、何だから、私の家へ行きましょうか・・

 あ、良い子で留守番してる娘にお土産も買ってかないとね!」


「はい・・」


レジで肉まんとおでん、そして彼女へのお土産らしいスウィートを買って店を出る3人。











キョロキョロと辺りを見渡しながら歩く先輩。

防犯カメラを警戒しているのだろうか・・



「はい、肉まん。

 温かいよ。」


「ありがとうございます。」


肉まんを一つ、先輩に渡す先生。

一口ほうばる先輩。


僕も、一個もらって食べ始める。



「でも・・・、

 水島さん、

 もう、Hijiriには感づかれてるんじゃ・・

 私達が合流してる事・・」



「はい・・

 私も、それを考えていたんです。」


先程、待合場所に使ったコンビニにも防犯カメラはあったはず・・

先生のマンションにも防犯カメラはある。


既に、Hijiriには僕たちの動きが分かっていても不思議はない。


「望月さんが一番狙われているんです。

 あの子をを外におびき寄せる作戦なら、

 マンションから出てこなかったのは賢明です。

 結界を出れば、ワラ人形の攻撃を受けるかも知れない・・・」



「でも、僕達も・・

 危険だよね・・

 狙われないのかな・・・」



僕が聞いてみる。



「よほど、小物だって思われてるのかもね・・

 都心で今西さん達が襲われたのは

 陽子さんが狙いだと思うの・・」


彼女と彼女のお母さん以外はザコなのか・・

いつでも攻撃しようと思えば、攻撃できるのだろうけれど・・・









「都心にいるHijiriが攻撃してくるの?」


先生が聞いている。



「いえ・・・

 この街だと、携帯電話を持っている人が圧倒的に少ないです。


 防犯カメラも少ないし、

 都心だと至る所に携帯電話を持った人がいるから・・

 監視も攻撃もしやすいんです。」


「この街なら安全だって事?」



「都心よりは安全です。

 でも、童子はこっちにいる可能性が高い。」



「童子?

 Hijiriと童子は別に居るの?」



「少なくとも同一人物ではないんです。

 Hijiriは都心に居るのが確実だし、

 童子はこの街にいる可能性が高い・・・」



確かに・・Hijiriは先輩に小包みを送って来た、実体のある「人物」だ・・

そして、童子は実体のない「霊」・・


この二人は同一人物ではない。

でも、連携して襲ってくる様な感じもしている。








「Hijiriと星熊童子・・

 この二人がリアルタイムに連携している可能性は、低いんです。」



「え?」



「連携し合って攻撃しているんじゃないの?」


僕も先生も先輩の言葉に驚きを隠せなかった。

今まで、童子とHijiriは、同一人物に近いと思っていたのだ。


「もし、あの二人が同時に連携し合っているのなら、

 今、私達が襲われていても不思議ではない・・


 コンビニに姿を現わした私を、いち早く童子が襲ってくる。

 多分、私の家の近くにある防犯カメラから、監視をしていると思う・・


 先生の住むマンションの防犯カメラからも監視されているはずよ・・

 ヒロシ君と先生が一緒に出てきた事もわかっている・・


 3人がコンビニで会っている所も・・

 私達は、無防備に近いのよ・・

 襲われればひとたまりもない・・


 でも

 直ぐに

 攻撃できない理由があるのよ。」



「攻撃できない・・

 理由?」


「ええ・・


 童子は、咄嗟の状況には対応できないのよ。

 計画していた内容に沿っては動けるけど、

 予期せぬ事態には対応できない。


 これは・・

 Hijiriと童子が同時に繋がる手段が無い・・って事を意味している。」





「う~ん・・よく読み込めないんだけど・・・」


先生が質問する。

僕も同じだ。詳しく先輩から解説してもらわないと、話についていけない・・






「おそらく、Hijiriはパソコン端末の近くで、常に私達をモニタリングしている・・

 場所は特定できないけれど、都心の、あの駅の近くに居るんだと思います。


 そして、Hijiriは実体を持つ「人間」。


 童子は、そのHijiriとは端末では結ばれていない。

 童子は「霊体」だからネットに直接は入って来れないんです。

 ネットの情報はHijiriを通してしか得られない。


 だから、監視カメラの映像を、直接、童子が見る事は出来ない・・」



「そっか・・

 童子が、監視カメラに捉えられた映像を見て、直接攻撃はしてこれないのか・・・


 じゃあ・・

 何で、攻撃してこないの?

 無差別でもなんでも、私達を直接攻撃した方が、効果があるじゃない!」



「それなんです!

 何か、決定的な

 理由があるんじゃないかって・・・


 音楽室で攻撃を受けた時も、

 公園で攻撃を受けた時も、

 星熊童子は、健全だった・・・


 それが、

 Hijiriや博士達がからんだとたんに、

 直接出てくる事が少なくなっている・・・


 わざわざ、他の人に攻撃をさせるような、

 回りくどい方法を使っている。」



「それは・・

 何故?」



「わからない・・・

 だから、今回の今西さんと教頭先生の件で・・・

 罠を張ろうと思っているんです。」



「罠?

 それじゃあ・・

 今西さんが・・

 危ない・・」




「そうです。


 一歩間違えば、危険な道です。


 でも、

 何らかのヒントが欲しいんです。


 今西さんを守るには・・

 望月さんの力が必要になる・・」



「水島さん・・」




「私・・望月さんには負けたくない・・

 でも

 頼らざるを得ない事も・・受け入れないと・・

 いけないって・・

 思ってます。


 ヒロシ君のためだって・・

 思えば・・」


え?僕ですか???

何で、いきなり?






「ふ~ん・・・」


先生が感心している。


「私も力を貸すわ!水島さん!」


そういって、振り返り、歩く速さを早める先生。

僕と先輩が二人、先生の背中を見ながら、少し後ろを歩く・・



先輩が僕のほうを見る。

笑みを浮かべる先輩。



「ヒロシ君と一緒に戦いたいだけだよ・・」


「先輩・・」



食べ終わった肉まんの紙をくしゃくしゃと丸めて、ポケットに入れた先輩。

既に、Hijiriとの次なる情報戦が始まっている気がしていた・・




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