57.登校
「おはよう!陽子!」
学校の校門で声を掛けられる陽子。
振り向くと、響子が駆け寄って来ていた。
「おはよう・・・
昨日は眠れた?」
「うん。浄霊もだいぶ慣れたからね!」
「そっか・・私は、未だに、他人に体に入られるのは抵抗があるな・・・」
「そう?でも、私もそうかな・・
ちょっと疲れるしね・・・」
そんな会話をしていると、今西と幸子が登校してきた。
「やあ。昨日はお疲れさんでした!」
「おはよう。陽子さん、響子さん・・」
「おはよう・・」
「おはよ・・
あのね~・・あんた達の為に浄霊してたんじゃないんだからね!」
まるで、今西に依頼されたかのように挨拶されているのに、抵抗を感じた陽子。
「幸子さんは大丈夫だった?昨日は・・」
響子が話題を変える。
「あ・・大丈夫でした。
ちょっと寝れなかったけど・・」
「こいつは、ちゃんと睡眠時間はとってるから大丈夫だよ!」
「何よ~。その言い方は~!!
変な夢見て、
ホントに寝れなかったんだから~!!」
「わかった、わかった」
今西に食って掛かる幸子。
いつもの感じを取り戻しているのに、響子も安心した。
「あ、望月も、昨日の写真の現像、早いとこ頼むよ。
雑誌に投稿もしたいから・・」
そう言って、自分の教室へと向かう今西。
「何で、あんたに催促されなきゃなのよ!!」
「頼んだよ~」
脳天気な今西に腹を立てている陽子・・
「大丈夫そうね・・あの二人・・」
陽子に響子が話しかけてくる。
「うん・・昨日はポケベルが作動したから、ちょっと驚いたけど・・」
「あのメッセージは何だったのかな・・」
「わからない・・たぶん、浮遊霊だとは思うけど・・」
そして、何やら考えている陽子・・
「どうしたの?」
「え?」
「何か・・陽子・・、昨日から、変だけど・・
・・・
先生と一緒に居た人?」
「え?
・・
あ、いや、違うよ!」
取り乱している陽子。
「じゃあ何よ!
陽子、ちょっと昨日から変だよ!」
何を考えているのか聞き出そうとする響子に・・
「あ、いや~・・
何か、あの二人・・
いつの間にか、私達の仲に入って来てるって思って・・」
「今西君達の事?」
「この世界は危ないのよ!
命を落とす事だってある・・」
そして、悲しい目になっている陽子・・
自分の母と父の事を思い出していた。




