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霊感ケータイ  作者: リッキー
再び・・
33/450

3.学校の帰りに・・

学校が終わり、家へと帰る。


校庭から校門へとぼとぼと歩いていると、


「ヒロシく~ん」

彼女の声がする。


「一緒に帰ろ!」


「うん」


「今日さ、ちょっとウチに寄ってかない?」


彼女の家はお寺で、僕の母の墓がある寺である。

久しぶりに、お参りをして帰るか・・


「うん。いいよ」


「こうして、並んでるとさ・・付き合ってるみたいだね~」


クラスのみんなにはバレてしまっている・・

もう学校では隠す必要もなく、堂々と二人で並んで帰れるのだ。



「あたし、やっぱり変かな~?」


「そんなこと、無いと思うけど・・」


「この眼鏡とか、後ろに束ねてる髪とか・・『オタク』っぽく見えるんだろうな~」


ふ~ん・・一応、気にしているらしい。

確かに、眼鏡を取って長髪になった彼女のほうが魅力的だ。

でも、そうすると見たくも無い霊が見えてしまうのだ。

あの眼鏡や髪止めは霊力を抑えるためのアイテムなのだということは二人の秘密だ。


「あたし、ヒロシくんの前だけでは、極力、眼鏡外してたんだよ!」


「そっか・・そう言えば・・」


僕と二人で会うときは、眼鏡と髪止めを外していたことが多い。

変な霊が見えてしまっていたのだろうけど、それを覚悟で素顔を見せていたとは・・





「ヒロシくんは特別だからね!

 本当の私を見せたかったし・・

 小さい頃の私との約束を思い出して欲しかった。」


そう・・

彼女とは幼馴染だったのだ・・

小学校を前に転校してしまったけれど、それは霊力を磨くための修行をするためだった。

別れる前に、僕たちは結婚の約束をしている。


 僕が彼女を守るって誓った事も・・


彼女は忘れることなく、その想い一つだけに長い間、修行をしていた。


僕が、その約束を思い出したのは悪霊との戦いの後だった・・

すっかり忘れてしまっていたのには、大変申し訳なく思っている。


「その顔・・全く覚えてなかったでしょう?」


図星である・・

少し怒り加減で見つめる彼女も可愛い。





病院の隣の小さな公園にさしかかった。


生前の母との思い出がつまった小さな公園。

そして先生の娘さんである「翔子ちゃん」と出会った公園でもある。


あの一連の事件に巻き込まれる前は、よくこの公園へ来たものだ。

悩みがあったり、寂しくてくじけそうな時に、この場所へ来た・・



前は、ちょっとしたことでも母を亡くした家庭というコンプレックスで落ち込んでいたと思う・・

でも、今は、母とも霊感ケータイでコンタクトも取れるし、彼女だって居る。



「お母さんの入院してた病院だね・・」


「うん・・」


「お母さん・・元気でいるかな・・」


もう亡くなってる人に「元気」ってのもおかしいけれど、たぶん元気で居ると思う。

いつまでも僕やお父さんを見守っていると別れ際に言っていた。




「そういえば・・翔子ちゃんも・・」


「うん・・お父さんと一緒に幸せになってると思うけど・・」


雨宮先生は若いときに旦那さんを亡くされている。

そして、一人娘だった翔子ちゃんも長い闘病生活の果てに、ついこの間亡くなったばかりだ。

長い間、僕に想いを寄せていたらしく、「生霊」として僕の前に現れた・・


悪霊との対決の時には、僕のお母さんや翔子ちゃんとお父さんが助けてくれた。


あれ以来、会っていない


っていうか、会うほうがおかしいのだろうけれど・・普通・・・


霊感ケータイを持っていると、そのあたりの感覚が変になる。

死者と会話ができ、見ることもできるのだから・・







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