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霊感ケータイ  作者: リッキー
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50.マンションで




沙希ちゃんを家まで送り、マンションまで帰って来た。


だいぶ遅くなってしまった・・

夕方、先輩を送りに行くって・・

出て行ったきり、千佳ちゃん達と作戦会議を開いて、沙希ちゃんを送ってきたら、日が暮れてしまった・・・


彼女に、どう説明したらいいのか・・

途方に暮れる。


正直に話すのが一番だろうか?



重い気持ちで、ドアを開ける。


 ガチャ・・



「ただいま~」


幽霊でも出てきたかのような声の僕・・





だが、笑顔の彼女が、玄関まで迎えに来た。



「お帰り~。


 ヒロシ君!


 ご飯にする?

 お風呂にする~?


 それとも・・」



いきなり、新妻のセリフですかぁ~??

誰が入れ知恵を~???


後ろに、先生が控えて笑ってる・・

そして、間髪を入れずに、彼女が聞いてくる。


「ヒロシ君、こんな遅くまで、何処へ行ってたの?」


半分、疑いの目??



「うん。

 先輩を送ってったら、拓夢君達が居て、今後の対策会議をしてたんだ。

 沙希ちゃんを送ってきたから、こんなに遅くなっちゃって・・」


さすがに、先輩に後ろから抱きつかれてたなんて、言えない。

そういう意味では、拓夢君達と合流できて良かったと言えば、良かったか・・







「ふ~ん・・」


僕の事を見回す彼女・・前にも、こんな場面があったな・・

蛇に睨まれたカエルの様な僕・・


「ま、いっか!

 これから明日まで、ヒロシ君、私のモノだからネ!」


え?明日まで?って?

背中を押されながら、居間に入る僕・・



「さあ、夕食にしましょう!待ってたのよ!」


「もう腹ペコだよ!」


先生も父も僕の帰りを待っていた様だった。

テーブルに鍋の用意がしてあった。


「はい!お椀!!」


彼女から卵入りのお椀を手渡された。


「ほぉ・・今夜はスキヤキですか~・・」


何か、ジジくさい言い方になってしまった僕・・



「昨日から、大変だったからね!

 皆、疲れてるだろうから・・。」


「スキヤキでスタミナよ~!」


父と先生が意気投合している。


「うん!スタミナつけて、頑張りましょ~!!」


え?彼女も?スタミナつけて・・何を??頑張るの???

この3人・・僕の居ない間に・・何があったのだ??

色んな疑問を抱きながら、卵を溶き始める僕・・









「ほら~。望月さん。どんどん取る!」


「はい・・」


「その白菜はさっき入れたばかりよ~

 その肉、硬くなってきてる・・


 次、行くから・・

 ヒロシ君も、どんどん取る!」


「は・・はい・・」


鍋奉行と化している先生を、眺めながらビールを飲む父・・

彼女も、その雰囲気に溶け込んでいる。


なんか、嬉しくなった・・


「どうしたの?ヒロシ君・・」


「え?

 うん・・

 何か、家族みたいだなって・・」



母が居れば3人で、こんな感じで鍋をしたのだろうか・・

先生にしても、翔子ちゃんやパパと3人で、こんな団欒の時があったのだろう・・


彼女はお母さんが修行中で、住職と二人だった。

僕と父以外は血の繋がっていない人達・・


共に、家族が揃って団欒するという事とは、かけ離れた生活を送っていた。


そんな人たちが、集まって、楽しい食事をする事って・・

どういう状況なんだろうって・・思った。



「そうだよね。

 私達、家族になってるんだよ。」


彼女が答えた。


「そうね~。

 望月さんとヒロシ君が結婚すれば、

 こんな感じなのかね~」


先生も同意している。

赤面する僕と彼女・・


「う~ん。

 オレは・・未来ちゃんの方が~・・」


「え~??」


父の意見に反応する彼女・・


「お父さん!私、お父さんに認められるように、頑張りますから~!」


「あはは・・ミナちゃんも十分、可愛いよ・・」


「直人さん・・それ、本心なの?」


「え?あ・・あはは・・・」


「こら~!!!!

 この下心見え見えKY男が~!!!」


「ひえ~!!!」


先生に縛り上げられている父・・

父も冗談交じりではあるだろうけれど、こんな状況は容認しているのだろう・・

本来、こんな感じに明るい食事なのが普通なのだろうか・・


去年までは考えられなかった。







「お父さん、ご飯盛りましょうか?」


彼女が父に聞いている。既に「お父さん」ですか・・



「ん?いや・・オレはこれで・・」


ビールを飲んでいた父が、おもむろに取り出した・・


パック入りのうどん・・



「あ~!直人さん!ずるい~。」


「あはは。皆の分もあるよ~。

 鍋焼きうどんは定番だからね~。」


スキヤキや鍋物の最後にはうどんを入れるのを楽しみにしていた父…人数が多ければ、更に楽しみも倍増といったトコロだ。


賑やかな夕食も終わり、お風呂に一人ずつ入った。


待てよ?ひょっとして、今日もソファーですか?僕は・・

昨晩は、美咲さん達や先輩に陣取られた僕の(翔子ちゃんの)部屋・・

今晩は、彼女が寝る事になるのだろう・・


いくら付き合っているって言っても、まだ、僕たちは中学生なのだ。

同じ部屋に寝るわけにもいかない・・



「あの~・・

 先生・・」


彼女が恐る恐る訊ねている。


「何?望月さん?」


「今日・・ヒロシ君と一緒に寝ちゃ・・」


「ダメです!」


そりゃ・・そうだよね・・








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