32.再び現代
「ふ~ん・・
不老不死の技かぁ・・」
「うん。中国の皇帝が躍起になって日本を探索したり、責めて来たのも、『不老不死』の技を得たいからだったって説もあるんだ。」
舞台は、再び現代に戻っている。
千佳ちゃんに説明している拓夢君。
「でも、死骸を動かしても、『不老不死』とは言えないんじゃないの?
もう、死んでるわけだから・・」
沙希ちゃんが聞いている。
「そうだね・・
ずっと不老不死を研究していた妖術師が居たみたいだけど・・
成功したのかどうかは、分からないね・・」
「でも、人類のロマンじゃない!
ずっと若くて、死なないなんて!」
「そうですね!私なら、ずっと拓夢君と居たいな~」
「何?一人だけ抜け駆けは許さないわよ!」
三人そろって不老不死?三角関係が無限に続けられるのも、困ったものですが・・・
「あはは・・
おねえちゃん、どうでもいいけど、会議しなくちゃ!」
「会議?何の会議してたんだっけ?」
オイオイ・・
「もう~!
童子との対決だよ!
僕だって、強くなりたいんだ!」
「そっか~・・
じゃあ、
ウチのおじいちゃんに相談してみようか・・」
「え?」
「ウチのおじいちゃん、剣道初段だから・・
タクムに稽古つけてもらえないか、頼んでみるよ!」
「え~?本当なの?」
意外な所から、剣術指南が現れた拓夢君。そういった話は、最初からして欲しかったのだが・・
「ただいま~」
「あ、お姉ちゃん!お帰り!!」
拓夢君が玄関で先輩を迎える。
僕も一緒なのに気づいた拓夢君。
「あ、部長も一緒なんだ!」
「何なに??
あんた!美奈に怒られるわよ!!」
千佳ちゃんが階段から降りて来ていた。
沙希ちゃんも一緒だ。
「あれ?皆、一緒だったの?」
話題を反らす僕・・
「はい。童子の対策会議をしてたんです。」
「対策会議?
その割には、楽しそうなんだけど・・」
先輩が突っ込む。
「あはは・・
おねえちゃん達、あんまり案を出してくれなかったね・・」
拓夢君が報告している。
まあ、粗方何が起きていたのかは予想が出来る。
千佳ちゃんと沙希ちゃんで拓夢君を取り合ってたのだろう・・・
「でも、ちゃんと、良い案が出たんですよ!」
沙希ちゃんが、必死になってフォローしている。
「うん。おねえちゃんのおじいさんが、剣道やってるって!」
「剣道?」
源さんが剣道をしてたなんて、初耳だった。
「サスマタを扱える様になれば、心強いと思って・・
僕は殆ど素人だから・・」
「う~ん、剣道か・・
本来なら薙刀なんだろうけどね・・」
先輩がアドバイスしている。
僕が気付いて、先輩に合図する。
「先輩・・」
「うん・・」
うなずく先輩。
それを見ていた千佳ちゃんが突っ込む。
「何~?
あんた達、今、目だけで分かりあってたでしょ・・」
「あはは・・
実は、皆に言っておかなきゃならない事があるんだ。」
千佳ちゃんのツッコミも殆ど無視して話題を反らす僕。
前の僕なら、突っ込まれる度に、精神的にダメージを受けていた。
更に、言い訳とかしてると、時間も労力もかかる。
そういう所はサラリと受け流す方が得策だし、そういった事がすんなり出来るようになっていた。
慣れたのかな・・・
千佳ちゃんは、少し不満な感じだ。
「何ですか?部長・・」
拓夢君が僕の話題に反応してくれた。
「東京でHijiriを詮索してる、ミナのお母さん達が、襲われたんだ。」
「え?Hijiriにですか?!!」
皆が騒然としている。
まさか、そんな事態になるなんて、思いもよらないだろう。
昨晩は、彼女も攻撃を受けたし、今日は今西さんも命を狙われたのだから・・
「その事で、皆に話しておきたい事があるのよ・・」
先輩が補足する。
詳しい話を、先輩の部屋で話す事となった・・・




