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霊感ケータイ  作者: リッキー
屍操術
303/450

29.対決


その時、

縁側の先の庭から声がかかる。


「伯麗!

 伊吹丸だ!!


 約束通り、

 参ったぞ!!!」


その声に振り向く伯麗・・

縁側まで赴き(おもむき)、伊吹丸の姿を確認する。



「玄海は、どうしたのだ!


 そなたなど、

 呼んだ覚えはないが・・」



「師匠は、まだヤスマサ様の所だ・・

 これからの帝をお支えするに大事な御方!


 貴様の相手など、

 私だけで十分だ!


 一人で来たのだ!

 約束だ!


 イクシマを開放してもらおうか!」





「約束・・



 約束・・



 か・・


 その様な事を信じてここに来たというのか・・」


あざ笑う伯麗。



「何?!」


「こうやって、

 帝にお仕えする妖術師を

 一人ずつ抹殺していくのが

 ワシの目的!


 まんまと引っかかるとはな・・」


庭に降りて剣を抜く伯麗。伊吹丸も妖刀を抜く。



「ほう・・

 妖刀『晦冥丸』・・


 弥三郎様の形見・・か・・・

 親子そろって

 帝に命を捧げるとは・・


 そなたの一族も

 哀れなものよ・・」


「何?!」













「伊吹様!」

気がついたイクシマが伊吹丸に叫ぶ。


「イクシマ・・」



「フフン・・

 そこで、あやつが殺されるところを見ているがいい・・」


長剣をイクシマに翳す(かざす)ウズメ。



「一人で死にに来るとは、いい度胸だ・・」


剣を構える伊吹丸。


二刀流の伯麗・・堂々と構えて伊吹丸を見下ろす。余裕の表情に怯む(ひるむ)伊吹丸。

実力では適わない相手・・


「く!あの構え・・・

 隙が無い!」


撃ち込む隙を窺う伊吹丸に、ニヤッと笑みを浮かべる伯麗。


「こちらから、行くぞ!」


ギーーーン!


伯麗が振り下ろした刀を受ける伊吹丸。

だが伯麗は二刀流・・次の攻撃が直ぐに来る。


シュン!


水平に振り込まれる刀を寸前で交わす伊吹丸。下がる一方だった。


「ちょこまかと動き回っても、

 無駄だ!」


敷紙を展開する伯麗。


 ビシ、ビシビシ!



無数の敷紙が伊吹丸を襲う。

動きに自信のある伊吹丸でも、伯麗の敷紙の攻撃に、少しずつ追い詰められていく。

伊吹丸が敷紙で反撃しようとするが、その隙も与えられない。


 キン!ギイン!!



受けの一手の伊吹丸。


「これなら、どうだ!」


剣型の敷紙を放つ伯麗。



ビシーーーーーーー


「ぐあ!!!」




「伊吹様!」


伊吹丸の体のあちこちに突き刺さった敷紙。


敷紙に仕込まれた「気」によって激痛が走る。

倒れこむ伊吹丸。


「ふふふ!そなたなど赤子の腕をひねるも同然だ!」


力の差を見せ付けられている伊吹丸・・



「く!

 あやつを倒すには・・


 どうすれば・・」



目がかすんできた伊吹丸・・

伯麗が敷紙に込めて置いた呪詛(気)が廻りだしてきた・・

その場に倒れる伊吹丸。



「伊吹様!!!!!」










その時・・



 サー・・・・・


無数の敷紙が伯麗を取り囲む。



「これは・・


 玄海の敷紙!」


見上げたウズメが呟く。


「来たか!」



その敷紙に気を取られている隙に、背後からイクシマの縄を解く玄海。


「貴様は!」

玄海に気づいたウズメ。



 ギーン!!!


  バキーーーン!!!


振り下ろされたウズメの長剣を受け、はじき返した玄海。


「く!」

構えなおすウズメ。


「父上!」


「イクシマ!伊吹丸の所へ!」


「はい!」


イクシマを逃がした玄海。そのままウズメと間合いを取る。



「フフフ・・待っておったぞ・・玄海!」


「伯麗!今日こそ逃がさぬぞ!」


「それは、こちらの話だ。」


伊吹丸の元へ駆けつけるイクシマ。

伊吹丸を手当てする。


「伊吹様!御気を確かに!!」


「イクシマ・・あれは・・・師匠??何で・・」




「伊吹丸!

 そこで控えておれ!


 小細工など使いおって!

 私の命よりも、そなたの方が今は大事なのだ!!


 伯麗!決着をつけるぞ!」


伯麗に向かって、勝負を促す玄海。










だが、


「フフ・・そなたの相手は、ウズメだ!」


「何?」


伯麗の命令を受けて、長剣を構えるウズメ。

動揺する玄海。


「ウズメ・・そなたとは・・戦いたくない!」


「そのような戯言!」


斬りかかるウズメ。


その剣を受け流して、ウズメのふところへ飛び込む玄海。

ウズメの腕を掴んで、話し始める玄海。


「私を忘れたのか?・・」


腕を振り払おうとしていすウズメ。



「そなたは・・玄海・・


 伯麗様の・・宿敵!

 この手で、そなたを倒し、伯麗様に『身延』の姓を取らせる!」


激しい口調のウズメ・・


「そなたと私は・・お互いを思うた仲だったのに!

 忘れたと言うのか!」



「その様な、昔の事は覚えておらぬ!

 私の心をもてあそび、私を捨てて行った者の事など!」



玄海の腕を払って長剣を振るウズメ。

寸前で、その剣を交わす。








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