6.博士の助っ人?
「来ちゃった!」
教頭先生の邸宅に突如現れた少女・・
教頭先生の話では女子高生くらいの子だというが・・
「お~!良くここが分かったね!」
博士が嬉しそうな表情になっている。
「研究室に行っても、ずっと博士達の姿が見えなかったから、
今西さんに聞いたら、ここに出張してるって・・
何で、私に一言、言ってもらえなかったんですかぁ~?」
不満そうな少女・・
「すまん、すまん、受験生じゃから、気をつかったつもりだったんじゃが・・」
博士と親密そうなこの少女・・いったい誰?
「受験勉強くらい、ちゃんとしてますよ~。
博士の研究所へ行くには、それなりの大学を出なきゃだし・・」
博士の所属する「電磁波研究所」へ行くには、理化学研究所や東大理3程度の過程が必要とされた。
マックスウェル研究所やMITに匹敵する研究所なのだ。(知る人のみ知られているらしい・・)
大平さんにしても、教頭先生にしても、学歴は優秀なものであった・・
「まぁ、ゆっくりで、良いわい・・
高校でも、楽しくやってもらいたいからのう・・」
「学校は、あんまり面白くないですよ~。
博士の研究所の方がよっぽど面白いです!」
「ふふ・・それは光栄だね・・」
博士の肩もみをしだす少女。
「だいぶ、(肩、)凝ってますね~」
「ふむ・・データ整理に追われる毎日じゃからな・・」
「大平さん!
博士のサポート、ちゃんとしてくださいよ!
大平さんだけが頼りなんだから!」
「は・・はい・・ 何とか、やってます・・」
計器をチューニングしながら、その少女に話を振られ、たじたじの大平さん。
「博士・・この子は?」
教頭先生が聞いている。
さすがに、博士と親しげな所を見ていると、聞きたくはなるだろう・・
「おう!そうじゃった!君にも紹介しておかないとな!」
両者、博士の言葉を受けて、背筋を伸ばす。
「こちらは、中野ユミちゃんだ。
ワシの研究の手伝いをしてもらっておるよ。」
「初めまして!中野ユミと言います!」
ペコリとお辞儀をしている。
会釈をする教頭先生。
「あなたが・・ユミさん・・」
「はい!」
5年前、陽子と博士が心霊現象で対決した時に、博士に手紙を出して助けを求めた少女である。
陽子との対決後、博士の研究を手伝ってきたのだった。(詳しくは「6(上巻)」の「ファーストコンタクト」、「鬼門」を参照されたい)
「こちらは、早乙女楓さん・・ワシの元で研究していたが、今は中学校の教頭をしておる。
中学校の実測中は、こちらの家に御厄介になっているよ。」
ユミちゃんに教頭先生を紹介している博士・・
「教頭先生??
普通、教頭先生って、年取ったオジサンですよね!」
何か、かなり失礼な事を聞いているようだが・・
「そうね・・
オジサン・・よね・・」
返す言葉に困っている教頭先生。
「ふぉふぉふぉ・・
さすがの早乙女君もたじたじじゃのう・・・
ユミちゃん・・
この若さで教頭になるには、並々ならぬ努力と、実績が無ければ、なれぬのだよ・・
早乙女君は、ワシの元での研究成果も評価されたが、
中学校での実績もかなりのものと聞いておる。
高校への進学の指導も的確だったり、
部活指導、PTAへの連携体制の確立・・
構内の教育方針にも積極的に改革や行動を行った・・
ワシもこの先生に習いたかったものじゃ・・」
「博士・・それは・・言い過ぎです・・」
赤面している教頭先生。
「へぇ~・・凄いんですね・・
家柄のコネだけじゃないんだ・・」
感心しているユミちゃんだが、一言多いのが玉に傷・・
「ユミちゃん!」
博士がいきなり声をあげた。
「はい!」
飛び上がるユミちゃん・・
「大人に向かって、失礼な事を言うモノではない!
早乙女君は、実力で、この地位を手に入れているんだ。
大口をたたくなら、同じ苦労をしてから、言いなさい!
まだ、何もしていない人が、憶測などで、
功績のある人を悪く言ってはいけない!」
博士に叱られたユミちゃん・・
「はい・・
失言でした・・
早乙女先生・・
ごめんなさい・・・」
「あ・・いえ・・」
「ふむ・・それでヨロシイ!」
家柄のコネは、確かに事実だったのだが、素直に謝るユミちゃんには、それ以上の敵意は浮かばなかった。
悪い事はちゃんと指摘し、それを受け入れ、謝罪する姿勢・・
博士とユミちゃんには、親子以上の関係があるようだった。
「博士とユミちゃん・・
何か、実の親子みたいですね・・」
教頭先生が、博士達に話しかける。
その言葉に、顔を合わせる二人・・
「そうですね・・
博士は私のお父さんみたいなものだし・・
私も
弥生ちゃんの代わりではないけど・・
博士のお手伝いができて、幸せです。」
「ふむ・・
そうじゃな・・・
ワシも時々、
弥生の生まれ変わりなんじゃないかと・・
思う事もある・・」
「弥生さん・・
博士の亡くなられたお嬢さん・・
ですね・・
私も、お会いした事があります。」
「そうじゃったな・・
君が高校の時に、
座敷童の出る温泉宿で会ったな~。
あの頃が懐かしいわい・・」
遠い目をする博士・・弥生ちゃんとの想い出に浸っている・・
(座敷童の一件は、「6 上巻」の「裏切り」を参照されたい。)
「博士~。
今は、
私が居るんですから~
寂しい思いはさせませんよ~!」
「ふふ・・
そうじゃな・・
弥生の想いの分も、
ワシの研究を進めねばならぬ・・」
「そう言えば、博士!
ハイサーチの件ですが・・」
大平さんが、突然、気付いたように、博士に話を振る。
「そうじゃった!
ユミちゃん・・
ハイサーチを今回使ったのだが・・」
「あぁ・・多重バンド計測ですね・・
研究室で、何度か試してましたよね・・」
「ハイサーチを作動させた時、
変な音を聞いてなかったかね?」
中学校での電磁波測定の際、新技術の「ハイサーチ」を使った。
霊感のある子達に、雑音が聞こえ、耳鳴りや頭痛に苛まれ、保健室へ行った生徒も居たという・・
「え?音ですか?
キーンとかドンドンとかいう音?
あの音って、あの装置の音じゃないんですか?
変な音だって思ってましたけど・・」
「え?」
「え??」
顔を見合わせる博士と大平さん・・
「あちゃー・・
それは失態だったわい!!」
顔を押さえる博士・・
「ど・・どうしたんですか?」
不思議そうなユミちゃん・・
「あの装置で、校舎を実測したら、生徒に影響が出てしまったんじゃ・・」
「気分が悪くなって、保健室へ行った生徒も居たそうです・・」
大平さんが補足する。
「霊媒体質の強い人には、特に健康を害する事もあるようじゃ・・」
「そ・・そうだったんですか~?」
意外な事実に驚いているユミちゃん・・
「それは・・知りませんでした・・」
教頭先生が話に加わる。
「ふむ・・・
早乙女君が校長先生との挨拶の際に連れてきた女子生徒が教えてくれたんじゃ・・」
「女子生徒?」
「その子も、霊媒体質じゃと、言っておった・・
確か、オカルト研究会でも見かけたのう・・」
「その子は・・
水島さんですね・・・
私の部活の・・副部長でした・・」
教頭先生が答える。
「ほう・・
副部長でしたか・・
いい子だよ・・あの子は・・」
「はい・・
でも、辞めてもらいました・・」
「何と!
それは、また・・なぜ故に・・」
「博士の研究を妨害したからです。」
「妨害・・
それはまた・・尋常ではないのう・・」
オカルト研究会の副部長でありながら、敵対するゴーストバスター部に情報を流し、
博士が消磁作業を行う前に、校舎内の「霊」の除霊を進めた張本人・・
霊能者である事を隠して、今まで、教頭先生を騙していた・・
教頭先生にとって、これ以上の屈辱は無かった・・
「ふむ・・
早乙女君の判断は、的確であると信じよう・・
じゃが・・
霊媒体質の生徒に、それほどまで、敵意を抱くのは・・どうであろうか・・」
「霊能者・・
私にとって、
私の研究にとって・・
邪魔者の何者でもありません・・
特に・・
あの親子は・・」
「あの親子?」
「望月 陽子と、その娘・・望月美奈子・・」
「望月!
・・・・
確かに・・
ワシは、
あの校舎で、
その娘さんに会ったよ・・」
簡易電磁波計測器で、美奈子のオーラをセクハラした博士・・
美奈子にとっても、強烈な出会いだった・・
「望月さんって・・
確か、博士と対決した人でしたよね・・
今西さんが紹介してましたが・・」
ユミちゃんが話に割り込む。
「そうじゃ・・
ユミちゃんの家の事件で、ワシはあの親子に敗れたのじゃ・・」
「私の家で、博士達が霊に囲まれた時、一瞬で消し去った子ですね・・
私と同い年くらいでした・・
今西さんの記事でも、最後は、あの親子が悪役に書かれてましたよ・・
でも、それがきっかけで、私も博士のお手伝いをする事になったし・・」
「あの時の、娘さんが
この中学校におったのじゃ・・
奇遇ではあるがのう・・」
「そんな事もあるんですね・・
ひょっとして、
また、今西さんが
何か、企んでるんじゃないんですか?
あの人、
記事を面白くするためには、
手段を選ばないんですから~!!」




