3.仮想空間
夢と現実の狭間・・
現実の世界と夢の世界・・
現実世界からバーチャル空間に入って繰り広げられる世界がある・・
あたかも、そこに空間が広がっているような、錯覚さえ覚える事もある。
バーチャル空間は、数値だけの空間・・
そこに、世界が広がっているわけでもない。
虚無の空間・・
だが、
その空間に、一筋の光を求める人達も居る。
生と死を分ける現実世界と霊の世界・・
現実と虚無を分ける現実世界とネット空間・・
その両者に、違いは殆どない。
バシャ!!
高速道路の入り口。ETCのゲートが勢いよく開く。
何台ものトラックが、ゲートをくぐり、方々へと走っていく。
夜間定期便。
物流センターが、主要道路の通る郊外の商業地域にあり、そこから近隣の都市や、離れた地方へと荷物を運び出し、次の日の朝には、輸送先の基地へとトラックが到着しているのだ。
我々の生活を支える物資の殆どは、こういった流れで配送されている。
そのトラックの運転を担う長距離運転手・・
連日の夜間の運転は過酷なものである。
1台の定期便トラックが、首都圏を目指して走っていた・・
ハンドルを握る運転手の目線は、前方を見つつ、計器類の並んだコンソールの脇に取り付けられた携帯電話のホルダーをチラっと見ている。
携帯の表示画面には、
悪霊大戦
「an-girl-more」
ケータイゲームの画面が表示されている。
愛紗さんや雨宮先生のやっているゲームである。
「さてさて、明日は、イベント最終日だったな・・
今日の内に、レア・アイテムを入手しなくちゃ・・・」
おいおい・・運転中にゲームか~??(読者の方々は真似しないでね・・)
「お!シズちゃんから、メッセージか~」
トモノリ君。
お互い、
イベ頑張ろうね(*^^*)/
シズちゃん
シズちゃん・・・
独身23歳と歳を偽って登録している雨宮先生(推定年齢37歳)のアカウントである・・
「可愛いよな~
23歳独身か~
そのうち、リア友になれるかな~」
ハンドルを握りながら、呟くトモノリ君・・
騙されてはいけない・・
相手は中学生の子持ちなのだよ・・
「お、Akiさんからもメッセージか~」
トモノリ君、
イベント・レア、親愛度MAXになったので、送りますね。
Aki
「さてさて、Akiさん用のレアも親愛度上げなきゃな・・」
お互いに、属性の異なるレアを交換しながら、連携してゲームを有効に進めているのだ。
先生とAkiさん、トモノリ君・・お互いに顔を合わせた事もない関係だが、同じ「秘密結社」(=ギルドのようなもの)で知り合った。
白魔術属性のAkiさん、黒魔術属性のトモノリ君に加え、陰陽師属性の先生の3タイプで、協力し合ってイベントを攻略することになったのだ。
仲間意識の様なものが芽生え始めて来ていた。
サービスエリアに入るトモノリ君のトラック。
すでに、駐車場は満員で、入り口付近の道路にも数台のトラックが止まっている。
サービスエリアにて、トラックの中で宿泊する運転手が多いのだ。
丁度、1台のトラックが出て行くところだったので、そこへ入れる事ができた。
駐車して、ホルダーの携帯電話を取り出すトモノリ君。
運転中は、簡単な操作のみで、メッセージを打つことが出来なかった。
SAにて、休憩中。
今日は200kmの予定。
休みながら行きます。
トモノリ
「秘密結社」の掲示板にメッセージを打ち込む。
仲間からのメッセージが入る。
お仕事ご苦労様です。
気をつけてね!
運転中はinするな!
寝るなよ~事故るなよ~
深夜、一人で運転するトモノリ君にとって、孤独から解放されるひと時だ。
メッセージを確認して、トラックを降り、トイレへと歩いていくトモノリ君・・
サービスエリアの建物内は、深夜で売店のシャッターが閉まっている。
自動販売機の立ち並ぶ灯りの前で、無口で煙草を吸っている運転手達・・
お互いにドライバーではあるのだが、会話があるわけでもない。
暗闇で、携帯電話の表示を見つめている人も多い・・
近くに人は居るが、お互いに話しをする事も無く、ネット上の遠くの・・顔も見えない人と会話をするおかしな現象が日常となっている。
トモノリ君も同様で、トイレが済めば、自販機で缶コーヒーを買ってトラックに戻るのだった・・
都内から少し離れたベッドタウンのマンション・・
最上階から1階下の一室で、一人、ベットに入って携帯電話を操作している女の人・・
一人暮らしなのだろうか?
いや・・
部屋の片隅のチェアーの上に、小さな仏壇が置いてあり、そこに位牌と男の人の写真が飾ってある。
「はぁ・・・」
写真を見つめて、ため息をついている。
若くして、夫を亡くした未亡人・・
Akiさん・・先生と同じ境遇で、意気投合したという女性・・
「トモノリ君、高速か・・
大変だな~
毎晩・・」
秘密結社の掲示板を読んでいたAkiさん・・
メッセージを打ち込む。
トモノリ君、
事故らないで、
気をつけてね
Aki
ありがとう!
気をつけます
トモノリ
メッセージが直ぐに帰って来る環境下にあった。
昼間は、お互いに仕事があるが、深夜は、そういった拘束が無い。
トモノリ君に関しては、仕事中ではあるが、一人で居る時間の為、inしても分からない利点もあった。
Akiさん、
レア送りますね!(*^^*)/
シズちゃん
「シズちゃん・・凄いね・・この間始めたばかりで、
まだレベル上がってないのに・・」
ありがとう!
こっちも、親愛度上げてる最中です。
Aki
了解!
イベがんばりましょう!
シズちゃん
仮想空間で、メッセージの行き来が繰り返されている。




