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霊感ケータイ  作者: リッキー
来ちゃった
272/450

156.親友


剛さんの火葬が終わり、美咲さんの家に、連れてこられた愛紗さん。


涙は枯れ果て、台所のテーブルに、半ば放心状態で座っている。


部屋の外から心配そうに見ている昇君(中学2年)・・



「愛紗・・お腹すいたでしょ?」

美咲さんが、ホットケーキを焼いて差し出した。


「(お腹・・)空いてない・・・」


「駄目だよ、食べなきゃ・・

 昨日から、ずっと食べてないじゃない。」


皿に添えられたフォークを手に取る愛紗さん・・

ナイフは危ないと思って出さなかった。



「愛紗!

 私、こんな時、どう慰めていいか分からない!


 あなたが

 剛君の為に

 料理も上手くなろうとした!


 その

 努力は認めるよ!


 あなたが

 剛君に出来る

 最大限の事をしたんだよ!


 それは

 それで

 立派だと思う・・


 だから


 元気を

 出して欲しい・・」



愛紗さんに元気を出してほしい一心の美咲さん。

だが・・


「元気?


 私・・


 もう・・


 立ち直れない・・



 最愛の人が

 居なくなって・・


 どうして

 いいのか

 わからない・・



 これまで

 剛君が


 私の

 希望だったから・・」








「愛紗・・





 わかった!

 今日は

 あなたの、言う事を聞くよ!


 何でも

 好きな事・・

 聞いてあげる!!」


何としても、元気づかせようと・・

慰めようとしている美咲さん。


その時・・



 グサ!!



ホットケーキにフォークを突き刺す愛紗さん。



「愛紗・・!」




「剛君を!!!


 剛君を

 返して!!!


 私の

 好きな剛君を!!!!」


涙を溢れさせて訴える愛紗さん。



「愛紗・・」


どうしようもない言動に、戸惑っている美咲さん・・・


何でも言う事を聞く・・そう言っても・・

死者を蘇らせる事なんて、出来ないのだ・・


それは、


百も承知の愛紗さん・・

意地悪を言ったわけでもない。


美咲さんを困らせようとしたわけでもない・・


愛紗さんの

今の、一番の願いだった・・










泣きじゃくる愛紗さんを、ただ、見つめるだけの美咲さんだったが・・


何かを決心した様子で、


愛紗さんに寄り添う・・


愛紗さんの肩を抱き寄せる美咲さん・・




「愛紗・・・」


少し、声を低く、優しい声でささやいた美咲さん・・




頭を優しく撫で、




愛紗さんの顔を寄せる・・





「美咲・・?」





何をするのかと、戸惑った愛紗さん、




次の、瞬間・・





唇と唇を重ねた美咲さん・・





放心状態の愛紗さん・・





優しく語りかける美咲さん・・



「愛紗・・



 いいよ・・



 今日は・・



 剛君の

 代わりに

 なってあげる・・」



「美咲・・」



美咲さんの背中に手を伸ばす愛紗さん・・


強く抱き寄せる美咲さん・・



「あ・・




 つ・



 剛・・



 君!」



抱き合いながら、涙が溢れていた二人・・


















  ・

  ・

  ・


再び、先生のマンション・・

ホットケーキを眺めながら、呟いている愛紗さん・・



「美咲が居なかったら・・

 私も・・

 どうなってたか、分かりません・・・」



「そう・・

 愛紗さん・・

 いい友達に、巡り会ったわね・・・」




「はい・・」








「昨日、霊感ケータイで剛君と対峙した時・・

 美咲さん、

 あなたを守るんだって・・

 決心してたのよ・・」


先生が昨晩の事を告げる。


「美咲が

 私を守る?」




「美咲さんにも、

 彼氏や

 友達が居る・・


 でも、


 あなたを

 守らなければって・・

 言ってたわ・・


 剛君も、

 それで

 安心したのよ


 あなたを

 任せられるって・・」




「剛君と・・


 美咲の・・


 約束・・



 美咲・・」











「大谷さん・・

 私の手を握って、

 怖い思いを振りきって・・


 剛君と

 話し合ったのよ・・


 怖いだけじゃない・・


 剛君に

 あなたの側から離れさせるのは・・


 あなたにとっても

 剛君にとっても・・

 これ以上、酷な事は無いって分かっていた・・


 それでも

 あなたを

 守りたい一心で・・


 剛君から

 離れてもらったのよ・・


 あなたの為を

 思って・・」


先程は、この時点で、愛紗さんが動揺していた。


でも

美咲さんの想いを、伝えなければならない先生・・



「美咲が・・

 私の事を・・・」


ホットケーキを見つめる愛紗さん・・・









  ブルルル・・・ブルルル・・・


その時、先生のポケットで、携帯電話のバイブレーターが鳴りだす。

取り出したのは、愛紗さんの携帯電話だった。

愛紗さんが再びアプリを始動することを避けるために預かっていたのだった。


見ると、メールが届いている。



「うふ・・・

 美咲さん、

 ちゃんと、あなたの事、

 忘れないでいてくれてるわ・・」


愛紗さんに携帯電話を渡す先生。

メールを見る愛紗さん。



 愛紗、元気になった?

 こっちは

 間に合ったよ!

         美咲



メッセージと共に、先輩に作ったお弁当の写真が添付されていた。



「美咲・・・」



そのメッセージを閉じると、メールの履歴となっていた。

昨日の夕方から、いくつもいくつも・・美咲さんからのメールが届いていた・・・





「美咲さん、ずっと心配で、愛紗さんにメールを送ってました・・」


先輩が、説明している。



「亡くなった人との想い出を

 忘れずに、

 ずっと胸に仕舞って生きて行くのは、大切な事だと思うわ・・


 でも、

 今を生きる上で、

 喜びや悲しみを分かち合える人が居て、


 そういう人達と

 共に生きる事も・・

 大切にしなければね・・」


先生が、愛紗さんに、優しく語りかける。


携帯を見つめていた愛紗さん・・



「私・・

 ちょっと・・

 行ってきます!!」



何やら、決心したらしく、

見送る僕達に、ペコリと挨拶をしてから、急いで、部屋を出て行く愛紗さん。















サッカーのグラウンド・・

高校の部活同士の試合が行われている。


フィールド内で白熱した試合が展開され、それを応援している部員や女子達・・

その中に、美咲さんの姿があった。


お目当ての先輩の後姿を見ながら、声援を送っている美咲さん。

その周りの、いつもの女子達・・



 バシー!!!!


シュートしたボールがゴールのネットを揺らす。


「キャー!入った~!!!」

「やっぱり、先輩、サイコー!」


こちらを向いて、ガッツポーズをいている先輩。

キャー、キャーと言いながら、嬉しそうに応援をしている。



「やっぱ、美咲、あの先輩、カッコいいよ~!」

「あの先輩の後、追うの?」

「うん!絶対行く!」


「今日のお弁当も、気合入ってるの?」

「当然!スペシャルだよ!」

「いいな~美咲、料理上手いからな~」

「あ~羨ましい~。先輩のハートを料理でがっちり掴んでるんだもんね~」

「人には、何かしら取り柄はあるってものよ!」



 ピー


相手チームからのキックで、試合が再開した。

お互いのフォーメーションに展開して、パスが廻り始める。


試合の流れを見ている美咲さん達・・



その時、



美咲さんの肩が、ポンと叩かれる・・



振り向く美咲さん・・




「美咲・・・」




愛紗さんの姿が、そこにあった・・・




「愛紗!

 あんた・・!

 何でここに!?」


驚いている美咲さん。



「来ちゃった・・・」



笑みを浮かべている愛紗さん。


美咲さんも、その表情に、安心して、

満面の笑みとなった。





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