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霊感ケータイ  作者: リッキー
来ちゃった
267/450

151.宣告


「愛紗さん?」


先生が話かける。


ベットに横たわって、じっと手を見つめている愛紗さん。

まだ目覚めて、状況がわからない。


ここが何処であるのか・・

何でここに運ばれているのか・・・


先生に向かって、放心状態の愛紗さん。

でも、中学校の時の見覚えのある顔だった。


「雨宮・・・先生?」


「覚えてくれてたのね・・・・」


「はい・・・

 ここは・・・・?」


「私の家よ。

 あなた、音楽室で倒れていたのよ。」


「音楽室で・・・・」


にわかに記憶が戻る愛紗さん・・・



「剛君!」


咄嗟に、剛さんの名前を呼んで、携帯電話を探し出す愛紗さん。

辺りを探すが、見つからずに、キョロキョロしている。


「これを探しているの?」

先生の手に愛紗さんの携帯電話があった。



「!!


 はい!!

 それです!!!」


その携帯電話にすがるかのように、先生に近づく愛紗さん。

でも、直ぐに、先生が携帯電話を仕舞う・・







「先生!返して下さい!!」

愛紗さんが先生に訴えている。


まるで、禁断症状でも出たかのように、必死に携帯電話に執着する愛紗さん・・・


「ダメよ!

 あなたは、このアプリで、疲労していたんだから・・・」


「何で、それを?」


先生が、アプリの存在を知っていた事に驚く愛紗さん。

そして、アプリを使えば、生体エネルギーを消費することも・・


彼女が、先生に代って話し出す。


「あの時、捨てて下さいって、言ったはずですが・・・」


「あなたは・・・あの時の・・・」


駅前のハンバーガー屋で会った彼女。剛さんの法事でも会っていた。



「私は、例のアプリは見た事は無いけれど・・

 本物の霊感ケータイに近いって・・

 聞いていました。」



「そうよ・・・

 あのアプリで、

 剛君に会えたのよ!


 ずっと会えなかった・・

 剛君に・・!」



「愛紗さん・・」

先生が呟く。


「剛君が、1年前に亡くなったのは、残念だったわ・・

 中学から、ずっとピアノを頑張っていた・・

 コンテストでも、入賞して・・これからだって・・・思ってたけど・・」



「剛君、他界してから、ずっと私の側で、守ってくれていたんです!

 アプリの中でしか見れなかったけど、私には、それでも十分でした!」








「でも・・

 あのアプリを使う度に、

 あなたの生体エネルギーが、どんどん犯されていったのよ・・」


先生がアプリの副作用について説明を付け加えた。

あのアプリが命を削る危険なものであると・・


「わかってました・・

 あのアプリを使うと・・

 極度に疲労するって・・


 でも、

 それを知ったら・・


 剛君が分かってしまったら・・


 剛君が心配するんじゃないかって・・・


 私の前から

 また

 居なくなるんじゃないかって・・」



危険を侵してまで・・自分の生体エネルギーを削ってまで剛さんに会おうとしていた愛紗さん。

自分に疲労が溜まっても、それを隠してまで会うことを続けていたのだった。




「それは・・

 うすうす・・

 気づいていたみたいです・・」

先輩が口を挟む。


「あなたは?」


「3年生の、水島と言います。

 昨日の夜、美咲さんと一緒に、中学校へ行ったんです。」


「美咲と中学校に?」



「愛紗さんが、行きそうな所が無いか・・思い出してもらったんです。

 そうしたら、中学校の音楽室じゃないかって・・・

 そこに、倒れていた愛紗さんを見つけることが出来たんです。」


「美咲が・・・」










「大谷さん・・

 さっきまで、あなたの事が心配で、ここにいたのよ・・」


先生が、先ほどまで美咲さんが、ずっとここに居たことを伝えた。



「そんな・・


 学校では、

 私なんか・・・

 一緒に居れば、

 迷惑な存在だったのに・・」


「そんな事ないわよ・・

 大谷さんは、あなたの事が、ずっと心配だって・・言ってたわ・・」



「美咲が?」



「そう・・

 だから・・

 あなたが、

 また、あのアプリで

 剛君と会おうとするだろうから・・


 辛かったけれど、

 霊感ケータイで、死者を見るのは

 怖い事だったけれど


 勇気をふりしぼって・・

 あなたの為を思って・・


 剛君と交渉したのよ・・」



「それは・・」


先生と先輩が顔を見合わせ、うなずく・・

いよいよ、愛紗さんに告げなければならない時が来た・・

既に、剛さんは、愛紗さんの側に居ないという事を・・


それも、

美咲さんの行動によるものだったという事を・・



「あなたが、

 また、あのアプリで

 剛君と会おうとするだろうから・・


 剛君に

 あなたの側から

 離れてもらうように

 頼んだのよ・・」



「美咲が・・・

 剛君と?」



「ええ・・あの子は

 あなたの事を大事に思っているのよ・・・」














「そんなの!!

 違う!!!」


それまで、大人しかった愛紗さんの態度が急変した。


「愛紗さん?」


「ここに!

 私の側に

 剛君は居ないの??


 もう居ないの?

 会えないの??


 私の

 意思とは

 関係なしに?


 勝手に・・

 剛君に離れてもらったの??


 わたしの・・

 わたしの事を想うなら!!


 剛君と

 別れさせる事なんか、できないはずよ!!!」


激しい口調になっている愛紗さん。


宥める先生・・


「愛紗さん・・


 それは、

 大谷さんも

 迷ったのよ!


 迷った上での

 決断だったのよ!」


必死の弁明も、愛紗さんに届かない。











泣き叫ぶ愛紗さん・・



「違う!!


 私は!!


 剛君と

 別れるくらいなら!!


 剛君と一緒に!あの世へ!」



 ピシーーーーー!!!!


愛紗さんの言葉が終わらないうちに、彼女の平手が愛紗さんの頬を叩いていた・・

急に飛び出してきて、何が起こったのか、そこに居合わせた誰もが分からなかった・・


放心状態の愛紗さん・・


「・・・・・・」





目に涙を溜めて叫ぶ彼女・・



「命を!!


 そんなに

 命を

 簡単に

 捨てるものじゃ・・

 ないわよ!!!!



 死んでいく人が!


 どれだけ

 『まだ生きたい』って

 思って死んでいくか!


 あなたには

 わからないの?!!!」



その言葉に、涙がドッと湧いてきた愛紗さん・・


「わかっているわよ!


 剛君が


 剛君が


 どれだけ


 無念で・・


 この世に残した希望を

 叶えられない無念で

 いっぱいだったか!


 もっと

 生きたいって!!


 誰よりも思っていたはずよ!!


 だから・・


 だから!!」


目に涙をためて彼女に訴える愛紗さん。



「あなたは、

 最愛の人の命が無くなるのを

 見る悲しみを知っているはずよ!! 


 それが

 どんなに辛い事か・・・!


 剛さんを亡くして、

 その気持ちが良くわかってるハズ!!


 そして・・


 あなたが死ねば、

 剛君も悲しむのよ!!


 最愛のあなたが死ぬことがあれば・・

 剛君だけじゃない!


 美咲さんだって!


 あなたの家族だって!


 みんな悲しむのよ!!!」



「うぅっ!!


 剛君に・・


 剛君に


 会いたい!!!


 会いたいよ!!!」


その場に、泣き崩れる愛紗さん・・

その場に居る彼女たちは、その姿を、ただ、見守る他・・なかった・・




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