148.マンションへ
ガチャ・・・
「只今~」
「ただいま、帰りました・・・」
先生のマンション。
玄関のドアを開けて、僕と先輩が入ってくる。
「お帰りなさい・・・」
先生が食堂のテーブルに腰かけていた。
ずっと、僕たちの帰りを待っていたのだろうか・・・・
携帯電話を眺めながら、座っている先生。
待っている間、あのゲームをしていたらしい・・
「先生・・・」
「何処へ行ってたの?
こんな遅くに・・・」
二人で何も言わずに、急に飛び出して行ったのが、心配だったのだろう。
中学生とは言え、男女なのだから・・
「美奈が、襲われたんです。」
隠し事をしていても、仕方が無い。
「望月さんが?また、ワラ人形なの?」
「はい・・犯人は分からなかったけど・・・
パパに協力してもらって、事なきを得ました。」
事なきを得た・・・実際は、彼女がダメージを喰らっている。
そういう面では、童子の攻撃は少なからず、成功しているのだ。
改めて考えると、僕たちは、運が良いというよりも、少しずつ、童子に追い詰められているのかも知れない・・
進展もしていないのが現状だ・・・
被害者だけが、増えて行く。
「そう・・
あの人が来たのか・・・
今も居るの?」
キョロキョロと見渡す先生。
見ても誰も居ないのだけれど・・・
「あ、帰りました、修行に行くって・・」
パパは僕たちがマンションへ着くなり、早々に地獄へと引き上げて行った。
このマンションには彼女が結界を仕掛けているので、パパですら入って来れないのだ。
それ以上に、まだ、修行が足らないらしい。
先程の童子との対決で、まだまだだと察したのだろうか・・・
「そう・・
挨拶くらい・・
して行けばいいのにね・・・」
先生は、パパとは、もう、長い間会っていない・・
僕は、何度か会ってはいるけれど・・
その事自体、普通ではないのだ。
何だか、まだ生きているような錯覚に陥っているけれど、
パパは既に死んでいる。
「それにしても、
あなた達、疲れてるみたいだけど・・」
「先生も、私達を待っていて頂いたんですね・・・」
「あなた達の事だから、何かあったんだろうと思ってたけど・・
望月さんが攻撃されてたなんてね・・
心配かも知れないけど、
興奮して寝れないだろうけれど、
疲れを残すと、
最善を尽くせないわ。
もう、寝なさい・・」
「はい。
おやすみなさい・・。」
そう言って、先輩は僕の部屋へと入って行った。
僕と先生が居間に残る。
「ヒロシ君も、大丈夫?
あなたが一番、疲れてる顔してるわよ。」
「はい・・
霊感ケータイを使ったから・・」
霊感ケータイの通話機能を使うと、疲労してしまうのだ。
その前から、寝付けなかったし、ワラ人形の犯人探しや童子との対決で、確かに疲れていた。
「そう・・
無理しないでね・・・」
そう言って、僕の頬に両手を添える先生・・・・
僕の目を見つめる。
「ホントに・・
心配したぞ!」
そして、優しい目になった先生。
何だか、本当のお母さんの様だった・・・・・
「済みません・・」
「何だか・・
段々・・
大人になってる感じね・・」
「オレが?」
「うん・・
良い顔に・・
なってるよ。」
「そう・・です・・・か?」
「女の子二人、戸惑わせて・・・
悪い子ね・・」
「痛てて!!」
頬をつねっている先生。
そのまま、手を離して、自分の部屋へと戻る。
「ちゃんと寝るのよ!」
「は~い」
そう返事をして、再び、慣れないソファーに横になる僕だった。
パソコンに向かう一人の男性・・・
額を氷の入ったガーゼで冷やしている。
目の上が腫れているようである・・・
先程、公園で、ワラ人形を打ち付けていた人物?
パソコンのモニターにメールの内容が表示されている
しくじった様だけど、
君の誠意は伝わったよ。
次はちゃんとやってもらうよ。
Hijiri
机の上に置いてあった眼鏡を掛けるその男性。
パソコンに向かっているのは・・・
大谷先輩・・・




