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霊感ケータイ  作者: リッキー
紗代
257/450

141.一晩



夜・・



皆、寝静まった頃・・・


「う・・  ん・・・」


芳子の寝言で、目が覚めた光・・

いや、実際には、興奮して、一睡もできなかった。


うとうととなるのではあるが、どうしても寝付けなかった。


「姉様・・・・」

そう言って、光の方へ寄ってくる芳子・・

寝ぼけているようだが・・


「もう、食べれませぬ・・・」


どうやら、夢を見ているらしい・・・

甘いモノでも食べているのか???


「あ・・・ね・・・さま・・・」


急に、不安な声を出し始める芳子。

危険な展開になったのだろうか????


そう言ったやいなや、光に抱きついてきた芳子。

光も何が何だか分からない。


「妖怪です!妖怪にござります!!

 私・・・怖い!!」



・・・怖い・・・


そんな感情など、芳子を見ている限りでは、今まで微塵も感じられなかった。

数々の魑魅魍魎と対決をしてきた芳子・・

勇猛果敢な場面もあった。


自ら、妖怪や亡者の中へ飛び込んでいく芳子。


でも、

中身は、17歳の女の子なのだ。

怖い場面に正直に怖いと言えない・・

自分の感情を殺していたにすぎない。


緊張感が張り詰めた状態で、弱音も吐けなかった芳子・・

恐怖におののいている感じだった。








「芳子殿!大丈夫です!」


そう言って、芳子を抱き寄せる光。


「姉様!姉様!!」


怯えて、光にしがみついてくる芳子・・

その手に、力が入る。




静寂が戻る。



目を開けて、何が起こっているのか、整理している芳子だった。


「・・・・・・・・・・・・・」


抱きついたまま、見上げる芳子。

光の顔が、すぐそこにあった・・・・・



「光殿!!!」


咄嗟に我に返った芳子。

いきなり抱き合っている展開に、動揺している。


「大丈夫・・

 夢を見ていたのです。」


芳子が、これ以上動揺しないように光が宥める。


「夢?・・・・・・・・・・」


考え込んでいる芳子・・


「あ・・・

 団子を食べていたら、

 団子が妖怪に化け、襲ってきたのです・・・」


何とも・・

芳子らしい夢だった。


まあ、想像はできたが・・



「それは・・

 恐ろしかったでしょう・・・」


半分、呆れた顔の光。

だが、恐ろしい事には変わりはない。

芳子にとって、大好物の団子が、妖怪に化けた事は、何よりも恐ろしい事だったのだろう・・


「はい・・・

 姉様に助けを求めたのですが・・

 気が付いたら、光殿でした。」


「さようで、ござりますか・・・

 それでは、近くに居る故・・

 安心して、お休みください・・」


そう言って、離れようとする光。






でも、抱きついたその手を緩めない芳子・・


「しばらく、こうして、いて下さい・・・」


「!・・・芳子・・殿・・」



「やはり・・

 私・・

 怖いです・・・」


「・・・・・・

 無理もありませぬ・・・

 妖怪退治の大役を任され、

 恐ろしい目に、遭ってこられたのですから・・・」


「はい・・・

 陰陽師として修行を積み、霊力も高まった私ですが・・

 心のどこかに、「逃げたい」という感情もあるのです・・・・


 妖怪と会い交える時・・

 大小の恐怖は・・

 いつになっても、消える事はありませぬ・・・」



「私めも・・・同じでござります」



「光殿が?」



「いつ命を落とさぬかと・・

 常に必死なのでございます。

 相手が妖怪と言えども・・


 生死をかけた、戦いに他なりませぬ。

 相手も必死になるが故・・


 恐怖の感情が湧く処ではありませぬ・・

 食うか・・喰われるかなのです。」



「お互いに・・

 明日をも・・

 知れぬ身・・・


 ならば

 今、生きている事を・・


 感じさせて下さい・・


 私を

 抱きしめて・・・」



瞳が潤んでいる芳子・・・

その抱く腕に力を込める光。


「あっ・・・・」


力を入れたとともに、

声を上げる芳子・・・


「光・・殿・・・

 感じる・・・

 私・・

 生きてる・・・」



光の背中に手を寄せる芳子・・



「さようです・・・

 芳子殿は・・

 生きておられる。」


「ああ・・

 母上・・」


何故、芳子が、母を呼んだのかは定かではない。

光の面影に、母の姿を見たのかも知れない。


そのまま、光の胸の中で、眠りにつく芳子。

安心しきっている、やすらかな寝顔だった。


そんな芳子を見つめながら、

目を閉じる光。


この夜は、二人抱き合ったまま、一夜を過ごした・・・



妖怪との戦いの日々のつかの間の休息だった。










朝・・・



光の腕の中・・・

芳子が目覚める。


すっきりした感じの芳子・・・

見上げると、光が寄り添っている。


「光殿・・・」


直ぐに起きない様子の光・・

寝顔が可愛らしく見えた。


コチョコチョ・・・

髪の毛を束ねて光の鼻の穴をくすぐる芳子。



ファ・・


 ファックショーーーん



くしゃみをして、飛び起きる光。

クスっと笑う芳子。


「おはようございます。

 光殿!」


「おはようございまする・・・」


ハッと気付いて、離れる光。



「ありがとうございまする・・。

 昨夜は、守って頂いたのですね・・・」


「はぁ・・・」


芳子から抱きついてきたとはいえ、少々気まずい様子の光・・

構わず、張り切りだす芳子。




「今日も、険しい街道を歩かねばなりまするな・・

 しっかり、お勤めしましょうぞ!」


「はい・・」


宿屋で朝食を済ませ、信濃を目指す二人だった・・・









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