88.異変
次の日の昼休み
音楽室にて・・・
ガラッ
僕が音楽室の扉を開ける。
いつも明るい雰囲気で迎えてくれるゴーストバスター部だったが、いつもと違う・・・
あれ?
彼女が居ない???
どうしたんだろう?
「あれ?望月さんは?」
千佳ちゃんに訊ねる僕・・・
「ヒロシ君。昨日は大変だったんだよ!!」
「大変?」
「昨日、拓夢君のお姉さんが、副部長に呪いをかけたんです。」
「呪い?どういう事??」
未来先輩が彼女に呪いをかける・・そんな恐ろしい事ができるのだろうか?
その事実を疑った。
そして、なぜ、そのような行動をとってしまったのか・・・
「あんた、鈍いわね~!!」
千佳ちゃんが、半分ヒンシュクな目で僕を見る。
「え?」
「先輩は、あんたへの嫉妬でミナちゃんに呪いをかけたのよ!」
「オレへの嫉妬?」
いや・・正確には、彼女への嫉妬心で呪いをかけたという。
覚えがないわけではない。
先輩が僕の事を好きだって告白もされていたのだから・・・
「ホント・・・こんな奴の何処が良いのかね~??」
千佳ちゃん・・そこまで言うか???
「あはは・・
千佳ちゃん言い過ぎよ・・
それは・・
ヒロシ君だって、一応、モテるんだから・・」
先生・・あんまりフォローになってないです。
「そうですよ~。部長さんだって、努力してるんですから~」
努力??
沙希ちゃん・・僕って、何か努力してたっけ???
「まあ、いいや!
そういう事で、今日は除霊作業はできないよ。
ミナちゃん、家で療養中だし・・
帰りに、ちゃんと寄ってね!」
家で寝ているという彼女・・
先輩の呪い・・・
それが、寝込む程のダメージを与えたというのだろうか・・
原因は・・・
確かに、僕にあるのだろう。
先輩をフッてしまった事もあるし・・
僕と彼女の仲に、嫉妬をしても致し方ないとも思った・・・
その矛先が、彼女に向いてしまった・・
彼女の容体が心配だ。
帰りにでも、彼女のお見舞いに行ってみるか・・・
放課後、北側校舎にて、博士達が器材を持ち出している。
機械のトラブルで、延期されていたが、いよいよ「霊の消去」が始まるのだ。
「では、行くぞ!大平君!!」
「はい!」
意気揚々と博士が機械のスイッチを入れる。
その様子を固唾を飲んで見守るオカルト研究会の部員達。
モニター代わりの携帯電話を見ながら、消去する霊の位置を確認する。
「では、まずは、階段下のポイントじゃ!」
そう言って、階段下の少女の居るはずの場所に、器材を向ける。
ピピピ・・
ピ・・
ピ・・
・・・
「うむ?どうしたのじゃ?」
「博士!反応がありません!!!」
「何???」
反応が無い・・・
そう。既に、北側校舎の霊は、ゴーストバスター部に除霊されていたのだった。
その手ごたえの無さに、焦る博士・・
次々と霊のポイントを探ってみるが、ことごとく、居ないのだ・・・
「霊の反応が無い・・
いったい、この2日間で何が起こったのだ???」
博士が嘆いている。
その様子を見ていた教頭先生・・・
「博士・・どうしたのですか?」
「2日前には、あった霊の反応が、全くないのだ・・
もう一度、探査をして、どうなったのかを検討してみないといかん・・
振り出しに戻ってしまったわい・・」
「消去作業は?」
「残念じゃが、中止じゃな・・
せっかくの機会だったのだが・・・」
途方に暮れている博士・・・ショックが隠せない。
仕方なしに、探査作業を行う・・
消去作業に期待していた部員達だったが、
「これは・・一体・・・」
呟く(つぶやく)教頭先生・・
ほっと一安心の表情を浮かべた拓夢君と未来先輩・・
部員達に、今までと同じ作業を行うように指示した教頭先生・・
教務員室へと歩いていた。
その途中で、卓球部の部員が話しながら歩いてくるのが見えた。
「今日は、除霊しないんですかね・・」
「ああ・・あの可愛い子の巫女姿、いいよな~」
「先輩・・コスプレ・フェチですか?」
「バカ言うなよ~。」
「除霊?」
教頭先生が、反応する。
「ちょっと、あなたたち!」
「はい!!」
卓球部員を呼び止める教頭先生・・・




