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霊感ケータイ  作者: リッキー
呪いの藁人形
204/450

88.異変


次の日の昼休み

音楽室にて・・・


 ガラッ


僕が音楽室の扉を開ける。

いつも明るい雰囲気で迎えてくれるゴーストバスター部だったが、いつもと違う・・・


あれ?

彼女が居ない???


どうしたんだろう?



「あれ?望月さんは?」

千佳ちゃんに訊ねる僕・・・


「ヒロシ君。昨日は大変だったんだよ!!」


「大変?」


「昨日、拓夢君のお姉さんが、副部長に呪いをかけたんです。」


「呪い?どういう事??」


未来先輩が彼女に呪いをかける・・そんな恐ろしい事ができるのだろうか?

その事実を疑った。


そして、なぜ、そのような行動をとってしまったのか・・・


「あんた、鈍いわね~!!」

千佳ちゃんが、半分ヒンシュクな目で僕を見る。


「え?」


「先輩は、あんたへの嫉妬でミナちゃんに呪いをかけたのよ!」


「オレへの嫉妬?」


いや・・正確には、彼女への嫉妬心で呪いをかけたという。

覚えがないわけではない。

先輩が僕の事を好きだって告白もされていたのだから・・・











「ホント・・・こんな奴の何処が良いのかね~??」


千佳ちゃん・・そこまで言うか???


「あはは・・

 千佳ちゃん言い過ぎよ・・

 それは・・

 ヒロシ君だって、一応、モテるんだから・・」


先生・・あんまりフォローになってないです。


「そうですよ~。部長さんだって、努力してるんですから~」


努力??

沙希ちゃん・・僕って、何か努力してたっけ???


「まあ、いいや!

 そういう事で、今日は除霊作業はできないよ。


 ミナちゃん、家で療養中だし・・

 帰りに、ちゃんと寄ってね!」


家で寝ているという彼女・・


先輩の呪い・・・

それが、寝込む程のダメージを与えたというのだろうか・・


原因は・・・


確かに、僕にあるのだろう。


先輩をフッてしまった事もあるし・・


僕と彼女の仲に、嫉妬をしても致し方ないとも思った・・・


その矛先が、彼女に向いてしまった・・

 


彼女の容体が心配だ。

帰りにでも、彼女のお見舞いに行ってみるか・・・









放課後、北側校舎にて、博士達が器材を持ち出している。

機械のトラブルで、延期されていたが、いよいよ「霊の消去」が始まるのだ。


「では、行くぞ!大平君!!」


「はい!」


意気揚々と博士が機械のスイッチを入れる。

その様子を固唾を飲んで見守るオカルト研究会の部員達。


モニター代わりの携帯電話を見ながら、消去する霊の位置を確認する。


「では、まずは、階段下のポイントじゃ!」

そう言って、階段下の少女の居るはずの場所に、器材を向ける。


 ピピピ・・





 ピ・・





 ピ・・




 ・・・





「うむ?どうしたのじゃ?」


「博士!反応がありません!!!」


「何???」


反応が無い・・・

そう。既に、北側校舎の霊は、ゴーストバスター部に除霊されていたのだった。


その手ごたえの無さに、焦る博士・・

次々と霊のポイントを探ってみるが、ことごとく、居ないのだ・・・



「霊の反応が無い・・

 いったい、この2日間で何が起こったのだ???」


博士が嘆いている。

その様子を見ていた教頭先生・・・


「博士・・どうしたのですか?」


「2日前には、あった霊の反応が、全くないのだ・・

 もう一度、探査をして、どうなったのかを検討してみないといかん・・


 振り出しに戻ってしまったわい・・」


「消去作業は?」



「残念じゃが、中止じゃな・・

 せっかくの機会だったのだが・・・」


途方に暮れている博士・・・ショックが隠せない。

仕方なしに、探査作業を行う・・


消去作業に期待していた部員達だったが、



「これは・・一体・・・」

 

呟く(つぶやく)教頭先生・・

ほっと一安心の表情を浮かべた拓夢君と未来先輩・・







部員達に、今までと同じ作業を行うように指示した教頭先生・・

教務員室へと歩いていた。


その途中で、卓球部の部員が話しながら歩いてくるのが見えた。


「今日は、除霊しないんですかね・・」

「ああ・・あの可愛い子の巫女姿、いいよな~」

「先輩・・コスプレ・フェチですか?」

「バカ言うなよ~。」




「除霊?」

教頭先生が、反応する。


「ちょっと、あなたたち!」


「はい!!」

卓球部員を呼び止める教頭先生・・・






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