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霊感ケータイ  作者: リッキー
呪いの藁人形
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84.草木も眠る丑三つ時


お寺・・


草木も眠る丑三つ時・・現在の時刻形態では、深夜2時~3時半の間である。


シーンと静まり返った境内・・

お寺の丑三つ時は薄気味悪く、まさに幽霊でも出てくるかといった雰囲気だった。


美奈子が寝ている・・



ズキ!


「う!」


急に胸に痛みが走る。


悪霊との対決で負傷した胸の傷跡・・

その痛みで、起き上がった美奈子。胸を押さえる。


 

ズキ!!


「う!!!」


再び、胸に激痛が走る。


「こ・・この痛みは!」










公園の緑地帯。


    コーーン!


生い茂る木々の中に響き渡るかん高い音・・

何かを幹に打ち付けている音のようだった・・



   コーン!


未来先輩の姿があった。

その手に握られた金槌・・

そして、その先に向けられている5寸釘・・


幹には、昨日送られてきた


ワラ人形・・・







ワラ人形の顔の部分に


「望月 美奈子」


と書かれた紙が貼ってある。


その胸に突き立てられた5寸釘・・

その釘の頭を、金槌で思いっきり叩いていた。


何かに取り憑かれたような形相の先輩・・


「あなたさえ・・

 居なければ!」


振り下ろされる金槌に打たれる釘・・


 コーン!






 ズキ!!


 「う!」


釘が撃ち込まれるたびに、激痛が走る美奈子・・


「ダメ!先輩・・!!」


のた打ち回る美奈子・・


「私に・・結界を張らせないで!!」












「美奈ちゃん!どうしたの?」


響子が異変を察知して部屋に入って来た。

苦しそうにしている美奈子。


「お母さん・・

 先輩が・・

 未来先輩が・・


 私に

 呪いを・・・」


「呪い?

 どうして!」


「分からない・・

 でも、この憎悪・・

 半端ではない!


 う!」


「ど・・どうすれば・・・」

途方に暮れている響子・・


「このままだと、結界を張らないと、もたない・・・

 でも、

 結界を張れば、その呪いの矛先は、

 本人に向いてしまう!」




「呪いのワラ人形」・・


その扱いには十分注意が必要なのだ。

草木も眠る丑三つ時・・人目の付かない場所でその儀式は行われるが、決して、他人に見られてはいけないと言う。

また、呪いを行う者の念が強ければ強いほど、効果を発揮する。


本来、その執念は、病を治したり、健康を祈って行われていたが、

いつの間にか、他人を傷つけたり、呪い殺すという恐ろしい儀式と化していた。


その執念が向けられた相手に、ダメージを負わせるが、逆に、その矛先から結界などによって跳ね返されると、呪いをかけた本人へダメージが返って来る・・・


美奈子は、その本性を知っていた。

結界を張れば、先輩にその念が跳ね返る・・



「呪いが・・

 本人に・・

 跳ね返るって事?」


「はい・・

 み・・

 見つけて欲しい


 そして

 止めさせて!」


「分かったわ!」


そのまま、上空へと舞い上がる響子・・









お寺の上空・・宙に浮いている響子。

四方を見渡すが、どこから、呪いが来るのか分からない。

耳を澄まし、神経を集中する・・



 ビーーーーーン!


「向こう?」


駅の方面から、その衝撃波が向かってきていた。

その方向へと飛ぶ響子・・



「駅の方面か・・・


 沙希ちゃん・・」


沙希ちゃんを思い出した響子。

実体のない響子では、先輩を見つけたとしても、何も出来ないのだ。


幸い、霊感ケータイを持っていたので、霊能者でなくても響子と連携がとれるはず・・

一路、沙希ちゃんの家に向かう響子だった。





寝ている沙希ちゃん・・


 チャラララ・チャラララ


霊感ケータイが鳴っているのに気づいた沙希ちゃん。

寝ぼけ眼で携帯を探す。



 ピッ


メールが入っている。



 沙希ちゃん。急いで起きて!

         響子



「あ・・

 お母さん・・

 こんばんは!


 どうしたんですか?

 こんな夜中に・・」


まだ、半分、うつろになっている沙希ちゃんだった。



 ミナちゃんが大変なの!

 一緒に探して!!

        響子



何を探すのか、分からなかったが、美奈子が大変だという事らしかった・・

急いで、服に着替えて家を出る沙希ちゃん。













夜道を当ても無く走る沙希ちゃん。


「お母さん、どっちの方へ行けばいいんですか?」



 わからない。

 でも、美奈ちゃんのお寺からだと、

 駅の方からだったのよ・・

        響子




「じゃあ、この辺りなんでしょうけど・・・」



 待って!もう一度、探ってみる!

        響子



再度、上空へと昇る響子。









「響子さん!」


響子が呼び止められた。


上の方から??

声をかけられた方向を見る響子・・


「翔子ちゃんのお父さん!」


翔子ちゃんパパのお出ましだ。心強い味方・・


「どうしたんですか?

 血相変えて・・」


死人に、血相も何もないと思うが、「慌てている」という表現だろうか・・


「ミナちゃんが、大変なんです!

 早く、探さないと・・」



「それは、一大事です!

 私も手伝います!」


耳を澄ます二人。




 ビン!!!


先程の衝撃波だ。かなり近い。

噴水のある公園の方だった。前に美奈子が童子に襲われた公園・・



「こっちですよ!」


「はい!沙希ちゃんを呼んで来ます!」


沙希ちゃんを公園まで導く響子。

一刻を争う。





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