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霊感ケータイ  作者: リッキー
呪いの藁人形
198/450

82.贈り物


「失礼します・・」


家庭科室から出る先輩・・・・

廊下を歩いていると、向こうの校舎から、賑やかな声がした。


ゴーストバスター部の除霊の様子が目に入った・・


「次、こっちかな~?」


「あ、次は理科準備室だよ。」


「あ~。美奈ちゃん・・ちょっとタイム・・休憩~。」


「先輩!さっき休憩したばっかりですよ!」


「先生~・・私も限界~。」


「う~ん、仕方ないわね・・10分休憩しますか・・」


マッサージタイムになる。

肩を揉まれて至福の時間の美奈子・・


「う~ん・・気持ちいいな~

 ヒロシ君・・もうちょっと上・・」


「はいはい・・・」


仲のいい二人・・

その姿を見ながら、先輩に、ある種の憎悪に似た想いが湧きあがっていた・・

先程の、教頭先生の言葉が脳裏によぎる・・




  諦められなかった・・・



  一緒に活動をすればするほど・・



  あの人が好きになっていったわ・・




  そして・・・




  副部長が・・



  憎くなっていった・・・



  目障りな存在・・



  あの人さえ居なければ・・






「あの人さえ・・


  いなければ・・・・」


無心に口ずさんでいた先輩・・

その自らの殺気に驚き、ビクっとなった・・・・


「私・・


 今・・


 何を・・・・」


美奈子たちを横目に、部室へと歩き出す先輩。









視聴覚準備室。


 ガラ・・


先輩が入ってくる。


「お姉ちゃん!」


拓夢君が出迎える。他の部員も、教頭先生と出て行って、何があったのか心配だった・・・


「何か・・

 あったの?」


「いえ・・何もないわ・・・」


作り笑顔の先輩。その言葉に、部員も安心したようで、自分の作業に各自が戻る。


静かに、自分の机に座る先輩。

窓から、空を眺める。


  ハア・・


ため息を漏らす先輩。

やはり、何かあったのだと、見守る拓夢君だったが、何もできないでいた・・・・


その時・・・・


   ポロロン


先輩の机に置いてあったパソコンの音が鳴る。

それに気づいて、マウスに触れる先輩・・・


「メール?」


画面を見ると・・・



 今の君に必要なアイテムを

 送らせて頂きました

          Hijiri




「Hijiriさん」からのメールだった。

大谷先輩や教頭先生とはコンタクトを取っているようだったが、

先輩に発信して来たのは初めてだった・・・



「何?

 これ・・・」


不気味な内容のメールに戸惑う先輩・・









「ただいま~」


自宅へ帰って来る先輩。

拓夢君はまだ、自主トレーニング中だった。


「あ、お帰り、未来・・

 荷物が届いているよ。」


お母さんが、宅急便の小箱を渡す。

送り先は、東京だった。見ず知らずの住所・・


送った人は


 「聖 正人」



「聖・・・ヒジリ・・・Hijiriさん?」


荷物を受け取り、2階の自分の部屋へと上がっていく先輩・・・

不思議に思うお母さん。






包みをむしりとり、中の箱を開ける。


入っていたのは・・


説明書・・らしきもの・・



説明書を取り出しすと、その下には・・


何も書いていない紙きれ1枚・・


更に、丸い空気のプツプツの梱包材に包まれた、何かが入っていた。



その梱包を取り出すと、



5寸釘が数本が束ねられて出てきた



梱包に包まった、モノとは?





梱包を解いて中のモノを確認する先輩・・



その中には・・




ワラで作られた・・



 人形・・・




「ワラ・・・


 人形?!!!」


恐ろしくなった先輩。

咄嗟に(とっさに)箱の蓋を被せる。


ゴクリと唾を飲む先輩・・・



「何で・・・

 こんなモノを・・・・」




   今の君に必要なモノを

   送ったよ・・・






その言葉が脳裏から離れない・・・









夕食・・


先輩と拓夢君、そしてお母さんとでの夕食だった。

顔色が悪い先輩を不思議に思う拓夢君・・


「お姉ちゃん・・

 どうしたの?」


「え?」


「顔色悪いけど・・・」


「そう?」


全身に寒気が走っている先輩・・震えているようでもあった・・・


「未来・・熱でもあるの?」


「いえ・・何だか寒気が・・・」




   カチャ・・・


茶碗と箸を机に置く先輩・・・


「どうしたの?」


再び、お母さんが聞いている。



「食欲が無いの・・・

 早めに、休むわ・・・」


そう言って、2階へ上がって行った先輩・・・

不思議そうに見つめる拓夢君とお母さん・・・












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