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霊感ケータイ  作者: リッキー
オカルト同好会
197/450

81.因縁


「あの・・部長・・・よろしいでしょうか・・?」


直談判を決意して、今西の所へ来た楓ちゃん。


「どうしたの?深刻な顔して・・」


「最近・・少し、あの霊能者達への取材が多いんですが・・・」


「ああ!面白いだろう?

 彼女たちは、本当に除霊してるんだよ!

 霊と真っ向から向き合っている・・


 凄いよね!」


深刻な面持ちで話しかけた楓ちゃんに対して、あっけらかんと語る今西。


「その事なんですが・・」


「え?どうしたの?」



楓ちゃんから報告を聞く今西・・


「そうか・・皆は付いて来れないって事か・・・」


「今西君・・」

一緒に居た幸子さんが心配している。


「次のレポートで、皆が納得しないなら、考えなければね・・

 今回、追っている事件も凄いんだよ!」


有頂天になっている今西を止められる術が無かった・・・

出来れば、今西の良いように動いてあげたかった。

ギャップに苦しむ楓ちゃん・・





「もう、辞めるよ!こんな部活に居ても、意味がない!」

「新しい部を作りましょうか?」


部員達を説得してはきたものの、限界に近かった・・

そして、ある提案をしたのだった・・・


「みんな、待って!!」


「早乙女さん・・この間、交渉したけど、ダメだったじゃないか・・・」


「私に・・

 考えが・・

 あります・・・」





今西と幸子さん、陽子と響子が部室でミーティングを行っていた。

楓ちゃんが入ってくる・・・


「部長・・」


「早乙女さん・・どうしたの?顔色が悪いけど・・・」


「これを・・受け入れて欲しいんです・・・」


一枚の紙を手渡す楓ちゃん・・



「何々?

 意見書???」


その内容は、今後の部活のあり方について書かれていた。

前の様に「研究」の方向へと戻すこと、博士との情報交流を続ける事・・


そして・・

その方向が取り入れられない場合・・


   部長の解任・・


後ろに部員全員の署名が寄せられていた・・


「これって・・・」


「部員、全員の意見です」


部員達の部長に対する事実上の反乱であった。







「部長のやりかたに、反対・・・って事か・・」


「今西君・・・」


幸子さんが呟く・・ここまでの事態になるとは・・・


「裏切るつもりは無いんです・・

 ただ、部員達の事も考えて欲しいんです・・・」 



「今、オレには、やらなきゃならない事がある・・

 本当の世界・・それを見つめなければならない・・」


「部長!!」


「早乙女さん・・

 悪いけど・・

 オレの方針は、曲げられない・・」


「それは・・・」


笑みを漏らす今西・・


「残念だけど・・

 オレは、部長を降りなければならない様だね・・

 ここからは、個人で動くことになる・・」



「いやです・・


 わたし・・


 合宿のような


 あんな活動に


 戻りたい・・


 部長と一緒に!


 また、やれないんですか?」



「ごめん・・・

 もう、引き返せないんだ・・


 この事件は・・・

 全力で取り掛からなければ、ならない・・


 部活の皆には悪いけど・・」



「そんな・・・」


涙を貯めている楓ちゃん・・・







そして、次なる提案を持ちかけた今西・・


「早乙女さん、

 君に、部長を務めてほしい・・」


「え?」


「オレの変わりに、博士との研究を進めて欲しいんだ・・

 君なら、やれるよ!」


「部長・・」




「早乙女さん・・・って言ったわね・・・」

陽子が話し出す。


「はい・・」


「この世界は、数字では解き明かせない・・

 本物を見つめる目が必要なのよ・・

 お遊びでは務まらないのよ・・」


キッと見つめる楓ちゃん・・・


「こんなの、変ですよ!

 部長さんも、副部長さんも間違ってます!」


「早乙女さん・・・」





「得体も知れない事に、『命』を張るなんて!

 第一、霊なんて存在するんですか?

 未知のものだからロマンがあるんじゃないんですか?

 私、そこに興味があって入ったのに・・」


激しく抗議する楓ちゃん・・こんな怒りを露わにする姿を見るのは初めてだ。

陽子が反論する。


「あなたが、現代科学に依存しようとするのは分かる・・

 でも、これが現実なのよ・・

 「霊」は存在し、私達の生活を脅かす事もある・・」


「そんなの!そんなの!!」


「早乙女さん・・

 信じなくてもいいよ。


 これ以上、僕たちに付き合わせる事も

 強いられない・・」


「部長!」

涙目の楓ちゃん・・


「私・・・部長の事・・・」



「早乙女さん・・まさか・・」

幸子さんが何かに気づく・・



「私、絶対、証明してやる!!

 こんなバカげた世界なんて、

 無いって事を!」


そう言って、部室を飛び出す楓ちゃん・・・  



その後、楓ちゃんを中心とする部長体系が整えられ、新しくオカルト同好会が再出発することとなった。

今西と幸子さんは陽子や響子と共に、妖怪と対決し、負傷した幸子さんは数週間後にこの世を去った・・



最愛の人を亡くし、心に傷を負った今西・・


高校へは通学してはいたものの、

オカルト同好会へ顔を出すことは無く、

楓ちゃんとの交流も一切無いまま、

卒業していったのだった・・・・



そして・・・・






「私は、博士の研究機関に入って、研究を続けたの・・

 父親の策で、教師にさせられたけど・・学校でも研究を続ける道を作ってきた・・・」


家庭科室で先輩に過去を語り続けていた教頭先生・・・


「そうだったんですか・・・」


「私にとって、あの霊能者の二人は・・

 幸せな部活を崩壊に導いた張本人・・


 そして、

 今年の学年名簿を見たとき、唖然としたわ・・


 望月 陽子の娘・・美奈子・・


 そして、

 苗字は変わっていたけど・・


 一橋 響子の息子・・ヒロシ・・・


 この二人が、

 ゴーストバスター部を結成し、

 私の部活に反旗を翻している・・」



「教頭先生・・


 それで・・・

 ゴーストバスター部を?」


「わかった?

 私が執拗なまでに、あの部活を排除しようとしている理由が・・・」


家庭科室の窓際で外を眺める教頭先生・・




「あの・・・」


「なに?水島さん・・・」


「いえ・・何でもありません・・・」


何も言えない水島先輩・・


その時・・


 「お互いに


  分かり合える道は


  ないのですか?」


喉まで出掛かっていたが・・・

声を突いては言えなかった・・・・・



「失礼します・・」


家庭科室から出る先輩・・・・




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