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霊感ケータイ  作者: リッキー
オカルト同好会
187/450

71.オカルト同好会


プルルルルル・・・・・


とうとう、部活で乗るはずの電車の発車ベルが鳴り出す。

部員達は、部長たちの来るのを待たずに、予定通り、この電車に乗り込んでいた。


楓ちゃんも、列車に乗って、ドアの前でホームを見ている・・



バタバタバタバタ


「わお~!!電車が出る~・・!」

「もう~。何でこんな時に寝坊するのよ~・・」

「仕方ないじゃん!昨日は興奮して寝れなかったんだから~!」


今西と幸子さんがホームに通じる階段を勢いよく降りてくる。


「部長!早く!電車出ちゃいます~!」


「ヒエ~」



プシュー・・・・


 ファン!


ガタンー・・・ガタンー・・・・



何とか飛び乗ってギリギリセーフの今西と幸子さん・・

ハアハアと息が荒い。


「間に合った~」


「部長!心配しましたよ~!」

楓ちゃんが今西に対しての抗議。


「ゴメン、ゴメン・・

 他に乗り遅れた部員はぁ~?」


「居ません!部長たちが最後ですよ~」

強く出る楓ちゃん・・


「まことに申し訳ありませんでした!」

幸子さんが謝っている。部員たちに頭を下げる。


「面目ない!」

今西も、それに連れられ頭を下げる。


「部長・・何で、遅刻なんか・・

 心配したんですよ~。」

楓ちゃんが必死に訴えている。


「いや~ゴメン・ゴメン・・

 昨日、余りに興奮してて眠れなくって・・

 朝になって寝込んだらしくて、

 気がついたら、出発30分前で・・」


「もう~!私が迎えに行かなきゃ・・どうなってたか・・!」


「スマナイ!何とも言えん!」


「罰として、今日はご飯抜きよ!」


「えぇ~??そりゃないよ~。

 ・・なら、遅刻した連帯責任で、幸子もだよ・・」


「えぇ~??それアリー??

 迎えに行かなきゃ良かったぁ~!」



「まあ、まあ・・

 とりあえず、電車も間に合った事なので・・」

楓ちゃんが仲裁に入る・・


仲が良いのか、悪いのか・・いつもこんな感じの今西と幸子さんだった。








部員達を前に挨拶を始める今西。


「え~。本日は大変、お日柄もよく~。」


「こら!結婚式じゃない!」

幸子さんからヤジが飛ぶ・・


「あはは・・

 今日は、我がオカルト同好会の新部員歓迎・心霊スポット巡りツアーに参加して頂き、誠にありがとうございます。


 さて~。

 このツアーでは、雑誌で紹介されていたり、全く独自の調査による心霊スポットを・・

 何箇所か一緒に巡ることで、皆さんとの親和を深めたいと思います。


 2年生は俺と、副部長の2人ではありますが、今後、部員を増やして、活動を広げて行きたいと思っていますので、新入部員の方には、今後とも当部会へのご理解と積極的な活動への参加を、よろしくお願いします。」



 パチパチパチ



数人の拍手ではあったが、新たな部員を前にして、嬉しい限りの今西であった。

幸子と二人で1年の時に立ち上げて以来、活動が徐々に認められてきたのだと実感していた。


そして、楓ちゃんにしても中学から憧れていた先輩の下で、好きな分野の探求が出来るのだと、内心張り切っていたのだった。


「部長。まずは、この電車で何処へ行くのですか?」


新入部員には目的地も告げず、全く行き先不明のツアーだった。


「う~ん。まずは・・・ヒントはトンネルかな~。」


「トンネル・・・ですか・・・」

手帳をポケットから徐に(おもむろ)出して、何やら調べる楓ちゃん・・


「この鉄道の沿線の心霊スポットは・・薬師トンネルの親子の霊・・」


「す・・鋭いね・・・!早乙女さん・・・」


「5つ目の駅からバスにて向かうのですね?」


「うふふ・・今西君もたじたじね・・」


まさに、その通りだった・・楓ちゃんの情報通に驚く今西だった。










楓ちゃんの予測どおり、5つ目の駅で下車し、バスに乗り込む一行。


小さな女の子を連れたお父さんの二人連れが一緒に乗って来た。

しばらく田舎道を揺られ、木々の生い茂る山道を抜け、峠の近くへ差し掛かる。


 「薬師峠」


トンネルがあるというバス亭で一同が降りる。

それまでの、のどかな風景が一転して、不気味な雰囲気が漂っている。

少し歩くと、目的のトンネルが大きく口を開けていた。


  真っ暗なトンネル・・


向こう側の出口の明かりがかすかに見える。


「やっぱり・・怖いですね・・・」


実際、心霊スポットと言われる場所に立つと、薄気味悪い感じになる。

「冷気」のようなものに襲われるのだ。

一同が入るのをためらっていた・・・


今西と幸子さんが、恐怖におののきながら、話し合っている。


「は・・入ってみる?」


「う・・・今日の宿泊場所は、この先だからな・・

 行かなきゃ・・泊まる場所がない・・・」


「行くしか・・ないの?」


「この場所には、親子の霊が漂っているという噂です・・

 そのいわくは・・・」

急に楓ちゃんが説明をし始める。


「あ~!!!早乙女さん!解説はいいから~!!!」


「え?部長さん・・入らないんですか?」


「い・・いや・・入る事は、入るけど・・・・」


「ひょっとして、怖いのでは?」


「まさか・・!それは・・・・

 あ、オレは、皆の安全を見ながら、最後尾で見張るから・・・」


楓ちゃんの眼鏡がキラリと光る。


「オカルト同好会の部長ともあろう今西先輩が怖がりと言うのもなんですね~・・

 ここは、しっかり、先頭を切って進んで頂かなければ!」


「あはは・・早乙女さん・・」




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