表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊感ケータイ  作者: リッキー
ファーストコンタクト
166/450

50.相談



 月刊オカルト編集室



事務所に届いた自分宛の封書を開けて読んでいる今西。

あの女の子からの手紙だった。



「へぇ~。あの女の子の所へ、博士が訪問したんですか~。」

覗き込んだ女性スタッフが声をかける。


「ああ・・

 博士が『例の装置』で『霊』を消したそうだ・・」


「それって、凄いですね!

 スクープじゃないですか~。」


「そうだな・・

 いい記事になれば良いがな・・

 あ、そうだ、博士にお礼を言っておかなきゃ!」


思い出したように、電話機をとる今西。

博士の研究室へかける。



「あ、大平さんですか?

 月間オカルトの今西です。


 いつもお世話になっております・・」


丁重に博士へのお礼の電話をする今西だった・・




電話が終わるなり、事務所の入り口から声が掛かる。


「今西さ~ん。

 面会の方ですよ~。」


「え?俺?」


見ると、あの女の子のお母さんが会釈をしている。

今西にとっては初めて会う人だった。


事務所まで来て、いったい、何の用なのだろう・・・



事務所の一角に設置された応接間にて、二人が話し込む。


「中野ユミの母ですが・・」


「ああ・・あの女の子の・・」


「先日は、色々と娘に良くして頂いたのですが・・」


「はい。

 博士なら、ちゃんとした研究所を構えておられるので、ご安心ください。」


「その事ですが・・

 もう、私達家族に、関わって頂きたくないのです・・・」


「はあ・・・」


急に、手を引いて欲しいと言ってきたお母さん。

聞けば、あの後、女の子と父親とで口論になったそうである。




  ・


  ・

  ・

  ・



夜、お父さんが帰って来て、昼間の話をしたが、

感心するどころか、怒られてしまう女の子・・


「何だって?

 うさん臭い大人なんか、滅多に家に入れるモノじゃない!」


「お父さん!ひどいよ!

 博士はウサン臭い人じゃないよ!」



「あなた・・

 あの人は、この家に居た『霊』を消したって・・」


「お前まで、そんな事言うのか?

 第一、この家は、変な『霊』が出るような所じゃない!」



「でも、あなた・・

 ここは・・」



「ここは、俺たちの土地だ!俺たちの家だ!!

 ローンをかかえて、必死に働いて、ようやく買ったマイホームだ!

 そんな事で!!」


「『そんな事』って・・私には『見える』のよ・・

 この家には、『霊』がいっぱい居るのよ!」


「何だと!?」


「昼間の男の人だけじゃない・・

 まだ、居るのよ!」


「そんなの・・

 幻覚か何かだ!


 オレは見た事ないぞ!」


「あなた・・この子の気持ちもわかってあげて!」


お父さんの前に出て、女の子をかばうお母さん。




   ・


   ・


   ・

お母さんの話を聞いた今西さんが、


「そうですか・・そんな事が・・」


「博士のご好意は嬉しいのですが、

 これ以上は、私達の家庭の問題に入ってこられそうで・・」



「まあ・・

 プライバシーの問題もありますからね・・


 でも・・

 娘さんは、どう言っておられるのですか?」



「はい・・

 それが、すっかり、博士の虜になったようで・・」


「そうでしょうね・・

 今まで、誰も本気にしてくれなかった上に、

 理解する人が現れ、更に、その『霊』を消す事ができたのですから・・」


「主人とは、口も聞かない状態です・・」  


「一家の主であるご主人よりも、

 得体の知れない博士の方を信用している・・


 奥さんは、どうされたいのですか?」



「私は・・」

考え込んでしまうお母さん・・


今西がポツリと言う・・


「その・・


 娘さんの話だと、

 まだ、その家に、無数に『霊』が居るという事ですが・・


 そんな状態のまま、博士や私達が手を引いても良いのですか?」



「それは・・・」

悩んでいるらしく、どう答えていいのか分からない様子のお母さん・・


何やら、その家庭や家に、問題がありそうだと思い始めていた今西だった・・













「う~ん・・」


自分のデスクに座って、考え事をしている今西。

女の子のお母さんが帰ってから、その家族の事が気になっていた。


関わりを持たないで欲しいと言って来たお母さんに対して、

事実上は、そのまま維持で・・という感じになってしまった・・


 引くでもなく・・


 押すでもなく・・・


何とも、ややこしい展開である。

事務所の天井を見つめながら、考えている今西・・


雑誌のネタとしては、十分だった。



『霊』が見える少女・・

『霊』を消す装置を開発した博士・・


そして・・









「そうかぁ~!

 困った時は!・・・」


何か、ひらめいたようだが・・

嫌な予感が・・

















夕方。



山奥の神社・・




  リーン・リーン



「はい。望月です!」


美奈子が電話を取る。


「お母様~。

 今西さんから電話です~。」



『困った時の陽子頼り』・・

困ったものです・・






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ