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霊感ケータイ  作者: リッキー
ファーストコンタクト
164/450

48.少女の家で・・


「博士!」

急に少女が叫びだした。


「どうしたのかね?」

博士が、答える。少女の豹変ぶりに驚く・・



「わたし・・怖い!」

そう言って、博士の座っているソファーの隣に来て、博士の腕を掴む。


博士の胸に顔をうずめる少女・・

何が起きたのか、博士も戸惑っていた。


ハアハアと息が荒い少女・・

その息が博士の胸を温める・・


「落ち着いて・・

 ユミ・・

 さん・・」


少女の事を、どう呼んでいいかも分からなかった。


薄暗い居間に二人しかいない・・

いくら子供とはいえ、小学4年生と言えども、相手は女の子なのだ。

端から見れば、怪しいおじさんと健気な女の子が抱き合っている事は、異常だった・・









「博士!」


「どうしたのかね?」


「あの、ドアの左側の角に、男の人が・・」


指を差して、涙目で訴えている女の子・・


「え?」


その場所を見たが、何もない・・・

単に、部屋の壁があるだけだった・・


少女には、そこに、薄らと男性の影がボウッと映っているのが見えるという・・

無表情で、ただ、こちらを眺めている中年の男性。

危害を加えようという様子はないようだが、不気味な存在だ・・


おびえてしがみついている女の子を介抱している博士。


博士には、女の子の言っている方向には何も見えないが、

偽りの行為だとは思えない。



女の子の震えが納まったところで、

博士も何やら行動にでる・・


「ふむ・・・」

何やら、ポケットから取り出した博士。


小さな、箱状で透明のカバーに計測用の針が文字盤に取り付いている。アンテナの様なモノが伸びていた。










「それは?」


「ふむ・・『簡易式電磁場測定器』じゃ・・」


「電磁場?」


その計測器のスイッチを入れた博士・・


  ピッピッピ・・


何やら、作動している音がし始めた。

その計測器を、少女の言う方向へと向けた。


 ピィ~~


 ピィ~~


左右に振ると反応が出たり出なかったりしている・・


「ふむ・・反応はあるようじゃ・・」


計測器についている切り替えのレバーをひねる博士・・

女の子をソファーに残し、先程の、部屋の隅に近づいて、


「この辺りじゃろうか・・?」

その場所を指さす博士・・


「はい・・!

 そこに居ます!


 気をつけて下さい!」


注意を促す女の子・・


男性が博士のほうを向いている。

博士には、そこに居る事に何の抵抗も無い様子だ。


計測器が、男性の浮かんでいる辺りで反応を示している。



 ピピピピピ



「ふむ・・ここじゃな・・」


「あ・・!」

その計測器をかざすと、今まで映っていた男の人の影がスーっと消えたのだった・・









「凄い!


 今、

 何をしたんですか?」


女の子が驚いている。


「ふむ・・

 消えたのかな?」


「はい!

 消えました!

 そんな事が出来るんですか?」


感心している女の子に博士が説明する。


「この計測器は、電場、磁場の歪の両方を測定できます。

 磁場を計測する時は、電界にエネルギーを与える事で計測する・・


 何度か、計測していたら、この装置に、

 歪を修正する作用もあることが分かったのです。」


「歪を・・修正?」


専門用語の羅列で、ちんぷんかんぷんな女の子・・

まだ、小学4年生ならば、仕方がないと察した博士・・


「皆さんが、『霊』と言っているのは、

 空中に漂う水分子の電気的な記憶なのです。


 人間が生前、活動した脳波が空間に転写されたもの・・

 それは、電界、磁界の歪みで計測される。


 この装置は、その歪みを、消すことができるのです。」


何だかよくわからないが、特殊な装置で、『霊』を消すことができるようだと理解した女の子・・


尊敬の目で博士を見る・・


「凄い!

 凄いです!


 理論は良くわからないけど、

 『霊』を消すなんて!」



「ふふふ・・

 理論は、大人になったら分かると思いますよ。

 高校で習うレベルの物理学ですから・・」



「はい!

 勉強します!」


それから、和気あいあいと会話が弾む博士と女の子だった。

家族の事、学校の事・・そして、博士の研究や実験の話など・・

雑誌では語りつくされない事を話した。



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