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霊感ケータイ  作者: リッキー
ファーストコンタクト
163/450

47.訪問


都内の駅


駅前の人通りの激しい商店街をしばらく歩いていた博士・・


信号機のある十字路で立ち止まり、上を見る。

電線の隙間から覗く青空を見つめながら、ため息をもらしている。


「ふう・・」


何やら、難しい顔をしている博士・・

あまり気が進まない様子だった。






住宅街の一角にある公園を通り過ぎ、1、2件進んだところで、ポケットからメモ紙を一枚取り出す。

「この辺りか・・」


洋風の小さな家が立ち並び、その表札に目的の住所を発見した。


『中野』



「ここだな・・」

家の前に立ち止まり、少しの間、呼び鈴を押すのをためらっていた・・


「博士・・ですか・・?」

後ろから子供の声がする。


振り向くと、小学校中学年くらいの女の子が立っていた。

ランドセルをしょって、学校から帰宅したところのよう・・


「ユミさん・・・ですかな・・?」


「やっぱり、博士だ!

 わぁ~

 来ていただいたんですね!!」

笑顔を見せ、喜んでいる女の子。


可愛らしい・・

博士にとっては、女の子を訪ねるなんて初めてだった・・









「おうちの方は?」


「あ・・、まだ帰って来てないんです。」


ランドセルの脇にくくりつけてあった巾着袋から鍵を取り出して、ドアを開ける少女。

もあーんと中から熱気が出てくる。


暑そうな室内・・


「凄い、熱気ですね・・」


「ふむ・・」


「ちょっと待ってて下さい。」


玄関にランドセルを置いて、家じゅうの窓を開ける少女。

1階は防犯上の雨戸になっていて、暗かった部屋が開けると明るくなる。


一人で家の窓を開けるのが何の抵抗も無く、慣れている様子。


「お上がり下さい。」


少女に勧められて家に入る博士。言われるがままに居間に通される。

ソファーに座ると、冷えた麦茶の入ったコップを渡された。


「はい。博士!」


「どうも・・」


窓を開けたての部屋は、まだ、熱気がこもっている。

汗が噴き出る感じだったが、麦茶を飲むと、冷たく、心地よい。








「本物の博士に来て頂けるなんて、光栄です!」


少女が改めて感動している。

博士にとっては、ほんの少し時間が空いたので訪ねてみたという軽いものだったが、少女にとっては重大な事だった。


「そんなに喜んで頂けるとは・・」


「博士の記事を雑誌でよく、読んでます。」


机の脇に置いてあったマガジンラックから、「月刊オカルト」を取出し、見せる少女。

付箋が挟まっていて、博士の記事が、直ぐに出てきた。


「ほう・・

 今西君の雑誌をねぇ・・」


「博士の記事は、欠かさず読んでるんですよ。

 『霊』の世界を科学的に探究するなんて、

 凄いな~って・・」


「そうですか・・

 私の専門は、本当は『電磁気学』なんですが・・

 最近は、どうも、今西君に霊の研究ばかり勧められててね・・」


少女がこの上ない笑顔で見つめている。

霊の事よりも、博士の方が興味対象のような感じでもある。


憧れの人が目の前に居る・・そんな感じで心をときめかせている様子だった。











「そうそう・・」


ポケットから今西からもらった手紙を取り出す博士。


「この手紙を読んで、気になったんです・・」


「私の手紙を読んでもらったんですか?」


「はい。

 内容に興味があってね・・」


少女からの手紙・・

それは、時々、「ユーレイ」のようなものが目に入り、悩んでいるという事だった。



「どんな様子なんですか?

 詳しくお聞きしたいのですが・・」


その手紙の話になってから、急に少女の表情がこわばっていた。

何かにおびえているような感じだ。

それまで、明るく振る舞っていたのが、急変している事に気づく博士・・・









「あ・・あの・・・わたし・・

 見えるんです・・・」


言葉に詰まりながら、話す少女・・


「見える?」



「幽霊が見えるんです・・

 普段、生活している時も・・


 見えないはずの・・

 そこに居ないはずの


 人みたいな・・


 ボウっと・・

 透明な・・


 影が蠢いているんです。」




「ほう・・

 影が蠢いている・・・


 それは・・

 どんな時かな?」


「分からない・・

 見える時は、良く見えるんです。


 それが、どういう時かは・

 決まってなくて・・」


「ふむ・・・」


泣きそうな表情になっている少女・・

先程まで、活発な子だと思っていたのに、急におどおどした感じになっている。






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