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霊感ケータイ  作者: リッキー
五里霧中
161/450

45.ゴールの先に





その・・







ゴールの先に・・・







女の人が立っていた・・







見覚えがある・・







優しい眼差しでこちらを見ている・・・










「お・ 母・・




 さん!?」





目を疑ったヒロシ・・


にっこりと笑みを浮かべる母が・・



そこに居た・・





廻りの声援が遠くなり、



母が話しかける。








「ヒロシ・・



 頑張るのよ!」





優しい声で応援する響子・・


遠くのゴールの先にいるはずなのに・・


直ぐ近くで声がする・・







「お母さん・・」








「あなたは・・



 強くなれる!」







「強く・・




 なれるの?」







「そうよ・・



 あなたが、



 皆を想う限り



 みんなも



 あなたを



 応援するのよ・・」






「みんなが・・」







「私は、



 いつも



 あなたと



 一緒に居るわ・・」






「お母さん・・!」






目をキッと見開き、



走り始める・・










「がんばれーーーーー!!!」

再び、周りの声援が耳に飛び込んでくる。


ゴールにたどり着くまで、


意識が飛んでいた・・


夢でも見ているかのような・・

自分なのか、どうかわからない・・


   パーン


ゴールした時のピストルの音・・

その音で、我に返った・・







「わーーーーー!」

クラスの皆が駆け寄っている。


気が付くと、


ゴールの先にいたはずの


母の姿は無く・・



クラスの皆に取り囲まれていた。





「オレ・・


 負けちゃったよ・・!


 ごめん・・」


面目ない顔をしているヒロシ。


「仕方ないよ!」

「また、今度があるさ!!」

「ちゃんと、走ったね!」

「良かったよ!」


クラスの皆が声をかける。


そして、迎えに来てくれた二人の友達・・・


「ふふ!負けちまったけど・・

 いい走りだったぜ!」


「一緒に走れただけで、満足だよ!

 よく来たな!ヒロシ!」



「ああ・・


 オレ・・

 皆の事・・


 ずっと

 気になってたんだ!」


「ヒロシに心配されるようじゃ・

 おしまいだな!俺たちも・・」


「そ~だな~」


「エヘヘ・・」


肩を組んでトラックを後に、応援席へ向かう3人・・




「ヒロシ君・・」

その姿を見守っていた美奈子・・・



そして、



「お母様??」

ハッと気が付く。



校舎の屋上を見上げる美奈子・・












「やるじゃない!ヒロシ君!

 場内の皆を味方にするなんてね~」


「ヒロシ・・

 あの子は、小さい頃から

 周りを引き付けてたの・・


 誰からも応援されてたのよ・・

 放っておけないって言うか・・


 人を引き寄せるのよ。


 病院に居る時にだって、

 隣の子が気にしてたみたいだし・・


 看護婦さんからも

 人気があったのよ!

 

 自分では気づいていないみたいだけど・・」


  

「やっぱり、あなたの子ね・・

 私にはできないわ・・」


屋上に、ヒロシ達を見守っている響子、陽子、幸子の姿があった・・



「それにしても、陽子の能力も健在ね~!」


「そうね~。まだオーラをシンクロできたのね・・

 おかげで、ヒロシとも話せたし・・」



「失礼ね!

 私を甘く見てたんじゃない?」


「はいはい・・

 甘く見てました・・


 さすがですよ~

 陽子は!」 


軽く流されているようで、不満そうな陽子・・



「そう言えば、幸子・・こんな所に居ていいの?」


「あ!そうだった!次の予定が入ってたんだった!!」


「あなたも、忙しいのね・・」


「お互いにね!じゃあ、また、法事の時にでも会いましょう!」


昇天していく幸子を見守る陽子と響子・・



「行っちゃったわね・・」


「ええ・・」


「ねえ・・陽子・・

 あと5年って言ってたよ・・」



「そうね・・

 今が、一番・・幸せな時なのかもね・・」


グランドを見つめる二人・・

運動会の歓声がずっと続いていた・・


悪霊との対決まで・・

あと僅かの期間・・












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